インタビュー

生アニメ「みならいディーバ」製作総指揮の吉田尚記さんにインタビュー


2014年7月14日(月)からNOTTVで放送がスタートする「みならいディーバ」は、声優さんが全身にセンサーをつけて演技をして、その様子をリアルタイムでアニメに変換して放送するという、史上初かもしれない「生アニメ」。当然、実現までにはいろいろな苦難の道のりがあるわけですが、それに挑んだのがニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さん。サブカル好きとして知られており、アニメイベントの司会などでもおなじみの吉田さんには今回、「製作総指揮」の肩書きがついています。

一体、この企画が生まれるまでには何があったのか。そもそも、あちこちに姿を見せる吉田尚記という人物はいったいどんな人物なのか。少しでもその実像に迫るべく、インタビューを敢行しました。

みならいディーバ | NOTTV「吉田尚記がアニメで企んでる」から生まれた新アニメ
http://minaraidiva.jp/

よっぴー (yoshidahisanori)さんはTwitterを使っています
https://twitter.com/yoshidahisanori

「みならいディーバ」が生まれたきっかけ
GIGAZINE(以下、G):
「みならいディーバ」はNOTTVで放送されていた「吉田尚記がアニメで企んでる」の中で生まれた企画なわけですが、いつごろからアニメを作ることを考えていたんですか?……というのも、アニメの制作については、番組では2013年5月21日の第6回放送の石舘光太郎(石ダテコー太郎)さんと福原慶匡さんがゲストの回で「アニメ、作りませんか」と吉田さんが切り出していますが、タイトルに「企んでいる」とあるのは実は放送前からこれを企んでいたのかな、と……。

吉田尚記(以下、よ):
そもそも、他局(ニッポン放送)のアナウンサーがNOTTVで番組をやるということ自体、どうなのよ、というところがありますよね(笑)

G:
確かに(笑)

よ:
「吉田尚記がアニメで企んでる」は、まずNOTTVで何かアニメ関連の番組をやれないだろうかという話があって声がかかり、そこに常々思っていた「これまでにない方向のモノをやろうよ」という企画をお送りしたんです。「アイデアない?」「やります、あります」と。他にも企画は出ていたみたいなんですが、僕の案が通りまして。

NOTTVには副島さんというプロデューサーがいらっしゃって、この方がとにかく動く動く。そもそも「クリエイターにお話を聞こう」というコンセプトの番組だったんですが、話を聞くだけではなくプラスで何か欲しいねということを話し合っていて、その時に副島さんが「アニメを作るとかどう?」って言ったので、僕も「いいですね」なんて言っていたんです。

そもそも、本気でアニメを作っている人たちはたくさんいるので、そこに混じって「アニメを作ります」と素人が名乗りを上げるのは失礼な話だなと思っていたので、逆に素人だからこそ取り組めるものもあるのではないかと考えました。プロだとリスクを考えてるとできないようなことでも、素人ならできるんじゃないかなと。だとすると、自分たちができることとアニメを組み合わせると何がいいかな?と考えて、この「生アニメ」の企画が出てきたんです。


G:
なるほど、企んでいたわけですね。

よ:
石ダテさんと福原さんがゲストの回で切り出したのも、2人は「てさぐれ!部活もの」とか「直球表題ロボットアニメ」とかMMDを使ったアニメを作ってきているので、「この人たちなら……」という狙いがありました(笑)。ただ、本当に話が決まったのはあの時、あの場です。

G:
え、吉田さんが「生放送にこんなこと言うのもあれですけど、作りませんか?」と聞いたら石ダテさんは「やりましょうよ」と即答でしたけど……。

よ:
生放送で、その場で決まったんです!(笑)

G:
えええ……(笑)

