瞬殺で予約受付が終了した「PlayStation VR」の体験会で現実世界に別れを告げ仮想空間に旅立ってきました

2016年10月13日に発売予定のVRシステム「PlayStation VR(PS VR)」は、6月18日に予約受付が開始されたものの瞬く間に品切れになり、ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジアから品切れのおわびと次回予約に関する公式アナウンスが行われるほど注目度が高い製品になっています。7月23日から数量限定で予約受付が再開されることになったPS VRと、最新ゲームの数々を体験できるメディア向け体験会に参加することになったので、PS VRがどのような製品になっているのか、仮想空間でプレイできるゲームがどのような内容になっているのか、実際に体験してきました。
PlayStation VR | プレイステーション オフィシャルサイト
http://www.jp.playstation.com/psvr/
◆PlayStation VR
体験会会場でPS VRとご対面。右側にあるのはPS VRのコントローラーとしても使用できるPlayStation Move(PS Move)です。PS VRの前面で青く光っているのはLEDライトで、これをPlayStation Cameraがトラッキングして装着したユーザーの頭部の位置や動きを検知できるようになっています。

ハード全体のデザインには滑らかなカーブを描く曲線が多用されていて、製品としての美しさも備えています。

2つのLEDライトをヘッドバンド部分にも搭載し、全部で9つのLEDライトをトラッキング。LEDライトに挟まれるような形でヘッドバンドの長さを調節するヘッドバンドリリースボタンが配置されています。

ヘッドバンド部分には締め具合を調節する調節ダイヤルを配置。ヘッドバンドリリースボタンと調節ダイヤルにより、PS VR装着時にきつすぎず、緩すぎずという絶妙な装着性を実現しています。

内部は眼鏡を着用したまま装着できる広々とした空間設計。

さらに、鼻が収まる部分にもカバーが付けられていて、快適な装着性が考えられたデザインになっていることがよくわかります。

ヘッドバンドやスコープ部の頭部に接する面にはクッション性の柔らかい素材があてがわれています。

スコープの底面にもスライドボタン(画像左下)を搭載。これを押しながらスコープをスライドさせると……

スコープが前後に動いて長さを調節可能。

PS VRを持って驚くのがVRヘッドセットの重量です。ケーブルなしでの重さは約610gで、手で持ってみると予想以上に軽量。また、前面のスコープ部分だけが重いのではなく、ヘッドバンドの後部にも重量感を持たせて、前と後ろのバランスがとられているのもポイント。前後のバランスをとることで、ユーザーが長い間装着していても疲れないように設計されているというわけです。

これはPS VRに同梱されるプロセッサーユニット。立体的な音響を実現する「3Dオーディオ処理」・PS VRとモニターに別々の映像を映せる「ソーシャルスクリーン」・仮想空間内で巨大スクリーンを視聴可能になる「シネマティックモード」という3つの処理を行うとのこと。

天面にはPlayStationのロゴ。

HDMIポートはTVとPS 4の2つを搭載。

プロセッサーユニットの背面にはHDMIポートの他にUSBポートと電源入力端子。

前面からはPS VRへと接続されている専用ケーブルが伸びています。

プロセッサーユニットのサイズは約143×36×143mmで、PS Moveと並べるとこんな感じ。コンパクトなので設置場所に困るということはなさそうです。

PS VRをじっくり見せてもらった後は、発売より一足先に最新VRゲームのデモを体験させてもらいました。
◆バットマン:アーカム VR
最初にプレイしたのは、ゲームの見本市E3で開催された「E3 2016 PlayStation Press Conference」で発表があった「バットマン:アーカム VR」のデモです。

