インタビュー

女優・真野恵里菜とライムスター宇多丸がゲームについてアツく語るTBSラジオ「マイゲーム・マイライフ」潜入レポ&インタビュー


ジャパニーズヒップホップの大御所・RHYMESTER(ライムスター)の宇多丸さんが、ゲームをテーマにさまざまなゲストとゲームについてアツく語り合うTBSのラジオ番組「プレイステーション presents ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ」が毎週土曜深夜0時から放送されています。2017年6月17日と24日の放送回では、元ハロー!プロジェクトのメンバーで、TVドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」にも出演していた女優・真野恵里菜さんを迎えて意外とも思えるゲーム談義を繰り広げることになっています。

今回は、その収録の現場に潜入してお二人にゲームについてアツく語ってもらうことになったのですが、実際に現場を訪れると事前の予想をはるかに上回るお二人の「ゲーム愛」に触れることになったので、その様子をレポートします。

ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ|TBSラジオAM954+FM90.5~聞けば、見えてくる~
https://www.tbsradio.jp/mygame/

◆TBSに潜入・ラジオ収録を見学
番組の収録が行われる、東京・赤坂のTBSにやってきました。入り口は8月4日に開幕する「世界陸上」一色の状態。


そして建物内のスタジオに到着。収録に備え、すでに宇多丸さんがスタジオ入りして打ち合わせの真っ最中でした。


ほどなくして、真野恵里菜さんがスタジオ入りして収録がスタート。宇多丸さんが真野さんの秘められたゲーム愛を次々と明るみにするといった様子で収録が進み、調整室で様子を見守っていた関係者からは真野さんのヘビーゲーマーっぷりに時おり「おお~」とため息にも似た歓声が上がることも。


終始なごやか、どころか笑いの連続で一気に収録が進められていきます。お父さんやお兄さんの影響で真野さんがゲームにのめり込んだエピソードや、ゲームをするために家族内で決められていたというある「ルール」、数え切れないほどプレイしてきたゲームの中で、「ベストゲーム」を挙げるとすれば、それは実は『ファイナルファンタジーIX』だった……といったトークが繰り広げられます。特に、FF IXに登場する主人公・ジタンや黒魔術師・ビビに対する愛は相当なものが感じられるので、ぜひ実際の番組をラジオ放送やネットのサイマルラジオ「radiko.jp」、または番組をほぼノーカットで聴けるTBSラジオのストリーミング配信サービス「TBSラジオクラウド」で聴いてみてください。

この日は二本録りで収録が行われ、後半は真野さんが初めてPlayStation VRを体験するというコーナーも。ヘッドセットを装着した瞬間から「わー!わー!なにこれ!すごい!」と、思わずこちらまでテンションが上がるほどのリアクション。


このとき真野さんは、PS VRタイトル『バットマン:アーカム VR』の1シーンを体験中。「わー!後ろも見えるんだ!」


「飛行船飛んでる!」


おそるおそる手すりの向こうをのぞき込み……


手すりを触ろうとして宇多丸さんに「手すりはありませんからね!」とツッコミを入れられるという一幕も。


こちらは、『PlayStation VR WORLDS』に含まれるガンシューティングアクション『The London Heist (ロンドン ハイスト)』で拳銃を撃ちまくる真野さんの図。VRゲームの世界にのめり込みすぎて、周りから「トラックの中にある弾薬を狙って!」と言われるのに対して「もう!わかってるから!」と思わず素の姿が現れる瞬間も。まるで真野さんの自宅で一緒になってゲームを楽しんでいる錯覚に陥りました。


左手に持った拳銃で相手を打ちまくりつつ、実は右手で次の弾丸カートリッジをしっかりつかんでいる様子は、収録に立ち会っていたソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の人が「初プレイで、あれはすごい……」と舌を巻くほどのプロっぷり。この日に初めてPS VRを体験した人とは思えない適応力の高さに、ヘビーゲーマーである片鱗を垣間見た瞬間でした。


◆宇多丸さん&真野恵里菜さんインタビュー
収録を終えたお二人に、それぞれのゲーム愛などについていろいろと聞いてみました。


GIGAZINE:
宇多丸さんがこの番組を担当されるようになったきっかけというのは、一体どのような経緯からなんですか?