よ:
作ることが決まって、さてどうしようと考えたときに、みならいディーバでリアルタイムCGの部分をやってくれているDxL(ディーバイエル)と他の仕事で知り合っていたのと思い出して、他にも「そういえば、あの人にはこういうことをやってもらえるかも」みたいなことで、これまでの人脈をフル活用しまして。

G:
あちこちに蒔いた種が芽吹いて1本の大樹ができた、みたいな感じですね。

よ:
こんなの作るとは思っていなかったので、計画してやっていたわけじゃないですけどね(笑) でも、おかげさまで強力な面々にお手伝いいただくことになりました。


G:
YouTubeの「吉田尚記がアニメで企んでる」公式チャンネルでこのアニメ化プロジェクトについての映像が公開されているので、どんな流れで作られていったのかは今からも追いかけることができるんですが、荒海を渡っていくようなプロジェクトなのがわかります。

【吉田尚記がアニメで企んでる】1月21日O.A.アニメ化プロジェクト - YouTube


よ:
当初はラジオ番組っぽい感じを考えていたんですよ。それがなんやかんやとありまして……。

G:
10月ごろにはパイロット版MMDを作ったりされてますね。2014年3月の「AnimeJapan 2014」では「みならいディーバ」として放送予定であることが発表され、デモンストレーションも実施されたわけですが、吉田さんには「製作総指揮」という肩書きがついています。これ、似たような肩書きは映画で見たことがあるものの、少なくともシリーズもののアニメだと見かけないものなんですが、なぜ「製作総指揮」なんですか?

よ:
うーん……なんなんでしょうね?(笑) 例えば監督や脚本の面は石ダテさんがやってくれているし、プロデューサーは福原さん、配信側プロデューサーには先ほど名前の出た副島さんがいますし、CGのモデリングやアニメを作るところや、それぞれに仕事をしている人はいるんですよね。僕は何だろうなぁ……「言い出しっぺ」ですかね。


G:
少なくとも、制作現場で陣頭指揮を執って「あれやって、これやって」というわけではないんですね。

よ:
そこはお任せしています。そう、会議の時にああでもないこうでもないと議論が紛糾したときに、プロジェクトの方向性を示す船頭みたいな役ですね。今回の場合は「生放送のアニメ」というところはブレないでいこうと。

G:
ふむふむ。

よ:
僕はアナウンサーをやっていることもありますけど、「生放送」って重要な要素だと思うんですよ。ラジオ局への問い合わせで多いのは「この番組は生放送ですか?」というもので、「生ですよ」って答えると喜ぶ人が多いんです。そりゃ「録音です」といって喜ぶ人はいないわけですけど、そこには生放送の力というのがあると思うんです。


G:
それ、何となくわかりますね……。深夜にラジオを1人で聞いているとき、生放送の番組だと、直接顔を合わせているわけではないけれど、1人じゃなくて繋がってるような感覚があります。今回の生アニメでは、声優さんがそのままセンサーを全身につけて演技していて、その動きと連動したフルCGキャラクターのアニメが見られるわけですよね。

よ:
そうですそうです。

G:
その演じている声優さんの側は見られるんでしょうか?

よ:
特典映像にしようかなという話はしてるんですよ。あと、NOTTVは7月1日(火)からチャンネルが増えるってご存じですか?

G:
ちょうどニュースになってたヤツですね。

よ:
それを使って、全話数ではないですけど、アニメの裏で声優さんがこう動いているメイキング版を同時放送できたら面白いなと考えています。

G:
面白そうですね。そういえば、製作委員会名が「(※ネタバレ注意)最終回は生でライブやるかも委員会」とネタに走ったものになっていますが、ライブはやる予定ですか?毎回、歌を自分たちで作詞して歌うことになっていますが。

よ:
どうでしょう、ライブもやれたら面白いですよね。ネタバレ注意ということで、最終回までどうなるかわかりませんけど……でも、生放送だからネタバレしようがない(笑)

G:
そういえばそうですね。まさか製作委員会名にこんなのをぶっ込んでくるとは……。

よ:
いやー、何入れてもいいところなので、じゃあせっかくだからこれにするかと。実際、ここは別に何にしたっていいんですよ。

G:
作品名を入れて「○○製作委員会」ってなってることが多いですけど、作中に出てくる団体や機関の名前を使っているケースも見かけますね。

よ:
そう、何だってOKなんですよ。それだったら、記事に必ず入れてもらえるんだから利用しない手はないなと。やっちゃいけないとはいわれていないので。これ、アリじゃないですか?


