ハードウェア

Microsoftがサーバーにプログラム可能なチップ(FPGA)を搭載する「Project Catapult」を展開中


FPGA(現場で書き換え可能なゲートアレイ)のクラスターで構成されたマシンはデュアルコアCPU2000個分に匹敵する性能を発揮するという話があります。MicrosoftもFPGAには目を付けていて、サーバーにFPGAを搭載する「Project Catapult」を推し進めていて、実際にBingやMicorosoft Azureがこの力に支えられています。

Project Catapult - Microsoft Research
https://www.microsoft.com/en-us/research/project/project-catapult/


Microsoft's Internet Business Gets a New Kind of Processor | WIRED
https://www.wired.com/2016/09/microsoft-bets-future-chip-reprogram-fly/

Microsoftは検索エンジンのBing、クラウドコンピューティングサービスのAzureなど、数々のインターネットビジネスを展開していますが、これらのビジネスを支えるのが「Project Catapult」です。


FPGAにはMicrosoftも早いうちから目を付けていて、2010年、BingのインデックスサービスをFPGAを利用して高速化するため、研究者がBingの役員と会合を持っています。

2011年になると、実際に高速化にあたっていかにFPGAを利用するかという大きな問題に取り組むため、ソフトウェアエンジニアや研究者がプロジェクトに多数合流。2012年に、1632のサーバーに対してFPGAを搭載し、それらを特製のセカンダリネットワークに接続したパイロット版が作られました。結果として良好なROI(投資効率)が得られて、製品化への道筋が開かれました。

現在行われているのは、分散型設計で作られたほぼすべてのMicrosoftのデータセンターのサーバーにFPGAを統合するということ。個別のクラスタではなく、各データセンターサーバーにFPGAを統合することで、至る所に「加速構造」が生まれます。再編成可能で融通の利く「加速構造」であることが、単一のFPGAを利用するケースから単一サービスで数千のFPGAを利用するケースまで対応できる柔軟性をもたらしています。

このProject Catapultの推進により、CPUと比較して30%のコストダウンと、10%の節電に成功しているとのこと。

もともとソフトウェア寄りの会社であるMicrosoftにとって、こうしたハードウェア面の改良はそう容易ではなかったはずですが、プロジェクトを進めるダグ・リーダー氏は、当時のCEOであるスティーブ・バルマー氏に話をつけるよりも前から、Bingの責任者である陸奇氏のチームと2年にわたって研究に取り掛かっていたとのこと。

2014年時点で、Microsoftがオンライン分野のハードウェアに投じた予算は年間50億ドル(約5000億円)から60億ドル(約6000億円)という規模でしたが、サティア・ナデラCEOはこの事業が最優先事項であると認識して、推進してきたそうです。FPGAを製造しているのはAlteraという会社ですが、2015年にIntelがAlteraをチップメーカーとしては史上最高額である167億ドル(約1兆6800億円)で買収したのも、この流れに沿ったもの。

今後、Project Catapultは2030年までMicrosoftのスーパーコンピューターの計算力拡張に寄与すると考えられていて、Microsoft Researchのバイスプレジデントであるピーター・リー氏は、Microsoftが量子計算に近づくだろうとその未来を語っています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
CPU2000個分の性能で秒間約175万通りのパスワード推測を可能にする「FPGA」とは? - GIGAZINE

人工知能・データサイエンス・暗号化などMicrosoftの研究者が予測する16の未来とは? - GIGAZINE

IBMが人間の脳と同じ構造を持つプロセッサーの開発に成功 - GIGAZINE

WindowsのパスワードはGPUを25個使えば約6分から6時間で突破が可能、毎秒3500億通りもの総当たりが可能な方法とは? - GIGAZINE

in ハードウェア, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.