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典型的な「特許ゴロ」とされていた「ポッドキャスト特許」の裁判が終結して特許が認められないことで決着

By Adriano Gasparri

インターネットを通じて配信される「ポッドキャスト」の特許をめぐってアメリカで起こされていた裁判が終結し、その特許自体が無効なものであるとする判決が確定しました。この件は、保有する特許を盾にとって相手に高額の利用料などを求める「パテント・トロール」、またの名を「特許ゴロ」の典型的な例として見られていたもので、それに対抗した非営利団体が勝利を収めた形となっています。

“Podcasting patent” is totally dead, appeals court rules | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2017/08/appeals-court-upholds-invalidation-of-podcasting-patent/

この裁判は2013年に起こされていたもので、本来ならばポッドキャスト技術に直接的な関係がないはずの企業が後追いする形で法外な利益を得ようとする行為の無効を訴えていたもの。そして今回の判決は、2015年に起こされた当事者系レビュー(Inter Partes Review:IPR)による訴えを、特許や関税などの事件を管轄する連邦巡回区控訴裁判所が認める内容となっています。

特許が無効とされたのはアメリカの企業「Personal Audio」です。同社は2013年1月、US Patent No. 8,112,504で認められた特許内容をもとに、人気ポッドキャスト配信者やテレビ局、ラジオ局、インターネット放送局などに督促状を送りつけ、利用料の支払いを求めました。その際には、裁判で全面的に戦う姿勢は見せず、あくまで「ライセンス供与」という形で穏便に解決することをメインターゲットに据えていたとのことで、ポッドキャストで番組を配信していたアダム・キャローラ氏は幾ばくかの「ライセンス費」を支払って和解に至っているほか、Samsungも何らかの方法で決着させるという対策をとっています。

By Images Money

この動きに反対したのがアメリカの非営利団体である「電子フロンティア財団」(Electronic Frontier Foundation:EFF)で、根拠とされているPersonal Audioの特許を見直して無効化させる訴えを2013年10月に起こしました。この特許は「system for disseminating media content representing episodes in a serialized sequence」(訳:連続形式のエピソードとして制作されたメディアコンテンツを広く配信するためのシステム)と題されたもので、まさにポッドキャストをターゲットにしたものであることは明らかといえる内容。電子フロンティア財団は、訴訟にかかる費用を広くネット上で募り、目標額の3万ドル(当時のレートで約300万円)に対して7万6000ドル(約760万円)を集めることに成功していました。

そして今回、約4年にわたった争いに決着がつき、「ポッドキャスト特許」は無効であるという判断が確定したというわけです。Personal Audio社は当初、iPodのようなデジタルミュージックプレーヤーを開発する企業でしたが、この事業には失敗。その後、今回の論戦の的になった特許ビジネスに関わるようになったとのこと。しかし、ポッドキャストに関する特許を取得しておきながら、自らのビジネスモデルとしてポッドキャストを行っていなかった点を電子フロンティア財団が突き、今回の決定に至っています。

By Vlad [T]

Personal Audioはこの決定についてArs Technicaから求められたコメント要請に答えていないとのこと。また、2015年にGoogleを相手に起こした訴訟以降は、新たな動きは見られていないとのことです。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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