G:
なるほど、裏技的な使い方ですね。

よ:
いろいろ頑張って動いております。

G:
「吉田尚記がアニメで企んでる」公式チャンネルのムービーを改めて拝見すると、最後に公開されているのは2014年1月のものなんですよね。それまでの会議で「毎回吉田さんが死ぬオチにしよう」とかあれやこれやと難航しているのに、1月の段階でもまだアニメはできていなくて、それがAnimeJapan 2014のステージでは「みならいディーバ、やります」というところまで来ていましたが、この2カ月間に何があったんですか?

よ:
もう、それこそ言えないぐらいのことがありましたよ!(笑)

G:
そこまでの会議風景には吉田さんがニッポン放送の取締役に怒られているところもあったりしましたが……。

よ:
現状、怒られたステータスのままですね。ただ、怒られて「やめろ」と言われたわけではなく、怒られたけれどもやっていていい、黙認というところです。あの頃何があったかというと……まず、僕がコミケにブースを出したときに足立慎吾さんが来てくださって、キャラクターデザインをどうするかも固まっていない時点だったので、「足立さん、NOTTVでこういうのを考えているんですが、いいですか?」とご相談したら、足立さんが「いいですよ!」と、わずか2分ぐらいで決まりまして。

G:
早い!当初は監督未定、キャラデザも未定、でも企画は進めていくぞ、みたいな流れでしたが、そんなとんとん拍子に……。

よ:
足立さんからは「その代わりにラジオに出してよ」って言われて、「え?それでいいんですか?」みたいなやりとりもありました。怒られた頃には、3月にNOTTVの番組が終了することになって「アニメを作ると番組中で言っていたからには、何かやらないとオチないじゃん」と……。AnimeJapanでの発表に向けては、そりゃあもう色んなことがありました。でも、怒られるときに、怒られ方自体はそんなに理不尽なものではなかったので、「これはみんな期待しているんだな」とも感じました、生暖かく見守られている感ですね(笑)。

G:
「吉田、こんなことやってるのか」と周囲に人垣ができている、みたいな(笑)

よ:
それは常々言われていますね(笑)

「吉田尚記」ってどんな人?
G:
こうしてお話をしていると、本当に吉田さんって一体何者なんだ?「アナウンサー」??と思わされることばかりですね……。

よ:
編集の方以外はあまり知らないかもしれないんですが、実は今、コミュニケーションの本を書いていて、日々自由時間は執筆に充てているんです。

G:
そういえば吉田さんのツイートに最近ちょくちょくとハッシュタグ「#yoshidabon」が出てきていますが、それだったんですね。以前、本を出したときに使っていたものなのに、また出てきているとは思ったんですが……。

よ:
編集さんからは「吉田さん、仕事しすぎです」って言われてます。仕事しすぎって言っても仕事のつもりはないし、「ううう……」って寝落ちしてフッと起きたりはしますけど(笑)

G:
6月のツイートを拝見していると、ラジオの生放送の後、しばらくすると「事務作業が終わった」というツイートが朝方にあって、その後寝たのかなと思ったら「この人、サッカーの試合見てる!」ってのがあったりしてびっくりです。

よ:
いやー、DVDを再生し終わって寝ようかなと思ったら試合が始まっていたので、「やってるなー」って。

G:
ツイートを追っかけていると「ヤバイぞ、この人、寝てないぞ!」と思うときがあります。

よ:
うーん、確かによく「寝てないよね」って言われますね。いやいや、わりと寝てるし、寝るのも好きなんですけどね。そうやって寝てないように見えた方が面白いかなということにも最近気付きましたけど(笑)

G:
確かにいつでも動いている吉田さん、面白いですね。

よ:
これ、辛いことはなにもやってないですからね。ジムへ行くとか、そういうレベルの辛さすらもないです。やりたいことだけしかやっていないので。

G:
本人としては睡眠も足りている、と?