宇多丸:
この番組の前身にあたる「プレイステーション presents マイゲーム・マイライフ」に出させてもらっていたのがきっかけかもしれないですね。その時は月に1回の特番形式でやっていて、いろいろな方が対談形式でトークするという内容だったんですが、モーニング娘。OGの高橋愛さんと一緒に出演して。その時は高橋さんは『ファイナルファンタジーX』推しで、一方の僕は『グランド・セフト・オート』のような洋ゲー推しで、全くゲームの接点がない二人が勝手に自分の好きなゲームの話をするんです。お互いに「あー、それは、うーん……」とか言っていたんですが、僕はなんとかして高橋さんに、「お話しを伺っていると、その要素は僕のやるゲームの、この様子に近いですね」と接点をつなげようとするんですけど、高橋愛さんが「いや、それは知りませんけど」とバサッといくんです(笑) そのバサッといく感じが最高で、この番組が生まれることになったのは直接的にはその辺りなのかもしれないです。

僕としては、「ゲーム好き」ということはもともと自分の番組でも公言しているし、好きなゲームに関してはメチャクチャやりこむほうなので。極端な場合は、たとえば『DEAD RISING』というゾンビゲームがあるんですけど、24時間飲まず食わずトイレも行かずにプレイし続けて、しかもそれを自分で気付かずにやっていたこともありました。


真野:
すごい……(ため息)

宇多丸:
というのも、ゲーム自体がかなりリアルな作りなので、ゲームの中で24時間が経ち、日も昇るし暮れるし、キャラクターはご飯も食べるし、寝るんですよ。だから本当に生活しているような感じで。

真野:
そういう感覚でわからなくなっちゃうんですね(笑)

宇多丸:
そう。だから、感覚的には食事はしてるし、何なら普段の僕よりも太陽の光にも当たっているぐらいで、よく走って運動もしているし……という感じだったんですけど、プレイしているとだんだんクラクラしてくるんです(笑)。で、「何かちょっと熱っぽいな、風邪かな、俺……」ぐらいに思っていたら、「待てよ……俺、この24時間飲まず食わずでトイレも行ってないぞ……!」と気付いたんです。で、「マズい」と思ってたまたま横にあったキットカットをパクッと食べたら、「あぁ……大丈夫だ」と回復して(笑) どれだけギリギリだったんだろう、ゲームしていてチョコレートで命をつなぐという。

そういう話をちょくちょく言っているぐらいゲーム大好きですし、ハマったのはPS以降で洋ゲーに偏ってはいますが、大好きです。

GIGAZINE:
では、一番最初にゲームにハマるきっかけになったタイトルというのは何だったんですか?

宇多丸:
初代PlayStationの『リッジレーサー』ですね。初めてこのゲームを見た時に、画面の中にちゃんと3Dで立体的な世界があって、いま見えている部分だけではなく全部の世界が作り込んである感じがして、それが衝撃で「未来が来た!」というところに衝撃を受けました。以前に番組にゲストで出演してくれた杉浦太陽さん式に言うと、「(関西弁で)スーパーや!」という風に思いました。その昔、ゲームセンターで初のポリゴン格闘ゲーム『バーチャーファイター』の映像を初めて見たときの衝撃が自宅に来たという感じですね。

今でこそポリゴン感丸出しの画面は昔っぽくなりましたけど、当時だと「うわ、中に立体物が!立体物が見えるよ!平面じゃない……」みたいな感じがしてました。ゲームもちょっと変わったゲームが多かったというか、それまでのゲームよりちょっと、今で言う洋ゲー感じゃないけど、少し大人っぽいというか。


GIGAZINE:
そうですね、私もすごく「生」なエネルギーがあったという感じを覚えています。

宇多丸:
変わったゲームが多かったですしね。なので、そういうところにも確かに惹かれました。

GIGAZINE:
真野さんがゲームにハマられたきっかけはどんなものだったんでしょうか?

