最強のコピーガード「Denuvo」を一部のゲームメーカーが無効化していることが判明
By Nicolas Raymond
無断でコンテンツの複製を行ったものを「海賊版」と呼びますが、こういった権利者にとって非常にやっかいな存在である海賊版コンテンツは、音楽・映画・ゲームなどさまざまな業界で横行しています。こういった海賊行為を止めるための手立てとしてデジタル著作権管理(DRM)が存在しており、ゲーム業界で最強のコピーガード技術とうたわれた「Denuvo」もそんなDRM関連技術のひとつです。しかし、一部のゲームではリリース当初はDenuvoが採用されていたにも関わらず、ある時期からDenuvoが無効化されていることが明らかになっています。
Playdead removes Denuvo anti-tamper tech from Inside | DSOGaming | The Dark Side Of Gaming
http://www.dsogaming.com/news/playdead-removes-denuvo-anti-tamper-tech-from-inside/
Bethesda has removed the Denuvo anti-tamper tech from DOOM | DSOGaming | The Dark Side Of Gaming
http://www.dsogaming.com/news/bethesda-has-removed-the-denuvo-anti-tamper-tech-from-doom/
After cracks, developers remove Denuvo DRM from their games | Ars Technica
http://arstechnica.com/gaming/2016/12/after-cracks-developers-remove-denuvo-drm-from-their-games/
ゲーム業界で使用されるコピーガード技術にはさまざまな種類が存在しています。権利者はそのコピーガード技術を用いることでゲームを海賊行為から保護するわけですが、中には発売日前にクラックされてしまい海賊版が出回る事態も多いそうです。そんな中、Denuvoは2015年12月に発売されたゲーム「Just Cause 3」で発売から9ヵ月以上にわたってクラックを防ぐなど、突破がかなり難しいことで知られています。
しかし、2016年7月に発売された「INSIDE」に導入されていたDenuvoは、発売からわずかな期間でクラックされてしまい大きな話題となりました。当初は1週間でDenuvoが突破されたと考えられていたのですが、実際は6週間かかったそうです。
海賊版ゲームに対して最強の砦だったコピーガード「Denuvo」がわずか1週間で破られる - GIGAZINE
それでも他のコピーガード技術よりも長期間にわたり海賊版を作成するクラッカーたちの手からゲームコンテンツを保護してくれると重宝されていたDenuvoですが、2016年12月になって、一部の導入ゲームがある時期からDenuvoを無効化していることが明らかになりました。
そのDenuvoを無効化している一部のゲームというのは、2016年5月にリリースされた人気タイトル「DOOM」と、8月にクラックされて話題となった「INSIDE」の2タイトル。海外ニュースメディアのArs Technicaは、DOOMの販売元であるBethesda、INSIDEの販売元であるPlaydead、そしてDenuvoの開発元であるDenuvo Software Solutions GmbHにそれぞれコメントを求めていますが、記事作成時点では返答は得られていません。
しかし、オンライン掲示板のreddit上ではDenuvo関連のデベロッパーであるというユーザーが、「Denuvoとの契約には、一定期間内にゲームがクラックされた場合は払い戻しに応じるという条項が存在している」と主張しており、DOOMとINSIDEはこの条項を使って払い戻しを行ったのではないかという意見もあります。なお、前述の通りINSIDEがクラックされたのはリリースから約6週間で、DOOMはリリースから約4ヵ月でした。
過去2年間、Denuvoは最高クラスのコピーガード技術であり、高価な同サービスを導入できるのは一部のゲームのみでした。これまで、Deus Ex: Mankind Dividedやミラーズエッジ カタリスト、ライズ オブ ザ トゥームレイダーなどでも採用されている同技術ですが、Ars Technicaは「今後これらのタイトルのいずれかがDenuvoのプロテクトを無効化すれば、契約に返金条項が存在する可能性が高まる」としています。
・追記 2016/12/20 12:56
Denuvoの共同創業者のロバート・ヘルナンデス氏が、同社のコピーガード技術がDOOMで無効化された理由について説明しました。
Denuvo Says Doom Dropped Their Anti-Piracy Tech Because It Got The Job Done
http://kotaku.com/denuvo-explains-why-doom-dropped-their-anti-piracy-tech-1790192362
ヘルナンデス氏によれば、DenuvoがDOOMやINSIDEで無効化されたのは、海賊行為からの保護を当初予定されていた期間遂行したからであり、また、うわさにあるような「一定期間内にクラックされたら払い戻しを行う」というような条項は契約に含まれていないとのこと。ヘルナンデス氏は「DOOMのような大きなタイトルを4カ月も海賊行為から守り抜いたのは素晴らしいことだ」とも話しています。
・関連記事
違法コピーにクリエイティブな天罰を下す9つのゲーム - GIGAZINE
「2年以内に海賊版ゲームはなくなる」とクラッカー集団が警告 - GIGAZINE
初期のPCゲームで使われていたアナログな「コピープロテクション技術」あれこれ - GIGAZINE
「4Kコンテンツのコピープロテクトを解除する機器を販売した」としてワーナー・ブラザースが訴訟を起こす - GIGAZINE
NetflixやAmazonの4Kコンテンツの海賊版が流通し始めていると判明 - GIGAZINE
・関連コンテンツ