よ:
そうですね、本を書くあいだにこうやって(キーボードを打つ姿のまま)寝ちゃうのはまずいなとは思いますが(笑)、でも、それぐらいかな。だって、人間というか、哺乳動物がなぜ寝るのか、睡眠を取るのかはまったく解明されていないらしいですからね。事実、調べてみると脳の障害とかで何十年も寝られなかった人の事例もあって、生存のためには睡眠は必須ではない。でも、なぜ寝るのかはわからない、と。大体において「7~8時間寝ればいいんじゃない」とみんな言うけれど、それも疑問っちゃ疑問で、僕自身、ショートスリーパーのつもりはないんです。子どものころはちゃんと寝てたし、大人になってからも寝てたけれど、今はしょうがない。3時間で起きないと回らないから起きてます。で、体調が悪いかというと健康診断はオールAだし、何が悪いの?という状況です。


G:
ふむふむ……寝ていると他のことを何も進められないというのは大きいですよね。

よ:
大きい!ほんとに進まない。進まないし……面白いからいいかなと(笑)。たまに寝ると超楽しいですよ、「よく寝たなぁ」と。

G:
睡眠自体を面白く感じている!(笑) すでに話の中に出てきていて野暮な質問かもしれませんが、吉田さんにとって仕事というのはすごく楽しいものですよね?

よ:
ぜんぜん仕事感ないですよ。

G:
ですよねー。そもそも、「気分転換」みたいなものも必要ないのではないですか?

よ:
いらないですね。

G:
むしろ、今やってることから離れたくないぐらい?

よ:
全部やってたいです(笑) 「みならいディーバ」の会議もずっとやっていたいし、本も何時間も書いていていいならそうしたいし、イベントの司会でも始まると「いつか終わるんだなぁ」と思うし、放送も53分で毎日時間が足りないわけです。

G:
1日が24時間では足りないような生活ですね。

よ:
全然足りない。……いや、どうなんだろう?足りないような気はしますけど、みんなは「時間が足りない!」とイライラっとした感じになるじゃないですか。そういうのは一切ないです。イライラではなく、「ああっ、今日も気がついたら面白いままに1日が終わっていた!」という。

G:
ふむふむ、確かにたまに時間が飛ぶような感覚を覚えることがありますね。

よ:
やりたいことというとトーンコネクトもそうだし……ん?たまに?ほぼ毎日!(笑)

30秒でわかるトーンコネクトの使い方 - YouTube


G:
ハマっているものからふと我に返ったときに「2時間も経ってる!」というアレですね。全てにおいてあの感覚が……。

よ:
そうそうそうそう。たとえば6月14日・15日は大阪にいたんですけど、そこから一週間経っても大阪にいたような気がしていましたもん。

昔、京極夏彦さんにお会いしたとき、京極さんが「この世の中に面白くない本はない」と仰っていたんですが、僕も「この世の中で面白くないことって何だろう」っていうように……大体において面白いじゃないですか、そう思って生きてきてます。

G:
なるほど……。守備範囲、かなり広いですよね。

よ:
いや、結構偏っていると思いますよ?