真野:
父がゲーム好きだったんです。あと、5歳上の兄もいるので、小さい頃から休みの日とかは二人がゲームしているのを横で見ているというのが当たり前の風景でした。私が「何するのー?」と言って見ていたら、父と兄が『ドンキーコング』をやっていたりして、「ちょっとやってみる?」みたいに言われて何となくやったりしていました。でも、まだ幼稚園とかなのでそんなに長時間やらせてもらえないですし、セーブデータも作らせてもらえなかったりとかして、ちょこちょこ一生懸命参加しようとしていた感じですね。


宇多丸:
やっぱり、生まれたときから家にゲームがあって、親御さん世代もゲームが好きな世代というのが普通にあるんだなというか、逆にゲームがないというのがあり得ない?

真野:
あり得ない、考えられないですね。家の環境がそうだったので。

宇多丸:
そういう世代なんだなぁ……番組でも思ったんですが、僕より広く深くいろいろなゲームをやられていて「勉強になるな」という。

真野:
もう手当たり次第やっていた感じです。

宇多丸:
しかも一個一個のやりこみがすごい!

真野:
あはは(笑) やっちゃいますね。あと、ゲームもマンガが出ていたりするじゃないですか。『スターオーシャン』とかはマンガがあったので、マンガも合わせて楽しめる。

宇多丸:
派生作品もいっちゃう!すごいわ。さっきも番組の収録で、FF IXのジタンのことを話しているときに「フィギュアやばいですよ、フィギュアフィギュア!」って。

真野:
ジタンのフィギュア欲しい……

宇多丸:
すごくゲームを愛されているのが分かりますよね。何か1つのことが好きな人の話というのは、例えその世界のことを自分は知らなくても、とても楽しいということをこの番組を通じて特に改めて思いましたね。だって、皆さんが仰っているゲームは、ほぼほぼ僕はやったことがないんだけど、やっぱり面白そうに感じます。

GIGAZINE:
そして、宇多丸さんは真野さんのお話を聞かれて、『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』をやることに……

宇多丸:
安請け合いしてしまいましたね!僕はこんな番組をやっておきながら、実はFFもドラクエもやったことがないんですが……やります!まずは『ドラゴンクエストXI』からね。でも、(発売日の)7月29日って結構すぐだなぁ……。

真野:
あ、もうこれやらないパターンだ~。

宇多丸:
いやいや!機会を狙っているんですが、今年は洋ゲーのビッグタイトルももうすぐ出ちゃうんですよ!なので、『レッド・デッド・リデンプション2』が出ちゃう前まではドラクエできます。


真野:
逆に、「ドラクエをやらないと次のゲームができない」みたいなのはどうですか?

宇多丸:
あっ、タスクを決めて?(笑) それもアリかな……。まぁいきなり古めのゲームからやるよりは、ドラクエの最新作をやるのがいいのかもしれないです。

真野:
そこからたどっていく感じでね?

宇多丸:
特に今回の新しい『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』がそうなんだけど、ゼルダもやってみたら、かなり洋ゲーっぽくて僕が普段やっているゲームにとても近いんです。すごく研究してる。でも、それに任天堂スタイルのかわいらしい工夫がされている。料理する要素とか、たまらないですよ。

真野:
そういうの楽しいですよね~。

GIGAZINE:
やはり宇多丸さんはオープンフィールドな世界観がお好きなんですね?

宇多丸:
そうですね、基本的に僕は自由度が好きで……本編からは少し外れるサブミッションを進めたりとか、寄り道がいくらでもできる方が好きなので。だって、時間に追われるのが嫌ですかね。だから、僕がやっているゲームとかでも、基本的には好きなように攻略できるんですが、途中でいきなりミッション的に秒読みが始まるタイプのミッションがあるわけですよ。「○○で○秒以内に~~」とかで、「おい、聞いてないよ!」って(笑)

真野:
わかるー!