「バットマン:アーカム VR」のトレーラーは以下のムービーから確認できます。
ゲーム『バットマン:アーカム VR』 2016年10月発売予定 - YouTube

バットマン:アーカム VRはPS VRを装着して、PS Moveを両手に持ってプレイします。なお、PS4のコントローラーでもプレイ可能です。

今回プレイしたデモは「バットマンに変身」「バットマンになって事件を捜査」という2つのパートに分かれていました。バットマンに変身するパートでは、バットケイブでバットマンに変身し、バットラングやグラップルガンといったおなじみのガジェットを装備して、それぞれのガジェットを使ってみるというバットマンになるためのチュートリアルのような内容になっていました。
バットマン:アーカム VRで個人的にすごかったのがPS Moveを使った操作です。モノをつかんだり、バットラングを投げたり、グラップルガンを発射したりという多彩な動きをPS Moveを使って行うことができ、これにより「今自分はバットマンになっているんだ!」という没入感を味わえます。

例えば、バットラングを投げるときは、ちょうど下腹部当たりに装備されているバットラングをPS Moveのトリガーをカチッと押し込んでつかみ……

そのまま振りかぶって……

ポイッと前方に投げるだけ。仮想空間と現実世界のプレイヤーの動きがリンクすることで、本当に自分がバットマンになっているような強烈な没入感を体験できるというわけ。

「バットマンになって事件を捜査」は、殺人事件の現場で指紋を採取したり、犯行時刻の映像を再現したり、ゲーム「バットマン:アーカムナイト」でも出てきたディテクティブモードをバットマンになりきって体験できるというもの。敵を爽快に殴り飛ばすというアクションはありませんでしたが、仮想空間で再現されたバットマンワールドは「すごい」の一言でした。
デモプレイを体験した後は、バットマン:アーカム VRを開発しているRocksteadyのブランドマーケティングプロデューサーのDax Ginn氏に気になることを聞いてみました。

GIGAZINE:
デモプレイは自由に動きまわるというのではなく、あらかじめ指定された場所(視点)を移動するという仕組みでしたが、本編も同じ仕組みになるのでしょうか。
Dax Ginn氏:
移動はデモと同様のナビゲーションスタイルが増えると思います。その代わりではありませんが、バットラングを投げるなど直感的に操作できるナビゲーションスタイルを追求しています。
GIGAZINE:
デモの中で激しいバトルを見るシーンがありましたが、あの速い展開のバトルを自分で行うにはかなりのスキルが必要と感じました。本編でユーザーがバトルに参加するシーンはあるのでしょうか。
Dax Ginn氏:
とてもいいフィードバックだね。バトルはなくて、基本的にはバットマンの相棒を殺した犯人を見つけ出す謎解きミステリーをメインに進んでいくと思います。オープンワールドではないけどバットマンになりきってゴッサム・シティを移動する醍醐味を楽しめるよ。
BATMAN: ARKHAM VR software © 2016 Warner Bros. Entertainment Inc. Developed by Rocksteady Studios.
BATMAN and all characters, their distinctive likenesses, and related elements are trademarks of DC Comics © 2016. All Rights Reserved. WB GAMES LOGO, WB SHIELD: & © Warner Bros. Entertainment Inc. (s16)
◆FINAL FANTASY XV VR EXPERIENCE
次にプレイしたのはバットマン:アーカム VRと同じく、E3 2016 PlayStation Press ConferenceでVR対応が発表された「FINAL FANTASY XV VR EXPERIENCE」です。

タイトル画面で周囲を見渡すと美しい景色が広がっていて、PS VRを装着した瞬間からFINAL FANTASY XVの世界に引きずり込まれます。

プレイヤーは銃を武器にしているプロンプトを操作し、グラディオラスとノクティス、イグニスと一緒に襲いかかるモンスターとバトル。

プレイヤーが戦うのはFFシリーズでおなじみのベヒーモスです。

実際に「FINAL FANTASY XV VR EXPERIENCE」をプレイしている様子は以下のムービーから確認可能です。
PlayStation VRで「FINAL FANTASY XV VR EXPERIENCE」をプレイするとこうなる - YouTube

デモプレイが開始されると、超巨大なベヒーモスが目の前に登場。まずはベヒーモスの大きさに驚くこと間違いなし。驚きとともに、あのベヒーモスが自分の目の前で暴れているという感動も感じました。