G:
アニメイベントの取材に行ったときに吉田さんを見かけて「お、今日は吉田さんが司会なのか」と思っていたら、今度はアニメと関係のないところにも吉田さんがいたりして「おお!?」みたいになることがあるんです。

よ:
ありますよ。アナウンサーという職業の面白いところはそこで、アナウンサーって他の職業と違って、どこにいてもみんなそこそこ納得するんですよ。例えば、アナウンサーがバラエティ番組の司会をしていてもいいじゃないですか。戦場からレポートしていてもいいし、幼稚園児にインタビューしていてもいいし、総理にインタビューしててもいいんです。


G:
そう言われてみると、「アナウンサー“なのに”あちこちで色んなことをしている」というよりは、アナウンサーだからこそあちこちに出没してもおかしくない。

よ:
そうなんです、僕の「アナウンサー」という肩書きの一番の悪用方法はそれです(笑) しかも、前振りに使うと何でも面白く見えるというズルいヤツなんです。例えば「自衛官グラビアアイドル」のように「自衛官」を前振りに使うと面白くなりますけど、それと同じように、アナウンサーで製作総指揮って面白いじゃないですか。これが「NOTTVのプロデューサーが製作総指揮」だと「うん、まあ、そうだよね」と納得してしまうんですけど。だから、「ズルいな俺」って。

G:
1つの武器なんですね。

よ:
そう、肩書きは最大の武器なんです。……そうじゃないと「よくわかんないおにーちゃん」ですもん、本当に(笑)。アナウンサーなのにこの格好という時点でちょっと面白いんですよ。NHKのアナウンサーが、いくら普段だからといっても、休日にジャージ姿で自転車に乗ってコンビニに来たらみんな笑うでしょう?そう考えると「なんておいしいんだろう」と思います。実態としては、30代後半の男がこの格好というのは何の不思議もないんですけどね。


G:
端から見ていると仕事仕事&仕事で大変そうに見えていたけれど、実際はすべて楽しくてしょうがないという吉田さんですが、「これがあると頑張れる」という食べ物とか飲み物はありますか?

よ:
……それはGIGAZINEさんの無茶な大食いレポ的な……?

G:
いやいや(笑)、相当な量の仕事をこなす中でどういった食事をしているのだろうかと、疑問に思いまして。

よ:
これは説明すると誤解を受けてめんどくさくなるのであまり言わないんですけれど、基本的に、僕1日1食なんですよ。いろいろ聞いてみると1日1食でドカ食いという人は結構いて、例えばGacktさんや秋元康さんもそうらしいです。


G:
1食集中タイプ。

よ:
しかも生放送やっているので……僕は日本酒が大好きで、自宅の冷蔵庫には常時日本酒の一升瓶が3本ぐらい入っているというぐらいに好きなんですが、生放送中は飲めないじゃないですか。だから、仕事が終わって朝5時ぐらいに帰って、そこからアニメを見ながら飲んでます。

G:
おっ!? めちゃくちゃ幸せですね!

よ:
もう、超幸せ。そうこうしていたら娘が起きてくるので、娘が学校へ行く支度をしている横でアニメを見ながら飲んでいる、という。

G:
うわあ!事情を知らないで見たらすごい光景ですね。

よ:
将来、娘が大きくなって「お父さんは何をしていたの?」って聞かれたとき「朝からお酒飲んでいた」って答えたら、それは正解なんです。

G:
正解だけど、正解だけど……

よ:
でもウソじゃないし。僕の嫁さん(吉田めぐみさん)は結婚してから野菜ソムリエの資格を取ったので、今は野菜ソムリエできき酒師でもあり、さらにワインエキスパートを取っている最中の「何者だ?」という人なんですけど、だからメシも野菜ばっか食べてます、ラッキーなことに。ちょうど嫁さんが青森野菜を仕入れて売るみたいな仕事を築地の酒屋の軒先でやっていて、そこからいただいたものを食べているので、すごくおいしいですよ。それこそ、外食で野菜を食べると「あ、こうなっちゃうんだ?」って思うぐらい。

G:
そんなにも違いが?

よ:
おいしいですよ~。嫁さんの仕事の都合ですが、うちは農業新聞を取ってますからね!

