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「4Kコンテンツのコピープロテクトを解除する機器を販売した」としてワーナー・ブラザースが訴訟を起こす


デジタルデータを保護するための技術を総称する「デジタル著作権管理(DRM)」に含まれる1つで、デジタルデータの送受信経路であるDVIやHDMIなどを暗号化することでコンテンツの不正コピーを防ぐ技術が「HDCP」です。そのHDCPに関する機器を販売するLegendSkyが、「4Kコンテンツのコピープロテクトを解除する機器を販売した」として世界的な映画の製作・配給企業であるワーナー・ブラザースに訴えられました。しかし、この騒動は意外な結末を迎えています。

4K Content Protection "Stripper" Beats Warner Bros in Court - TorrentFreak
https://torrentfreak.com/4k-content-protection-stripper-beats-warner-bros-in-court-1605xx/


2015年11月末、著作権や海賊版などの情報に詳しいニュースサイト・TorrentFreakが、一部の映像配信サービスなどで配信がスタートしたばかりの4Kコンテンツの海賊版が早くも流通し始めている、と報じました。この騒動は実は非常に珍しいものというのですが、その理由は4Kコンテンツにかけられているコピープロテクトは他のプロテクトよりも優れたものであり、そのおかげでこれまで4Kコンテンツの海賊版が流出するということはほとんどなかったから、とのこと。

2015年11月末に起きた流出騒動の詳細は以下の記事を読めばわかります。

NetflixやAmazonの4Kコンテンツの海賊版が流通し始めていると判明 - GIGAZINE


当初、4KコンテンツにかけられたHDCPプロテクトがどのように回避されたのかは明らかになっていませんでした。しかし、複数の情報筋から、LegendSkyのHDFuryが販売している最新機器のひとつである「Integral 4K60 4:4:4 600MHz」が関係しているという声が挙がりました。そして、海賊版コンテンツの配信を行う著名なSceneグループのひとつが、リリースノートの中でHDFuryに対して公然と感謝の意を述べたことから、HDFuryの機器がHDCP回避に使用されていることが確定的になっています。

Integral 4K60 4:4:4 600MHz : HDFury.com | Fix HDCP Error and Solve Connecting issues | HDMI to VGA, component, DVi-D


この事実から、ワーナー・ブラザースとIntelの子会社である Digital Content Protection(DCP)は、「最新のHDCP暗号化を解除している」として、HDFuryのメーカーであるLegendSkyを訴えます。これに対し、中国のハードウェアメーカーであるLegendSkyはワーナー側の著作権侵害に関する主張に猛烈に反発し、名誉棄損でワーナーおよびDCPを反訴しました。

なお、LegendSkyは自身の製造する機器はHDCPのコピープロテクトを解除しているのではなく、高度なコピープロテクションを単に下位のものにダウングレードしているだけ、と説明しています。さらに、この行為はデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の中で例外として許可されている、とも主張。また、LegendSkyはNetflix・Disney・NBC・CBSなどのHDCPライセンシーが、正当な目的のためにHDFuryの製品を購入していることも付け加えています。

By Kai Hendry

そして2016年5月初め、LegendSky側の主張の強さを認めたDCPが、著作権侵害の訴えを取り下げました。つまり、著作権侵害の訴訟を起こされたにも関わらず、HDFuryの「Integral 4K60 4:4:4 600MHz」の販売は今後も継続されることになります。なお、裁判所文書には「申し立ておよび反訴を取り下げる」という両者の声明しか書かれておらず、その他の詳細は不明です。

しかしその後、LegendSkyは自身の顧客に対してワーナーおよびDCP側と和解した旨をメールで報告しています。メールの内容は以下の画像のように「和解のため、以下の製品を直ちに販売停止とすることを、我々の法律顧問からお知らせいたします」というものだったとのこと。


LegendSkyが販売停止にした製品は、問題となった「Integral 4K60 4:4:4 600MHz」とは別のデジタル・アナログ変換器でした。アメリカではこれらの変換器が著作権を「侵害している」とされており、DCPが法廷に提出したいくつかの資料でもいわゆる「アナログ・ホール」として注目されていました。よって、和解の一部としてこれらの古い変換器を販売停止とすること自体は意味のあること、とのこと。

ワーナーおよびDCPは和解により体面は保たれたものの、LegendSkyは依然として4Kコンテンツのコピープロテクトをダウングレード可能な製品を販売しており、「今回の訴訟で実質勝利したのはLegendSky」とTorrentFreakは述べています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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