レビュー

世界初の脳波を計測して睡眠の質を改善する高性能アイマスク「Neuroon」レビュー


「1日2時間睡眠を可能にするアイマスク」というコンセプトでKickstarterに登場した「Neuroon」が、コンセプトを「睡眠の質を改善するアイマスク」へと変更した上で、数年の月日を経てようやく製品化されました。「脳波(EEG)」「筋電図(EMG)」「体動」「脈拍」などを計測可能な内蔵センサーにより、精密な睡眠データを集計できるという高性能なアイマスクになっているということで、本当に睡眠の質を改善してくれるのか、実際に1週間使って確かめて見ました。

睡眠の質を改善するスマートなアイマスク Neuroon
https://neuroon.jp/


◆「Neuroon」で何ができるのか?
Neuroonは各種センサーが計測したデータの分析と、内蔵LEDライトによる高照度光セラピーによって、毎日の睡眠をコントロールするというコンセプトのアイマスクになっており、全部で6つの機能が搭載されています。各種機能の効果はそれぞれ以下のようになっています。

「睡眠分析」
ユーザーの各種アクティビティを計測・分析することで、「レム睡眠」「深睡眠」「浅睡眠」という睡眠段階に分け、アプリで可視化することが可能。毎日集計されるデータから「睡眠スコア」が算出されるため、例えば「たくさん寝たはずなのに疲れがとれない……」という状態を正確に知ることも可能になります。

「Biorhythm Adjuster(バイオリズム調整)」
曜日ごとにアラームを設定することで、毎日の睡眠スケジュールに合わせた光セラピーを行い、体内時計を調整する機能。不規則な生活でも疲れがとれリフレッシュして朝を迎えることができるとのこと。

「Neuroon Sunrise(さわやかな目覚め)」
アラームの時間になると、マスクの内側にあるLEDライトが柔らかく光り、次第に強まるという日の出のような調光で目覚められます。計測データを分析して、睡眠が浅いタイミングで光り始めるので、スッキリと起床することができます。

「Personal Pause(パーソナルポーズ仮眠)」
3種類の仮眠プログラムで快適な昼寝をとることができ、日中の眠気を解消してエネルギーを補充できるというもの。

「Light Boost(エネルギーチャージ)」
仮眠プログラムと少し異なり、短時間の光セラピーを行うことで、メラトニン値を上昇させてエネルギーをチャージするというもの。

「Jet Lag Blocker(時差ぼけブロッカー)」
タイムゾーンの異なる国へ行く数日前から睡眠時に光セラピーを行うことで、渡航先での体内時計を最適化して時差ぼけが解消されます。


また、2018年にはレム睡眠中に明晰夢へ誘導する「明晰夢機能」も追加される予定です。

◆「Neuroon」のセッティング
というわけで、Kickstarterから届いたNeuroonがコレ。


パカッと開封


中にはNeuroon本体のほか、充電用USBケーブルと説明書が入っていました。


Neuroon本体はこんな感じ


裏面は柔らかいスポンジのような素材が使われています。しかし、普通のアイマスクでは見慣れない電極のようなものが付いているのがわかります。


これが脳波計などの各種センサーを搭載しているNeuroonの心臓部。うっすらと基板も見えているなど、ギーク度の高いアイマスクです。


天板にUSBポートがあります。


説明書に従って、まずは本体を充電します。USBケーブルをさすと裏面の「目」の部分が赤く点灯します。


LEDライトが緑色になれば充電は完了。


目と目の間にはボタンがあり、長押しすると……


両目が青く点灯し、電源が入ったことを示しています。


◆専用アプリと連携する
本体が使えるようになったら、専用アプリをスマートフォンやタブレットにダウンロードしていきます。アプリはiOS版とAndroid版があります。

NeuroOnを App Store で
https://itunes.apple.com/jp/app/neuroon/id992109042

Neuroon - Google Play の Android アプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.inteliclinic.neuroon&hl=ja

今回はiOS版を使ってレビューしていきます。まずは「入手」をタップ。


インストールしたら「開く」でアプリを起動します。


アプリを使用するには登録が必要なので、「JOIN NEUROON」をタップ。


メールアドレスとパスワードを決めて「登録する」をタップ。なお、よくある内容確認メールや認証用メールが届く仕組みではないので、パスワードはちゃんと手元に控えておいてください。


