8000キロメートル離れたコーヒー農園で豆を摘むところから完全手作りでコーヒーを淹れるとこうなる
世界中の人に愛されるコーヒーは手頃な価格で楽しめる嗜好品です。そんなコーヒーを、コーヒーの実の収穫作業からドリップに至るまでの全行程を実際に手作業で行うと、想像以上に労力が必要なことが明らかになっています。
アメリカからはるばる5000マイル(約8000キロメートル)も離れたメキシコのコーヒー農園まで訪れて、一から手作業でコーヒーをたてる全行程は以下のムービーで確認できます。
Would You Travel 5,000 Miles for a Cup of Coffee? - YouTube
朝がコーヒーから始まるというコーヒー好きは多いもの。
世界中の人に愛されているコーヒーは、年間で8000億杯も飲まれています。
アメリカ人の56%がコーヒーを飲み……
アメリカ国内だけでも年間400億ドル(約4兆円)もの巨大市場が形成されています。
アメリカだけでも5万5000軒ものコーヒーショップがあり……
インスタントコーヒーも簡単に手に入れられるため、コーヒーはいつでもどこでも簡単に飲むことができる嗜好品です。
そんな日常生活にありふれたコーヒーですが、アンディ・ジョージさんはコーヒー豆を収穫するところから始めるとどれくらいの労力が必要なのか調べるべく、一からコーヒーを淹れるのに挑戦してみるとのこと。
コーヒー豆が栽培できるのは「コーヒーベルト」と呼ばれる熱帯地方に限られます。
さらに、寒暖の差が大きな山間部のコーヒー豆ほど良い香りがするので、良質なコーヒーの産地は山間部が多いとのこと。
アメリカから比較的アクセス性の良いメキシコのコーヒー産地Oaxacaに、豆を調達しに行くことにします。
6時間飛行機に乗り、さらにメキシコの細くて曲がりくねった山道を8時間かけて自動車を走らせます。
朝、自動車で出発して小さな村Guadalupeに到着する頃にはすっかり夕暮れになってしまいました。
翌朝、山間部のコーヒー農園に入るジョージさん。
コーヒー農園で働く人によると、コーヒー豆が収穫できるように実が熟成するまでに4年はかかるとのこと。
「どの実も赤く見えるけれど、完全に赤く熟している実のみを選別して摘む必要があるんだ」
「これはOK、これはダメ。これもダメで……」
教えてもらいながら赤い実を選別するジョージさん。
熟した実を割ると、中から生のコーヒー豆が現れました。
2、3人でコーヒーの実を摘み、残った人が豆を洗う場所に運ぶとのこと。
選別した実はかごに入れて持ち出します。
コーヒー農園は山間部にあるため、急な坂を行ったり来たりするのは重労働です。
摘んだコーヒーの実を、農園から距離が離れた洗い場に持ち込むジョージさん。
「こんにちは」
実を大きな水瓶に入れて……
かき混ぜます。
熟しすぎて水に浮いたコーヒーの実をすくい取るジョージさん。
すくい取った実は使い物にならないので、捨てられます。
水がめの底に沈んだコーヒーの実は、専用の機械に入れられて……
実を取り除き、コーヒー豆だけを残します。
ガリガリとコーヒーの実を取り除く作業は、電動化されていないので重労働です。
作業を手伝うジョージさん。
強い日差しに耐えかねて、帽子を借りますがサイズが合わない模様。
実が取り除かれたコーヒーの豆。
焙煎する前は、白色。
コーヒー豆を取り出す洗い場を後にするジョージさんは、次の作業現場へ。
コーヒー豆を乾燥させる行程。
ござの上に並べて天日干しにしています。
ここでも不良な豆は取り除かれます。
ということで、良質なコーヒー豆をゲットしたジョージさん。
コーヒー豆を手にアメリカに戻ります。
コーヒー豆についた不純物を取り除くと……
ようやくコーヒー豆の完成。
コーヒーを淹れるには焙煎する行程が不可欠です。
専用のロースターで焙煎すると、いい香りを漂わせながらこげ茶色のコーヒー豆ができあがりました。
コーヒー豆は煎る長さで深みが変わります。
しかし、専用のロースターがなくてもフライパンでコーヒー豆を煎ることは可能。
さっそく教わったとおりにコーヒー豆を炒り始めるジョージさん。
フライパンを弱火にかけ、入念にかき混ぜていきます。
徐々に色が変わってきました。
火を最小限にして待ちます。
「パチッ」というコーヒー豆がはじける音がするのが合図。
この時点で火を止めて……
コーヒー豆を取り出します。
左右に豆を振って冷やします。
コーヒーの抽出方法を専門家に尋ねるジョージさん。
教えてもらったコーヒーを淹れる方法は、なんと靴下によるドリップ。
靴下の中に焙煎済みのコーヒーを入れて……
ハンマーで細かく砕きます。
粗挽きのコーヒー豆の完成。
靴下の中に熱い湯を注いで……
ドリップします。
最後はギュッと絞り出せば手作りコーヒーの完成。
淹れたコーヒーをグビッと飲むジョージさん。
感想は「悪くはない……」
味を表現しようといろいろ考えるジョージさんですが、どうやら美味しくない模様。
約8000キロメートル離れたメキシコまで行って、コーヒーの実を摘む作業、豆を取り出す作業、焙煎する作業など全行程を手作業で体験したジョージさんは、いつでもどこでも美味しいコーヒーを手頃な価格で飲めるコーヒー流通のシステムの素晴らしさを実感したようです。
・関連記事
世界一高価なコーヒー豆はどうやって作るのか? - GIGAZINE
コーヒーを自宅で作る方法をまとめた「An Instant Guide to Making Coffee」 - GIGAZINE
コーヒーを自宅で作るのが劇的にスピードアップしたターニングポイントとは? - GIGAZINE
「健康にいいコーヒー」の作り方を科学する - GIGAZINE
なぜ人はコーヒーを飲むのか? - GIGAZINE
コーヒーはがんの原因にならないことを世界保健機関が発表、ただし熱すぎる飲み物はがんの原因になる - GIGAZINE
・関連コンテンツ