PS Moveを銃代わりにバンバン撃ってベヒーモスと戦います。デモプレイは、自分がフィールドを動き回るのではなく、指定された場所を移動するスタイル。

ベヒーモスはフィールドを走り回るので、プレイヤーが後ろを向いて戦うこともあります。

ベヒーモスが思いっきり腕を振りかぶって攻撃してきたときには……

思わず「うわあ!危ない!」と叫んで体がのけぞるレベル。

何とかしてベヒーモスを撃破しました。

ベヒーモスを倒した後は、ドライブのデモへ。

左を向くと、シドニーが運転中。

実際にプレイしていると、超絶美女が隣でドライブしているという非現実的な出来事に思わず緊張してしまいます。

ジッと見つめていると、シドニーがこちらを見返してきたので、「あっ、すいません」と口走る編集部員でした。

© SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. MAIN CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA
◆Until Dawn: Rush of Blood
次は2015年10月27日にパリで開催されたPlayStation Media Previewで発表されたPS VR専用タイトル「Until Dawn: Rush of Blood」のデモをプレイ。Until Dawn: Rush of Bloodはゲーム「Until Dawn -惨劇の山荘-」をテーマにした一人称視点のホラーシューティングゲームです。

Until Dawn: Rush of BloodはコントローラーでもPS Move×2台でもプレイできます。PS Moveを持った手が画面上で銃を持った手として表示され、銃でクリーチャーを撃ちながらゲームは進行。画像ではPS Move×1台を使用してプレイしていますが、PS Move×2台を使用してプレイするのが正しいプレイ方法となります。

実際にUntil Dawn: Rush of Bloodをプレイしている様子は以下のムービーから確認可能です。
PlayStation VR専用タイトルのホラーシューティングゲーム「Until Dawn Rush of Blood」をプレイ - YouTube

プレイヤーは自分で操作して進むのではなく、勝手に進んでいくトロッコに乗って移動。移動は自動なので、周囲をキョロキョロしながらのシューティングに専念できます。

急にクリーチャーが登場したり、突然明かりが消えたりする演出は声を上げてしまうくらいビックリして、どんどんゲームの世界にのめり込んでいきます。

こんな怖そうなクリーチャーが目の前に迫ってくると……

「うわぁ!!!」と絶叫しながら撃ちまくり。没入感が半端ではなく「本当に怖かった!」というのが正直な感想です。

なお、プレイ中のプレイヤーの様子は以下から見られます。プレイヤーがどれくらいの恐怖を感じているのかよくわかるはず。
PlayStation VR専用タイトルのホラーシューティングゲーム「Until Dawn Rush of Blood」をプレイしたリアクション - YouTube

何回もビックリしているうちに、プレイ中は常に肩がすくんだ状態に。

弾がなくなったらリロードしなければいけないのですが、クリーチャーが目の前に迫ってくるとパニックでリロードもできない状態に陥りました。Until Dawn: Rush of Bloodはビックリするくらい怖くて、ホラーとVRの相性がめちゃくちゃいいことを実感。ホラーコンテンツは今後もかなり期待できるVRゲームのジャンルになりそうです。

©Sony Computer Entertainment Europe
◆JOYSOUND VR
次に体験したのは「JOYSOUND VR」のデモプレイ。JOYSOUND VRは次世代のホームカラオケで、記事執筆現在提供されている「JOYSOUND. TV PLUS」をバージョンアップすることでプレイできるようになるとのこと。

JOYSOUND VRには、デートやレコーディングといったシチュエーションから満開の桜の下や太陽が降り注ぐ浜辺といった景観など、オリジナル映像と10万曲以上の楽曲でVRカラオケを楽しめる「VR背景映像」と、ダウンロード専用コンテンツとして販売予定のアーティスト本人のオリジナル360度映像を体験できる「VR本人映像」という2つのモードを搭載。

