メモ

平凡だが幸せで満足できる人生を送る方法

by ayeshamus

世の中ではクリエイティブさ生産性効率性などが求められることが多くありますが、「素晴らしいものを求めると、その分何かを犠牲する」ということで、人間があえて質の低い平凡な結果を生み出そうとすることを指す「kakonomics」という現象も存在します。このkakonomicsをベースにして人生を送る人々の考え方をBBCがまとめています。

How to be mediocre and be happy with yourself - BBC News
http://www.bbc.com/news/business-37108240

INSTITUT JEAN NICODの哲学者Gloria Origgi氏とオックスフォード大学の社会学教授Diego Gambetta氏が「平凡さ」についての共同研究を行いました。2人の共同研究の始まりは10年以上前、「イタリアで行われたカンファレスやワークショップで見られる人々の傾向」について話をしたことに端を発します。研究者らによると、イタリアの人々には以下のような傾向が見られたとのこと。

・割り当てられた時間に対してスピーチの長さが半分になったり2倍になったりする
・論文の根拠が適切に改訂されていなかったり、他の根拠とごっちゃになっている
・事前の連絡なく会議に欠席したり、逆に出席したりする
・メッセージは消失する
・弁済は遅れるか忘れられるか額を減らされる

これらの傾向はイギリスやフランスでは見られなかったとのこと。これらの逸話を興味深く思った2人はさらに調査を進め、「kakonomics」という現象についてオックスフォード大学に論文を提出するまでに至りました。kakonomicsのkakosとは古代ギリシャの言葉で「悪」の意味です。2人の考えた仮説の前提は非常にシンプルで「時に集団は意識的にしろ無意識的にしろ、質の低い平凡な結果を生み出そうと企てる」というもの。

イタリアでは自由に遊び暮らすことを「la dolce vita(甘い生活)」と表現しますが、この時の「自由」が生活の全てにおける「自由」を指すとすれば、甘い生活は非常に高くつきます。つまり、この時の自由とは高水準を求めないことの見返りとして得ることのできる自由、のんびりした暮らしぶりの意味になります。イタリア人の哲学者であるOriggi氏によると「人々は時に効率性の支配に耐えかねて、事態を和らげる傾向がある」とのことで、「甘い生活」という価値観のあるイタリアではkakonomicsがよく見られる様子。

by Dave Kellam

例えば、1990年、イタリアのオリーブオイル製造業者であるLeornardo Marseglia氏は最高品質を示す「エクストラバージン」のラベルのもと、品質が劣るオリーブオイルを販売したとして逮捕されました。後にMarseglia氏は無罪となりましたが、その際にMarseglia氏は「私が品質を落としたおかげで多くの人々がエクストラバージン・ラベルの商品を手頃な値段で購入できるようになりました」と語ったとのこと。そして、Marseglia氏の自宅で行われた雑誌のインタビューに対しては「私たちにとって『よい』とは『十分である』ということを意味します。私は普通の家族がいればいいのです」と語りました。

上記の例は不誠実さを含みますが、高水準を求めず平凡さを取るkakonomicsの例は他にも存在します。

カナダで夫と3人の子どもと暮らすKrista O'Reilly Davi-Diguiさんは、学生時代に教育学を専攻するも、うつ病のために大学をドロップアウトせざるを得なくなりました。その後、栄養士の資格を取り、現在は「幸せな人生の教育者」として活動しています。Davi-Diguiさんは「世の中に常にある『もっともっと』『生産性のために睡眠を犠牲にしろ』『より大きく、よりよく』『急げ急げ急げ』というメッセージは私を破壊しました。人生というものがわからなくなり、不要のもののように感じ、何かを始めたりやり続けたりすることができなくなったのです。私たちの多くが、ハムスターの車輪から逃げ出して一息つきたいと感じています」と語っており、「What if All I Want is A Mediocre Life?」というブログの中で「素晴らしいものを求めて努力すれば、私には悲しみや疲労、枯渇が残ります。喜びがなくなってしまいます。私は私のままで十分ではないのでしょうか?」とつづっています。「私は学ぶことを好みますが、聡明ではありません。書くことが好きですが、だからといって有名作家だというわけではありません。私は平凡な人間です」というのがDavi-Diguiさんの言葉。


また、作家や起業家として活躍するMark Manson氏は自己啓発に関するメールをブログの読者から毎日何千通も受け取りますが、そのメールを見ていて人々は問題を解決するためのアドバイスを求めているのではなく、「自分の選んだ分野において自分が抜きんでていないこと」、つまり、自分の業績について心配しているのだということがわかったそうです。Manson氏は、ソーシャルメディアによって常に「他人の人生のハイライト」にさらされているせいで、人々は自分がひどく時間を無駄にしているような気分にさせられると分析しています。「結果としての平凡さは許容範囲内ですが、ゴールとしての平凡さは受け入れられないのです」とManson氏は語りました。

上記と同様の結論はOriggi氏とGambetta氏の研究の中にも登場します。Origgi氏にはイタリアで家を修復した友人がいるのですが、その友人によると、イタリアでは期限までに修復が完了することはまずないとのこと。しかし、この時、家の修復が完成しないということは、支払いの期限が延びるということなので、契約においては両者共に得るものがあるわけです。このようなことは人々の生活においてもおこります。あなたが高い完成度を諦めれば、その分、柔軟性と気楽さを手に入れられます。それが人生をのんびりとくつろいだものにしてくれるのです。

Davi-Diguiさんはカナダのエドモントン郊外にある人口1万人ほどの町に住んでいます。そこはコバルトブルーの空、森林の生い茂る山々、鏡のような美しい湖がある豊かな場所で、大都会ではありませんが孤独でもありません。加えて、Davi-Diguiさんはアフリカやヨーロッパ、カナダの各地など、多くの場所を旅しています。Davi-Diguiさんの夫は西アフリカ出身なので、彼女は独学で言語を学びました。このようなバックグラウンドは、他の人には「平均的ではない」と考えるかもしれませんが、人々の頭の中にある「平凡な人」というイメージを取り払ったとき、Davi-Diguiさんは誰よりも平凡な人になれるわけです。

by Janine

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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