トップページに戻って「SIGN IN」をタップ。


先ほど入力したメールアドレスとパスワードでログインします。


簡単な診断が始まるので、正確な睡眠データを得るためにも「始める」をタップ。


入力項目は「性別」


「誕生日」


「身長」


「体重」


「生活習慣・環境」のすべてを入力すればおしまい。


通知の許可を求められるので、必要なら「許可する」をタップ。アラームなどとは関係ないので、不要なら「今は設定しない」をタップして飛ばしても大丈夫です。


通知を許可した場合はもう1つダイアログが出てくるので「許可」をタップすればOK。


Neuroon本体とのペアリングを開始するため、「続ける」をタップ。


Neuroon本体の目と目の間にある電源ボタンを押すと……


アプリが本体を検出してくれるので、「ペアリング」をタップ。


「続ける」をタップ


トップページが表示されました。到着時の本体のソフトウェアのバージョンが最新かどうかを調べるため、左上のアイコンをタップします。


「Neuroon マスク 詳細」をタップ


「ソフトウェア バージョン」をタップ


最新版でなければ「更新」をタップします。


「開始」をタップし、インストールが終わればOK。ネットの状況にもよりますが、完了まで数分かかります。なお、アプリを終了させたり、バックグラウンドにしたりすると、バージョンアップが終わらなくなるという事態が発生したので、この画面のまま待つのが無難です。


◆「Neuroon」で毎日の睡眠サイクルを管理する方法
準備が整ったところで、メインの機能となるアラームを設定します。「次のアラーム」のところにあるアイコンをタップ。


「バイオリズム」をタップ


学校や仕事のスケジュールに合わせて、毎日起床している時間を入力します。「平日と週末でまとめる」「毎日個別に設定」を切り替えられるので、シフト勤務の人や変則的な生活を送っている人でも臨機応変に睡眠スケジュールを組むことができます。


睡眠スケジュールを設定すると、トップページに「翌日の起床時間」が表示されるようになります。実際にNeuroonを装着して睡眠をとる時は、「睡眠を始める」をタップします。


以下のような画面になったら、Neuroonの電源を入れます。本体の目の部分のLEDライトが青から緑に変化すれば、装着する準備ができたことを意味します。そのまま装着すれば緑色の光は消え、眠りに就くことができます。なお、この画面の表示後、一度アプリを再起動しないとNeuroonが認識されないという不具合に遭遇したので、もしうまく接続できない場合は試してみて下さい。


睡眠中はこんな感じ。「額に電極が触れている」という恐怖感から初日はなかなか寝付けませんでしたが、毎日使ううちに慣れていきました。アイマスクの感触は悪くないものの、額にボコッと大きめの機器が付いているため、寝返りすると目が覚めてしまうことが多々ありました。


また、もともと横向きで寝る習慣があったのですが、横向きで寝るとNeuroonの機器がずれてしまうので、Neuroonはあお向けにしか眠れない模様。


アラーム設定時間になると、目の部分が白っぽくに光り始めます。朝日かと思ってふとんを頭からかぶっても、まぶしさは避けられないので最初は混乱してしまいました。この機能は睡眠データを分析して、アラーム設定時間付近の「浅い睡眠」に合わせて光るようになるため、3日目くらいからアラーム時間より先に気持ちよく起きられるようになりました。この光でも起きなければ、アイマスク自体が振動するほか、アプリからアラーム音が鳴って起きられるようになっています。振動機能は「強すぎず弱すぎず」という感じで、徐々に強くなっていきます。不愉快な気持ちにならずに起きることができるので、目覚めはかなり良くなることが実感できました。


起床したら電源ボタンを押すと光や振動を止めることができます。


起床後にアプリを立ち上げた状態でNeuroonの電源を入れると、睡眠中に計測したデータがアプリに送られます。


送信されたデータから「睡眠スコア」が算出され、前日の睡眠の質をアプリで確認できるようになっています。


アプリをトップページから右にスライドしていくと、より詳細な睡眠データや、過去のデータを参照することが可能。睡眠スコアの最低値・平均値・最高値・グラフや……


睡眠時間の最低値・平均値・最高値・グラフ


就寝までの時間の最低値・平均値・最高値・グラフ


睡眠中に目覚めた回数の最低値・平均値・最高値・グラフなどが確認できます。「目覚めた回数」はNeuroonが外れてしまった場合も含まれるので、ちょっと正確じゃないかも。