まずは、VR背景映像から美女と2人っきりでカラオケーデートできる「美女カラオケ」をプレイしてみます。

美女カラオケが始まると、まじで美女と2人きりのカラオケルームへワープ。

左では美女がタンバリンをたたいて盛り上げてくれます。

美女カラオケは本当に女性が横にいるような臨場感があり、膝をつき合わせて一緒にいる感じは親密な人との距離感なのでドキっとします。実写ということで没入感はかなりリアル。歌に合わせて手拍子してくれたり、タンバリンをたたいてくれたり、自宅1人カラオケの最強版ではないかと思えました。また、女性がタンバリンを落として前にかがむシーンが含まれていたのには、開発陣の心意気を感じます。

次は、アーティスト本人のオリジナル360度映像を体験できる「VR本人映像」をプレイ。

ライブ前の楽屋から映像はスタート。

前に手を出して……

「オー!」と気合いを入れるやり取りなどがあり、本当にアイドルのメンバーの一員になったような気分を味わえます。

そしてそのままライブへゴー。ステージ上で一緒に歌って踊れるというのはVRならではの体験。

ステージ最前列の場所へ移動してライブを目の前で楽しむのもアリです。

最初は照れていた編集部員でしたが、徐々に手拍子を始めました。

観客を巻き込んで盛り上がるライブの最中には……

拳を突き上げて盛り上がっています。

ライブが終わった後はメンバーにサムズアップのジェスチャーを送って健闘をたたえ合っていました。「VR本人映像」は本物のアーティストと同じ空間にいるような気分になるので、好きなアーティストならもっと楽しそうです。

© XING INC.
◆サマーレッスン(仮)
発表当社はVRの技術デモとして開発されたのですが、あまりにも大きな反響があったために正式タイトルとして登場する運びになった「サマーレッスン(仮)」のデモプレイを最後に体験してみました。

サマーレッスン(仮)は仮想空間で女性キャラクターとのコミュニケーションを楽しむコンテンツ。部屋に入った瞬間になじみのない部屋でとまどい、さらに横に女性キャラクターが迫ってきて二度戸惑います。戸惑うというのは、照れるに近い感じで、ノートを見せてくるシーンは女子高生の顔が近すぎて話を聞いているどころではなくなります。

女性キャラクターとは違う方向を見ていると、「ちゃんと話を聞いているの?」と言ってきて、インタラクティブな関係性が楽しいです。

こんなに顔を近づけられると、男性なら誰でも照れてしまいそう。

プレイしている編集部員は女性キャラクターを見つめたまま動かなくなりました。

目線があったり、こちらに背を向けたりするときは、さすがにビックリというか、なぜか申し訳ない気分になります。

サマーレッスン(仮)も他のデモプレイと同様に没入感がめちゃくちゃ高くて、実際に触れるかのような距離でキャラクターとコミュニケーションをとれるのは、「彼女は、本当にそこにいる。」という宣伝文句通りだと感じました。

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
◆シネマティックモード
最後は、VR非対応のPS4タイトルや映像コンテンツなどをPS VRを装着した状態で楽しめる「シネマティックモード」を体験しました。シネマティックモードは、仮想現実内に浮かんだ巨大スクリーンが映し出されて、そのスクリーン上にコンテンツが表示されるというものです。スクリーンのサイズは小(約117インチ)・中(約163インチ)・大(約226インチ)の3段階から調整可能で、実際にどれくらいの大きさなのかは体験してみないとわからないので、体験中の編集部員に手でスクリーンの大きさを表してもらいました。一番小さな小(約117インチ)だこれくらい。

中(約163インチ)だとこんな感じです。

大(約226インチ)になると、両手を目いっぱい広げても届かないくらい大きくなっています。これほどの巨大スクリーンでゲームや映画を見れば、迫力満点であることは間違いありません。

そんなこんなでPS VRの体験会は終了。さまざまなタイトルを体験した後は、「この体験を他の人にも味わってもらいたい!」とテンションが上がりっぱなし。VRというのは体験しなければわからない面白さがあるということで、PS VRの体験会が全国で実施されています。PS VRが気になっている人は、実際に体験会に足を運んで、その魅力を体験してみるべきです。

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