GIGAZINE:
やっぱり皆さんゲームに求めるものはバラバラでなんですね。

宇多丸:
本当にそうです。番組に来てくださるゲストさんの好みも毎週違いますしね。オンライン派の人とオフライン派の人はまた全然違うし。ゲームの難易度問題とかも全然。ちなみに三浦大知くんは、ある程度難しくないとつまらないらしくて、「歯ごたえがないと嫌だ」とか言ってて。僕みたいに常にベリーイージーとか、そういうモードから行く人とは全然違うみたいです。

GIGAZINE:
宇多丸さんは「イージー」派ということなんですね。

宇多丸:
そう、でもレベル上げをきっちりしておく感じです。『グランド・セフト・オート』に出てくるあるミッションで、本当は敵がたくさんいる家の中に一人で殴り込んでいって、自分も撃たれて傷つきながら皆殺し、というシークエンスがあるんですけど、僕の場合は慎重に行く癖が強すぎて、ものすごく離れたところからスナイパーライフルを使って、絶対に敵が届かないところから家の中にいるやつを1人1人殺すんです。で、全員死んだところで近づいていって家に入ったら本来のBGMが流れ出すんですけど、その雰囲気がいかにも「ここで盛り上がって殺しまくるんだぞ!」という音楽なんです。でも、そんな感じでやってるから僕が行ったら相手はもう全員死体なんですよ(笑)

真野:
面白い(笑)

GIGAZINE:
わはは、そんなプレイってアリなんですかね(笑) そういえば先ほど、ここに来る前にSIEさんで『Farpoint』というゲームの取材をさせてもらったんですよ。

宇多丸:
ああ~、もうすぐ発売の、VRで銃型のコントローラーを使ってプレイするFPSゲームですね。

真野:
へぇ、楽しそう!

宇多丸:
見るとただの白い四角い筒みたいなコントローラーなんですけど、持つとVRの画面の中では本当の銃に見えるんです。


真野:
本当にゲームセンターみたいですね。

宇多丸:
そうですね、限りなく。いっそのこと、「VR遊園地」ができたら、「もうこれでいいんじゃない?」という。

真野:
最高!毎日夢の国に行ける!

GIGAZINE:
宇多丸さんは、番組ではゲストのみなさんにPS VRをプッシュされてるんですが、特に面白かったタイトルなどはありましたか?

宇多丸:
もちろん『PlayStation VR WORLDS』も最高ですし、(真野さんに向かって)『バットマン:アーカム VR』の冒頭の部分だけ、あれだけでも十分すごかったでしょう?

真野:
もう、すごかったです。

宇多丸:
あのタイトルは、あそこから謎解きをしていく内容で、最終的に登場するクライマックスのシーンでバットマンがさまざまな出来事に遭遇するんですけど、その時にいろんなあり得ない状況が生まれるんです。何というか、VRならではの「そこにいる」という表現とか、VRで恐怖表現を本気でやられたら、プレイヤーは本当に死んじゃうか気が狂っちゃうんじゃないかと思います。要するに、このゲームは狂気の人の脳内を完全にバーチャル体験させられる様な感じだったから、それはもう怖くて。シナリオとしては短めの話なんですけど、プレイしてみたら「これ以上は無理、終わってくれてありがとう」という感じでした。

あと、『バイオハザード』をVRでやったときも、ひたすら逃げ回るしかなくて、途中で腹が立ってきて、「何で俺がこんな目にあわないといけないんだ!」とか思っちゃうぐらい。で、ゲームの中では手とかを切られてしまうんですよ。


真野:
うわぁ、こわい……。

GIGAZINE:
平面のディスプレイでやっているだけでもかなり怖いのに。

宇多丸:
そう、もともと怖いのに。

真野:
後ろにも何かあると思ったら振り返ってしまいますよね。

宇多丸:
ゲームの中では、まず最初に家に近寄っていって、「この家に入る」っていうんですけど、普通入らないだろそんなもん!って(笑)

真野:
入ったら終わりますよね(笑)