実際、吉田めぐみさんのTumblrはこんな感じで野菜ネタがギッシリです。

♪ひだまり野菜日誌♪
http://yoshidamegumi.tumblr.com/

G:
ということは「あのラーメンが!」とか「このお店のごはんが!」とか、そういうのではないんですね。

よ:
……ああ!そういえばラーメンは去年食べてないかも……。ただ、甘いものは大好きですけどね(笑) 「炭水化物抜きのダイエット」みたいなことを言いますけど、僕は意識してやっているのではなく、食いたいものを食っていたらそうなっているだけ。でも、日本酒だからめちゃくちゃ米ですし、糖質はすごく多いです。日本酒と甘いものを毎日摂ってるから「炭水化物抜き」というわけでもないですね。

それこそ、カロリーの概念って調べるとムチャクチャじゃないですか。カロリーって燃焼の力でしょ?なのに数値が一ケタまで出るのはなぜだと昔から思っていて、調べてみたら、あれは実際に燃やしてみてその熱量を出しているんですよね。でも、人間とか動物とか、食べ物を食べてエネルギーにすることを燃焼というけれど、それは燃焼じゃないだろうと。


G:
体の中で火をつけて燃やしているわけではないですね。

よ:
これをカロリーという概念で測るのはおかしいんじゃないかと思ったんです。こんな感じで、世の中で当たり前のように言われていることに対して「本当にそうかな?」と疑問を持つというのが、僕の基本スタンスみたいです。アニメも「生放送じゃできない?本当にそうかな?」と。

G:
「やってみればできるんじゃないか?」ということですね。

よ:
「やっぱりダメだった」というときもありますけど(笑) 今回はやってみたらできました!……かもしれない。

G:
今のところ「できるっぽい」という感じですね。

よ:
当たり前に「いい」とか「だめ」とかいうことは、やれない理由がはっきりしていない限りやっていいんじゃないかなと思っています。逆に、どう考えてもやっちゃいけないことは一生懸命考えてみて、やっぱりそうなんだと腑に落ちるまでやらずにとっておく。「なぜ人を殺してはいけないのか」ということもすごく考えてみたり。


G:
ふむふむ……

よ:
そうすると、人を殺してはいけないというルールは存在しないんですよ、歴史上。ところが「味方を殺してはいけない」ならあるんです。そういう社会でなければ存続していない。「人を殺してはいけない、なぜ?」だと答えに窮するけれど「味方を殺してはいけない」なら「問答無用だよ」という話でしょ。……ということが、次のコミュニケーションの本に書かれています。

G:
おっ、次の本はいつ頃出るんですか?

よ:
秋頃ですね。コミュニケーションの本をそのまま作るのは面白くないのと、自分で考えていることを書くよりもしゃべったほうが出やすいんですよ、職業柄。なので、本で書く内容をひたすらニコ生で喋っています。本に書く内容でやっちゃいけない理由はないですよね、じゃあやろうと。

『コミュ障のワタシよ、さようなら』その1(全6回予定) - 2014/05/02 22:00開始 - ニコニコ生放送
http://live.nicovideo.jp/watch/lv177864748

G:
なるほど、確かにいけないことはない。

(ここで飲み物が出てきて)
よ:
そう、「水飲まないの?」みたいなことも言われますが、僕、生放送やってますけど水飲まないんですよ。

G:
「パリパリ音たてるなよー」なんていいながらお菓子をつまんでる番組もあったりしますけど、吉田さんは飲食なしで?

よ:
別に食べてもいいんですけど、その時間、もったいないじゃないですか!やりたいこと、いっぱいあるのに(笑)

G:
時間はこれだけしかないのに(笑)

よ:
そうそうそう。お菓子を食べてやるという時には、それはそれでOKなんですけどね。


本の話に戻ると、本は別のタイトルになると思いますが、ニコ生は「コミュ障の私よ、さようなら」というキャッチーなタイトルにしています。自分のチャンネルで、他には告知していないんですが5000~6000人は見てくれていて宣伝にもなっているし、一石二鳥と。

G:
そのタイトルはちょっと気になりますね。

よ:
「コミュ障」がなぜ生まれるのかもわかりました。

G:
おっ、解決……!?