さらに右にスライドすると、日付別に睡眠スコアなどを参照可能。


もうひとつ隣は日付別の各種睡眠データとそのグラフ。


興味深いのが右端のアイコンのページで、脳波などから計測された睡眠中の「起床」「レム睡眠」「浅睡眠」「深睡眠」のタイミングを見ることができます。


例えば、以下はいつも通り睡眠をとった日のデータ。


こっちはアルコールを摂取して眠った日のデータですが、「起床」の割合が大きくなり、明らかに寝付きが悪くなっているのがわかります。ちなみに、この日は体感では一度も目覚めていないので、「起床」は「目が覚めた」ということではなく、「眠っているけど脳も体も休んでいない」のような状態と思われます。これを見ると「お酒を飲んで寝ると疲れがとれない」ということが可視化されているので、普段の生活習慣を改めるきっかけにもなります。


「明日はいつもと違う予定がある」という時は、アラームのアイコンをタップ。


「ONE DAY アラーム」をタップします。


起きたい時間をセットして「OFF」のトグルをタップしてONにすればOK。


明日の起床時間がONE DAY アラームの時間になっているのがわかります。スマートフォンなどのアラームだと、急な予定変更があれば「いつものアラームをオフにして……」と手間がかかりますが、Neuroonは1回で切り替えてくれるので便利です。


◆サクっと仮眠がとれる「パーソナルポーズ仮眠」
「夜更かしして寝不足」「お昼ご飯を食べた後に急激な眠気に襲われる」という時は仮眠(昼寝)をとるのがいいと言われていますが、Neuroonにはサクっと仮眠がとれる機能が備わっています。仮眠をとるにはアプリのトップページから「ENEGY+」をタップ。


1種類の光セラピーと、4種類の仮眠プログラムが表示されました。


なお、4種類の仮眠プログラムの睡眠時間と、それぞれの効果は以下のようになっています。

・Power Nap(20分):眠気の抑制、覚醒感の向上、集中力の向上、運動神経の活発化、気分の高揚
・Body Nap(30分):Power Napの効果+不必要な情報の整理、記憶力の改善、体組織の回復促進
・Rem Nap(60分):Body Napの効果+クリエイティビティの向上、情報記憶(感情を伴った記憶)の強化、知覚・感覚の鋭敏化、複雑に関連し合った情報の記憶力向上
・Ultimate Nap(90分):Rem Napの効果+すべての睡眠ステージ(REM睡眠など)を経るベストな睡眠


今回は昼休憩中でも時間のとれる「POWER NAP(20分)」を選択。


「開始」をタップ


Neuroonの電源を入れます。


Neuroonが接続されれば仮眠をスタートできます。仮眠時の睡眠データは計測されませんが、起床時間になると就寝時と同様に淡い光と振動で起こしてくれるので、寝過ごしてしまう心配はなし。仮眠をとった後は午後の眠気がウソのように晴れるので、デスクワーカーには持ってこいな機能となっています。ただし、バッテリーは2日に1回くらいのペースで切れてしまうため、「仮眠しようと思ったらバッテリーがなかった」ということも多々起こりました。マメなバッテリーの管理が必要です。


また、短時間の光セラピー機能である「Light Boost」は、「マスクを正しく着けていれば、白色のLEDが消えます」とあるのですが、どうやっても光が消えることがなかったため、効果のほどは未体験。また、今回は海外に行く機会がなかったため、「時差ぼけトラッカー」の機能も未レビューです。


というわけで、1週間ほど使ってみた結果、睡眠サイクルに合わせて光セラピーを行うという「バイオリズム調整」の機能は、睡眠中に光っていた可能性もありますが、効果があったのか分からずじまいでした。一方で、確かに寝起きは良くなり、仮眠機能も大活躍していました。ただし、「脳波を計測して睡眠の質をコントロール」とうたうには、睡眠データを活用してコントロールされている部分が少なく、「PS4並みの値段のアイマスク」と考えると、正直に言って高すぎるという印象です。一部では動作しない機能もあったのですが、2018年には「明晰夢誘導機能」も登場するということなので、今後のアップデートによっては、手放せないアイマスクになるのかも……。

なお、Neuroonは以下の公式サイトで税込3万397円で販売中で、日本への送料は3051円となっています。記事作成時点では、50ドル(約5400円)分のクーポンをゲットできるキャンペーンも実施中です。

Neuroonを注文
https://neuroon.jp/order/checkout/

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in レビュー,   モバイル,   ソフトウェア,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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