ハードウェア

CPU2000個分の性能で秒間約175万通りのパスワード推測を可能にする「FPGA」とは?


By gazzat

論理回路をユーザーが自由にカスタマイズできるLSIFPGA(Field Programmable Gate Array)」は、通信基地局、大規模ルータなど高度な処理を行う機器から、ディスプレイ、プロジェクタ、携帯端末など幅広い分野に活用されている技術です。しかし、この技術を応用してクラッキングを行うことで、市販のCPUやGPUを使用したシステムより圧倒的に早くパスワードを突破することが可能であることが明らかになりました。

Accelerating Password Recovery the Addition of FPGA ≪ Advanced Password Cracking ? Insight

◆FPGAとは?
FPGA 入門よると、FPGAとは「Field Programmable Gate Array」の頭文字をとったもので、「現場(Field)」で「書き換え可能(Programmable、プログラマブル=プログラム可能な)」な「論理ゲート(Gate)」が「格子(Array)」状に並んでいるセミカスタムLSIという意味である、とのことです。

また、FPGAは回路を構成するロジックセル、乗算器、RAMなどを内蔵しており、これらを自由に組み合わせて回路をカスタマイズすることが可能。従って不要な機能を省いて特定の計算用途に特化したオリジナルのCPUをFPGAの中に構成したり、製造中止になったマイコンの機能をFPGAに乗せ換えたりすることができます。


身近な例としては以下のムービーのようにFPGAを使用して「ファミコン」を再現することも可能です。

FPGAでファミコンを再現 - YouTube


◆FPGAを使ったパスワード解析
さまざまなパスワード解析ソフトを出しているElcomSoftのCEOであるVladimir Katalov氏によれば4Uクラスのサイズの筐体に収まるFPGAのクラスターで構成されたパスワード解析用のマシンはデュアルコアCPU2000個分に匹敵する処理能力を発揮できるとのこと。

以下のグラフは無線LANの暗号化に使われているWPA-PSKの解析をPico FPGAのPico SC5/M501-48と、IntelのCPU Core i7-920・AMDのGPU Radeon HD 5970・NVIDIAのGTX 480で実行した結果を比較したもの。Pico FPGA1秒当たり175万6800通りのパスワードの推測が可能で、IntelのCorei7-920の約439倍、AMDのGPU Radeon HD 5970の約17倍、NVIDIAのGTX 480の約58倍、というようにして圧倒的に高い性能を誇っていることがわかります。


なお、FPGAがすぐに一般市場向けPCのCPUやGPUに取って代わるということはまだありませんが、用途に合わせてカスタマイズできるアドバンテージを生かして既存製品よりはるかに優れたパフォーマンスを発揮できる場面が上記のように存在することもはっきりしており、ある特定分野に限れば処理能力の高いマシンが出現する日もそう遠いことではないようです。

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in ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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