宇多丸:
で、家に入って最初は3人いたのが1人いなくなって、さらにどんどん奥に行くわけだけど、「行かないでしょ!?フラグ立ってるから!」と。でも、今日PS VRを体験していただいてすごかったでしょ。

真野:
いやぁ、面白かったです。

GIGAZINE:
すごくいい真野さんのリアクションでした(笑)

宇多丸:
最高のリアクションです。僕が「あの奥のやつを狙ってね!」って言ったら、「もう、分かってるって!」って返ってきて(笑) 本当に素で夢中になったときのというか、子どものときからこの感じで友達とかお兄ちゃんとキャッキャいってゲームしてきたんだろうな、というのが出ていましたよね。


GIGAZINE:
ちょっと真野さんの実家に遊びに行かせてもらった、みたいな気持ちになりました。

宇多丸:
これはでも、真野さんのように映像作品とかに関わられている方としては、「これを使って何ができる」って思いますよね。

真野:
もう、これが出ちゃうとかなわないです。

宇多丸:
真野さんが出るような作品で、普通の映像作品もVR化はできるから。

GIGAZINE:
女子高生のキャラクター・宮本ひかりの家庭教師になって勉強を教える『サマーレッスン』なんかも当然すごくて、本当に目の前に女の子が居るような感じがして……臨場感がすごかったです。

宇多丸:
VRの世界だけに存在している女の子に手を伸ばしたり……本当にしょうもない話ですけど(笑)、途中でひかりちゃんが本棚に手を伸ばして本を取るというシーンがあって、後ろを向くわけですよ。そうすると、良からぬ行動に出て……「バカやろーっ!」ってね(笑)

真野:
それをやっている人を横で見たいです(笑)

宇多丸:
そうそう、だから、意外とPS VRってパーティーグッズでもあって、みんなでいるときにワイワイ「お前何やってんだよ!?」って。

真野:
確かに頭の中を見られちゃいますね。いま見ているものがみんなのテレビにも映し出されるから。

宇多丸:
プレイしている人がゲームの中でどこを見ているのかが分かるのが面白いんですよ。そういう楽しみがあるのも、この番組を通していろいろ人を見てきたからで、PS VRをやってキャッキャやっている人を見るのは本当に幸せですね。

GIGAZINE:
ゲームではないんですが、PS VRで見ることができる映像タイトルで、20分ぐらいの短編映像『Allumette』もすごいですね。飛行船と空に浮かぶ街並みがあって、そこで母と女の子が登場して、という。

宇多丸:
それも真野さんにお見せしようかと思っていたんですよ。「マッチ売りの少女」がモチーフみたいな、サイレントなショートストーリーなんですけど、とても胸にしみいる素敵な話があるんです。空中に浮いた舞台で小さな人形たちがいろいろ演じるというイメージです。

真野:
すごーい、楽しそう。


GIGAZINE:
自分が視点を変えるとVRの中の舞台も回って、その中に人が生きている様な感じになって、すごく「VRの将来はここにあるのかな」という風に思いました。

宇多丸:
また、モチーフが「マッチ売りの少女」というのが良いですよね。あれって、マッチを擦ると周囲の現実が変わるという話だから、VRのヴァーチャルな表現とすごく合っているんですよ。

真野:
そうかぁ、確かに。

宇多丸:
だからすごく可能性を、お芝居の分野でも何かしらたぶん「これで何かやりたい」という演出家の方が絶対出てくると思うし、何ができるんだろうって。

真野:
いろいろと可能性が広がりますね。考えたらいろいろできそう。

宇多丸:
普通に真野さんが話しかけてくるVRとか全然売れると思いますよ(笑) 真野さんが部屋でゲームをやっているのを、僕らはそばで見ているだけという、そのソフトはかなり売れると思います(笑)

GIGAZINE:
それ欲しい!(笑)

真野:
面白いですね(笑)


GIGAZINE:
真野さんにお伺いしようと思うんですが、事前にゲームがお好きというのはお伺いしていたのですが……まさか、まさかここまでのレベルとは全く思っていませんでした。