よ:
解決はしないんですけど(笑)、核家族化が進んで好きな人としか会わなくなっているじゃないですか。でも仕事をすると、いろんな人と会わないと仕事にならないんです。生育と社会のニーズのギャップがココにあるんです。だから、その結節点である就職活動で、みんなえれぇつまづくんですよ。……という、すっごいわかりやすい話なんです。

G:
ふむふむ、おじいちゃんおばあちゃんと同居していたり、親戚づきあいが濃厚な中で育つと、いざ社会に出ても「ん、親戚のおっちゃんの相手するのと変わらないな」と思えるみたいなことですかね。

よ:
ええ。そしてコミュニケーションのチャンスとして面白いのが、携帯電話はいつでもどこでもコミュニケーションをとれるアイテムですけど、裏を返すと、常時コミュニケーションをとっていなくても大丈夫になってしまったんです。ラジオなんか特にそうですが、みんな、寂しいのはイヤだけれど煩わしいのもイヤなんですよ。


G:
みんな難しいことを要求しますね(笑)

よ:
家族とか結婚相手とかがそばにいると寂しくはないけれど煩わしいことがありますよね。これは煩わしさと引き換えに「寂しくなさ」が手に入っているんです。煩わしいことを避けると、寂しくなることは避けられない。この2つはトレードオフなんです。ただ、どこでバランスを取るかは自由なんですが、今はみんなが「寂しい」の方に行っているので「無縁社会だ」と言われるんですね。昔は「有縁社会」でそんなことはあり得なかったんです。ただ、このことは選択可能、セレクティブで、自分で選んでいるはずです。だから、無縁社会ではなく「セレクティブ縁社会」ですよ。

G:
なるほど、そうなることは自分たちで選んだじゃないかということですね。

よ:
そう、選べるんです。……てなことを話をしていて、ムムッ?て疑問を持ったら考え始めて結論が出ると前に進むし、そうじゃないときは進まない。空論だと面白くないので仮説を立てたらどんどんやってみる。仮説大好きなんです。

G:
こうして話をしていてもポンポンと話題が飛び出してきて、そういえばTwitterでRGさんが吉田さん宅の本棚を荒らしている写真が公開されていたなぁと思い出しました。

書籍の中でも「とにかく乱読多読、何千冊読んできたかわかりません」と書かれていましたが、本はとにかく大量に読まれているんですか?

よ:
だって、面白いじゃないですか、本って。

G:
ですよね。面白かったら何でも読むんですか?

よ:
ジャンルを縛る必要はないし、何に興味が出るかはわからないじゃないですか。昨日までは興味がなかったことに今日目覚めるということもあり得ますし。逆に、昨日まで興味があったのに今日は興味がなくなった……ということはそんなにないと思うんです。

G:
確かに、興味はどんどん広がる一方ですよね。アレとソレが繋がって「そうなってたのか!」と。

よ:
今はどこにいても興味が出てしょうがない。今もこのインタビューの場所はどうなっているのか、興味バリバリです(笑)

G:
本を買うときの方針みたいなものはあるんですか?

よ:
オススメか、勘です。誰かが「これ、良かったよ」って言っていたら「そうなんだ」と、とりあえず読んでみる。読み終えたら巻末にオススメが載っていたりするので、その中に「ムムム」というのがあれば即ポチる、と……。

G:
その繋がりは止まりませんね。

よ:
何を見ていても興味が止まりません。

G:
実際に本としての蔵書数は相当なものですが、電子書籍の数も……。

よ:
もうパンパンですよ、この中にも何百冊と入っています。

G:
移動中も読書したりなさっているんですか?

