AIと人間の自動車レースを描いた短編映像「The Human Race」公開、メイキングでは車についての衝撃の秘密も判明
将来、AI(人工知能)ドライバーが登場すると、人間のドライバーとレースで対決するという日がやってくるかもしれません。短編映像「The Human Race」は、そんな時代のレースを描いた作品です。
Chevrolet ‘The Human Race’ Short Film on Vimeo
ちらっと姿を見せたのたのは、真っ赤なシボレー カマロZL1。
ニュースショーのような番組で男性司会者が人間とAIとのレース対決について語っています。
レースの様子を示す図が表示されました。薄い青色は「チームA.X.A.」、赤色は「チームカマロ」と表示されています。
この「A.X.A.(アジャ)」が開発されたAIのようです。
「AIカーが世界記録を抜いた」というニュース映像などがちらちらと挿入され……
現在、そのA.X.A.と人間との戦いが行われていることがわかります。
先行している赤いカマロZL1が「チームカマロ」、つまり人類代表。追走するAIのクルマは上海モーターショー2015で発表されたシボレーのコンセプトカー・FNR。
「人と戦うのはこれが初めて」というA.X.A.ですが、さすがはすべて計算され尽くされた運転。カーブで外側から走行ラインをかぶせるようにして追い抜いていきます。
これには人類側も黙ってはいられません。
一段とスピードを上げて、ほぼ併走した状態でトンネルに突入。
すると、FNRの車体やタイヤホイールが光り始め……
カマロZL1の前へ滑り出るような動作を見せました。
そして、猛スピードで突っ走るカマロZL1の前方にピタリ。
激しい「テール・トゥ・ノーズ」ならぬ「ノーズ・トゥ・ノーズ」の戦い。
すると、今度はカマロZL1が赤く輝き始めました。
そして速度を上げてFNRに向けて突撃。クラッシュ覚悟で道を切り開いたのかと思いきや、カマロZL1に触れたFNRは光のブロックになっていき……。
訪れるフィニッシュの瞬間。ゴールがどのような形になったのかはぜひムービーを実際に見て確認してみて下さい。
この映像はGDC 2017(ゲーム開発者カンファレンス2017)の中で発表されたもの。そして、どうやって作られた映像なのかということもまた公開されているのですが、今後、レースの映像を何も信じられなくなりそうな作られ方をしています。
Behind the Scenes: Chevrolet ‘The Human Race’ on Vimeo
先ほど登場した、シボレー・カマロZL1とシボレーFNRとのコーナリングでの競り合いシーン。
場面が切り替わって、男性の指が「Arctic Blue Metallic」という色の名前をタップすると……
まったく同じシーンですが、先を行くカマロZL1の車体カラーが赤からメタリックなものに。
実はこのシーンで走っているのはカマロZL1でもFNRでもなく、「The Mill BLACKBIRD」というCGのベース用のクルマだったのです。
The Mill BLACKBIRDの車体にはあちこちにARマーカーが取り付けられています。これを利用して……
すっと重ねられていったのは……
青いカマロZL1。
駐車場で、The Mill BLACKBIRDの周辺をカメラがぐるぐる。
これをリアルタイム処理で、「止まっている青いカマロZL1」の映像にすることができます。
こちらが使用しているソフトウェアの様子。
徹底的にリアルに見せるために細かい光の処理が行われ……
エフェクト処理も行われています。
つまり「車体をかぶせる」設定ができれば、車体色はプルダウンメニューで切り替えるだけというレベルの簡単さだということです。
ここまでに登場したシボレー・カマロZL1は2015年に発表されたモデル。しかし、「カマロといえば昔のモデルが好き」という人もいるはず。たとえばコレは1967年に発売された初代カマロ。
もちろん、FNRの対決相手にすることが容易にできます。
これはThe Millとシボレー、ゲームエンジン「Unreal Engine」で知られるエピックゲームズが手を組んで作ったもの。これまでCGの自動車というとポスト・プロダクション(撮影後)工程の中で視覚効果アーティストによって何日もレンダリング時間をかけて高品質なものが作られてきたのですが、このシステムではデータがUnreal Engineに直接送り込まれ、リアルタイムARで合成までがシームレスに行われており、「撮影」と「撮影後」とが一体となっているかのようです。
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