真野:
いや~、ちょっと話しすぎちゃったかも?でも、こんなに好きなものについてお話しするのは初めてだと思います。

GIGAZINE:
楽しそうに話しておられる様子がすごく伝わってきました。

宇多丸:
最高です。

GIGAZINE:
『ファイナルファンタジーIX』について番組の中で話されたときに、私も聞きながら実際のストーリーを思い出して少しウルッと来ちゃったぐらいです。

宇多丸:
話が上手ですよ。だって、僕はFF X派の高橋愛さんとか古川美玲さんに影響されて「やっぱFF Xっしょ?」みたいな感じだったんですけど、収録を終えて今はすっかりFF IX派ですから(笑)

真野:
FF IXは悲しいんですよ。お母さんだと思っていた人が……みたいな。

GIGAZINE:
白鳥英美子さんが歌う主題歌「Melodies of Life」のメロディーがまたいいんですよね。

真野:
そうなんです!

宇多丸:
いいなぁー。こんな風な話に入りたくて「FFやりたい」というのもありますからね~。

GIGAZINE:
真野さんは本当に幅広いジャンルをプレイされていて、本当にゲーマーの鑑だなと思います。

真野:
でも、ファンの方からはあちこちで浮気者と言われてるんです。「この間までこれやっていたのに、今はこれ!?」みたいな。

宇多丸:
いや、でもやりこみがね。

GIGAZINE:
そうですね、「浅く広く」ではなくて、「深く広く」というのがすごいなと思っています。

宇多丸:
同じゲームを何周もしたりね。

GIGAZINE:
番組でも「あの場面に出てくる、あのムービーを見たいからもう一回やる」っておっしゃってましたもんね。

宇多丸:
収録で話に出てた、FF IXの序盤の話とかも、やっぱりお二人はわかっちゃうんですよね。

真野:
なわとびとかチャンバラとかのシーンですね。

GIGAZINE:
最初のステージの上でやっているやつですよね。城壁がこう、丸くなっているところで……

真野:
そうそう!あと、カードバトル止まらないですからね~

宇多丸:
(軽く驚いた様子で)すごいな、やっぱりゲームのツボがあるんですね。

GIGAZINE:
あと、番組では『ポポロクロイス物語』は世界で一番すごいゲームとおっしゃっていて……

真野:
ポポロクロイスはアニメも好きだったので。あと、『牧場物語』のポポロクロイスが出たじゃないですか。ちょうど忙しいときだったのかな、後からやろうと思って結局まだ手が出せなくって。あと、『ポポローグ』とかもやっていました。

GIGAZINE:
うわ~!僕もハマりまくりました~!

宇多丸:
僕もこれぐらいRPGネタで打って響けばいいんですけどね(笑)

GIGAZINE:
特にこれだ、というゲームを一つ上げるとしたら何でしょうか。

真野:
やっぱり『ファイナルファンタジーIX』です。でも、『ドラゴンクエストVI 幻の大地』もすごく好き。あ、でも『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』も好きだな……


宇多丸:
その差はやっぱりストーリーですか?ゲーム性?

真野:
あとキャラクターもありますね。幻の大地は別の世界がまたあって、そっちにも自分がいて、石化した自分がいて、という。

宇多丸:
パラレルワールドだ。

真野:
そうなんですよ。DQ 7は、自分たちの島しかないと思ったら、遺跡を見つけて、漁師の人たちが持っている石版をはめたら違う世界にワープして、そこは過去なんですけど、過去に行って何かクリアして帰ってくると、「島が現れたぞ!」ということで自分たちが島をよみがえらせるという。

宇多丸:
なるほど、少し歴史改変物みたいな。ていうか、すごくよく覚えていますね!

真野:
めっちゃハマっていましたもん。移民の町とかも、カジノの町にしたくて荒くれとかバニーガールがひたすら出るまで宿を出たり入ったりして。

GIGAZINE:
すごいな……(汗) ゲーム好きの方は何人か私も知っていますが、ここまでの方はなかなか……

真野:
兄の影響です、負けず嫌いで、移民の町もどっちが早くカジノの町にするかとかやっていましたね。

GIGAZINE:
ちなみに宇多丸さんは、これ1本というのはありますか?