よ:
本を読んだり、ツイートしたり……そうだ、僕がやらないもの、スマホのゲームとか全然やらないんです。

G:
そうだ、それもお伺いしようと思っていたんです。ゲーム類はどれぐらいやられるんですか?

よ:
ゲームだけがあまり強くないんです。アニメ・ゲーム・マンガは繋がっているというイメージがあるので、きっとやっているだろうと思われがちなんですが、あまりやっていないんです。

G:
それは時間を食われるから?

よ:
それが最大のポイントです。面白くてやっちゃうと大変というのもありますが。ただ、ゲームはアニメ・マンガのお隣さんではあるので、ちゃんと「隣村の現状はどうなっているかな?」ということで知っているというところです。だから、仕事を頼まれればすぐに返すことはできます。あと、仕事を頼まれたとき、自分が興味のないものでも誰かは興味を持っているのだから、必ず面白いところがあるはずだと思って「どこだろう」と見ているときにバチンとわかったりするんですよ、「おンもしろ~い!」って。そうやっているともう、きりがないですね(笑)


G:
なぁるほど。

よ:
ちょっと前に放送作家さんと一緒に、「今までに録画してあるアニメと買ったDVDと平均余命を考えると、俺たち全部は見られないんだね」って話をして、「新作も間違いなく出ますしね」って言っていたんですよ。でも、これでいいんだろうな、自分の人生の面倒は見きったなと(笑)

G:
旧作で「これまだ見てないヤツだ」という作品がある一方で、新作も毎週どんどんとエピソードが追加されていくわけですが、吉田さんはどちらから見ることにしていますか?

よ:
勘ですね。

G:
勘ですかぁ……。自分も毎日5本ぐらいは見るようにしているんですが、家に帰ってみるとレコーダーがぱんぱんで「全然減ってない!」という状況で。

よ:
同じですね、だから家に帰ったら「とりあえず再生」です(笑)

G:
他の人はどうしているのか気になっていたんです。特に、吉田さんはツイートを追いかけていると見ている暇がほとんどなさそうなので……。

よ:
だから今すごくありがたいのがdアニメストアです、移動中でもちょろっと見られるので。あとは第1話が好きですね、とりあえず1話を見ておけば、その後のストーリーを人からちょろっと聞いたりしたときに「なるほど、こう進んだのか」とある程度わかったりしますから。ただ、一方で困ったことに、あんなにも番組でネタにしているのに、「アナと雪の女王」をまだ見ていないという……

※注:このインタビュー実施直後、無事見に行けたようです。

G:
そんな感じで非常にお忙しい中でのインタビューなので、これを最後の質問にしたいと思います。仕事をしている中で「これを心がけている」ということはありますか?

よ:
断らない」。ものすごく許せないほどイヤってことが僕にはあまりないんですよ、今日のインタビューでも「地べたへ座ってやりましょう」と言われたら「そんなものかな」と思うし、逆に祭り上げられても困るし、マネージャーさんもいないからこの通りだし……。例えば「虫がイヤ」というのがあったとしても、虫だらけの場所にずっといるわけではないですから。スケジュール以上の理由で断ったことはないですね。先に来たものから受ける、ということでこの話をしていたら、東宝のプロデューサーに「地獄でなぜ悪い」の主演をしている國村隼さんも同じように、来たものから受けているよと言われました。

G:
映画監督の三池崇史さんも、オファーのあった順に撮っているという話を聞いたことがあります。

よ:
三池さんは自分から「撮りたい」と言ったことがないらしいですが、僕もそれと同じですね。もちろん「やれたらラッキー」と思う作品はありますが、自分から選ぶなんて、そんなことはとてもできませんから(笑)

G:
本日は長い時間、ありがとうございました。

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in インタビュー,   アニメ, Posted by logc_nt

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