宇多丸:
1本か~

真野:
その時によって変わりますよね。

宇多丸:
いや、でも僕は「ロックスター」という、『グランド・セフト・オート』とかを出している会社の作品がとにかく趣味が合うんです。映画の影響とかヒップホップとかの音楽の影響がすごい作品に色濃く出ていて、映画自体も僕が好きなタイプの映画だったりするんですが、その中で『ブリー』という、やっぱりオープンワールドゲームがあるんです。これは、不良な感じの男の子が主人公で中学生なんだけど、すごく厳しい寄宿舎学校みたいなところに、親にぶち込まれてしまうんです。

その子がなかなかの「きかん坊」な子なんだけど、その学校の中で授業を受けたり、他の不良と戦ったり、ゲームの中に広がっている町の人たちと触れていく中で、少しずつ成長していく話なんです。いきなり学校にたたき込まれてそこからいろいろやっていくんだけど、そのオープンワールドの中で少しずつ自分が何か操作を覚えていくというのは、少年の成長と一致しているんですよ。授業とかも悪ガキなので本当は授業なんてサボりたいんだけど、授業を受けるとちゃんとスキルがアップするから、「まぁ授業受けとくかな」みたいな。


GIGAZINE:
なるほど。本当の人生みたいだ。

宇多丸:
でも、町の外側で悪いおじさんから教わることもあるし、「自分のゲームが上達していく」とか、「あれができるようになる、これもできるようになる」ということが、人間の成長みたいなのと一致しているんです。四季の表現とかもすごくきれいで、ある朝ステージが終わってパッとなると外が一面雪景色で、自転車に乗って雪景色に跡を付けて走るだけでも楽しかったりとか、そういうかわいらしいのもあれば、町外れのタトゥー屋さんでタトゥーびっしりみたいなのもあって(笑) そして、ストーリーもちゃんとあって、通っている学校の校長の悪事を暴く、みたいなジュブナイルストーリーみたいなのもあって。だから、すごくワルなんだけど、「あ、こいつは立派な大人になるな」という感じがあるんです。そんな、ゲーム性とテーマとストーリーとキャラクターとが合わさるような、そういう意味で『ブリー』はかなり好きです。

GIGAZINE:
『グランド・セフト・オート』とはまた違うリアルワールド感がありますね。

宇多丸:
そうですね、あとはやっぱりゲーム性とお話の感動が一致しているとグッときてしまいますね。同じ「ロックスター」でもうすぐ続編が出るので、僕はもう本当に仕事を辞めてゲームに専念しなきゃいけないんですけど(笑)、『レッド・デッド・リデンプション2』っていう、西部劇がベースのゲームが出るんですよ。で、その前作となる一作目では、主人公は散々人を殺してきた「許されざる者」っていう感じなんですけど、自分がゲームの最初の方でいろいろ覚えたことを息子に教えるというくだりが出てきて、「あれ?これって何か映画で言うとフラグ立ってない?」みたいな感じで。さっきまで人殺しばかりしていたのに、急に平穏な日々が来て、息子にいろいろなことを教えるんです。

例えば馬のならし方とか、牛はこうやって柵に入れるとかそういうのをゲーム的にやるわけですよ。そうこうするうちに追っ手が来てしまって、取り囲まれて、映画でよくある状況に陥るんです。「多勢に無勢」で、死ぬのを覚悟で出ていくしかないみたいな。その時にゲームの伏線がつながる感じなんですよね。撃てるだけ撃つんだけど、もうダメだという無念の死の感じがゲームで味わえ、主人公が悪者たちの集団に殺されて、「無念だ、息子よ、お前たちは無事で……!」という感じで終わるんです。でも、そこはゲームならではのシステムで、終わらないんです。だって、ゲームはデータが受け継げるでしょ?「そうか、息子に教えてるというのはそういうことだったのか……」という。


GIGAZINE:
そこにつながるわけですね。

宇多丸:
そこでもう鳥肌が立つぐらい感動して、「すごい……!!」っていう。これだけは映画では表現できない感動というか、自分がずっとゲームを通じて積み重ねてきたことが次世代に受け継がれて、自分がやり遂げられなかったことを息子に託すというのが実感できる。映画ももちろん好きなんですけど、これは映画では味わえない、他のメディアでは味わえないゲームの感動でした。

GIGAZINE:
没入できる感じなんですね。

宇多丸:
そうだし、ゲームシステムと一致している。

GIGAZINE:
いま、宇多丸さんのお話をお聞きしているだけで、ゲームを1本やったような気持ちになりました(笑)

宇多丸:
ロックスター社を信奉しております(笑)


GIGAZINE:
宇多丸さんはラジオの中で、よくゲーマーのことを「ボンクラ」っていう言い方をされてると思うんですが、個人的にすごく好きだなーって思うんです。なんというか、ゲーマーというものをうまく表している感じがします。

宇多丸:
ゲストの方でもそうなんですが、ゲームのお話をされている時はみんな無邪気に熱く語って、必ず熱く語った後に、「……という自分はダメなんだが(笑)」みたいな、それが入るのがまたかわいいんですよ。それって、ゲームをやる人だったらどこかしら分かるというか、ついやり過ぎてしまうし、寝ないでやってしまったりとかいうのもあるし。

GIGAZINE:
どこかに「背徳感」みたいなものがあるのかもしれないですね。

宇多丸:
背徳感とか、やっちゃった感みたいな、誰もが共感できるから、そこがまたどうしようという感じになって、急に距離が近く感じられていいことだなと思います。あと、さっきの真野さんじゃないけど、すごく無意識の状態が出たりする。

真野:
怖いですね~……

GIGAZINE:
あの時の真野さんの音声はラジオで流れるんですか?

宇多丸:
事務所さんの許可をいただければ……(笑) 最高でしたよ、あんなに楽しそうにゲームをやる人いないです。

GIGAZINE:
上達の早さもすごかったですね。

真野:
ゲームだけは初めてやるものでもうまくできちゃうというか、現実的には苦手なことが多いんですけど。


GIGAZINE:
ゲームは人柄が出るというか、そんなことがよく分かりました。

宇多丸:
杉浦太陽さんもVRをやってみると、あの好青年から「オラオラ感」が出てくるんですよね。鳥のワシの視点になって飛ぶというVRをやってもらったんですけど、僕なんかはもう、最初はおっかなびっくりやっていたのに、杉浦さんはいきなり最初からすごく水面スレスレを攻めるんですよ。

真野:
確かに、VRは我を忘れますね。でも、終わった後すごくスッキリします。

宇多丸:
ストレス解消ですね。人間の脳はただ寝ているだけでは休まらなくて、普段の仕事とか生活と関係の無いことに使うのが一番休まるんだって。だから、疲れたときにゲームをするのは間違っていないんです。脳の全然違う場所に重きを置くから、使ってないこっち側は休む、っていうね。脳自体は休まらないから、疲れちゃってる仕事の部分とは違う部分に完全に意識を振っちゃうと、今までの部分は休める、という理屈なんです。本当に科学的にもいいんだと思われます(笑)

真野:
息抜きは大事ですね(笑)

GIGAZINE:
ゲームは脳にもいい、というお話しが出たところで(笑)、お時間になってしまいました。本日はありがとうございました。

真野:
すっごい楽しかったです!

宇多丸:
最高ですね。

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こんな感じでラジオ収録&インタビューは終了。お二人のゲーム愛が「これでもか!」というほど伝わってきて、「もっとゲームやろう!」となんだか励まされた気持ちになってスタジオをあとにしました。

宇多丸さんのラジオ番組「プレイステーション presents ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ」はTBSラジオで毎週土曜深夜0時から放送。放送後も「rajiko.jp」や「TBSラジオクラウド」で日本のどこからでも聴くことができるので、ぜひ二人のアツいトークに触れてみてください。

ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ|TBSラジオAM954+FM90.5~聞けば、見えてくる~
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