「ヒラリーの声はイラッとする」と言われる理由を解明するとこうなった
「毒舌家」として良くも悪くも知名度抜群のドナルド・トランプ氏とともにアメリカ大統領選挙を戦っているヒラリー・クリントン氏について、アメリカでは「声がイライラする」という声が挙がっており、なんと支持率にも少なからず影響を与えていると言われています。なぜクリントン氏の声は人の心をザワザワさせているのか、そんなことを分析したムービーが公開されています。
The Science Behind Hating Hillary's Voice - YouTube
「私が大統領になったら、アメリカ国民の障壁となる『壁』を全て取り払います」と、支援者を前に演説するクリントン氏。メキシコとの国境に壁を設けてメキシコ移民の流入を防ぐ、と語ったトランプ氏に対抗する演説なわけですが、どこかキーキーする金切り声のような印象を確かに受けなくもありません。
「彼女は非常に喉から声を押し出しています」と語るボイスコーチのローラ・バーダン氏。「声は空気をうまく利用して出すもので、力で無理やり出すものではありません」と、クリントン氏の声の問題点を語ります。
ムービーを作成したThe Atlanticの記者は「もしヒラリーの声がこれほどイライラしなかったら、もう少し好きになるかもしれない」という声がアメリカに存在していると語り、その理由を分析しています。
そんな分析に協力したのが、クリーブランド州立大学で聴覚認知の研究に携わっているアーミー・シャー准教授。
シャー准教授によると、クリントン氏の声は同じ性別や年齢のデータと比較すると、一般的な範囲に収まっています。それでも多くの人が「ヒラリーの声はうるさい」と感じるのは、マイクの特性と大きく関連するところがあるとのこと。
マイクに向かって話しかけるときのクリントン氏は、より力を使って話す傾向があるとのことで、シャー准教授はその様子を「クリントン氏の場合は、横隔膜を使った発声法ではなく……」
「胸や喉部分の力を使った、より表層レベルでの呼吸で声を出しています」と語っています。
そしてその発声法が聞く人を不快に感じさせる、としています。
また、クリントン氏の声には、社会が女性の声に求める「柔らかさ」や「息づかい」、鼻だけを使って音を出す鼻音を使う「鼻音性」が欠けているというのも理由とのこと。その対極にあるのが、以下のようにマリリン・モンローが話しているような声。
しかし、シャー准教授がクリントン氏の過去の話し方をさかのぼったところ、興味深い変化が確認されたそうです。1979年に撮影されたこのインタビューは、確かに現在よりも低いトーンで話している様子がわかります。
1987年のこのインタビューでは、少し明るいトーンになった気はしますがまたまだ「キンキンする」といった状態ではありません。
シャー准教授が発見したのは、現在に近づくにつれてクリントン氏の声には「磨き」がかけられて来ているということで、それも「磨きすぎ」と言えるレベルの変化が確認できるとのこと。
夫であるクリントン元大統領と一緒にインタビューを受けるシーン。クリントン氏の話し方は非常に整然としており、途中に入る「ポーズ」もほとんど存在していません。月日を経てクリントン氏はより多くの人に話しかけるようになり、徐々に最初の「庶民的」な話し方から離れるようになったと指摘しています。
シャー准教授によると、クリントン氏の声は「非常に中立的で磨き上げられている」という一方で、それがゆえに「あまり信用できない」という印象を与えてもいるとのこと。「人々はリーダーに対して特徴のある声を求めている」ことから、クリントン氏の声はキレイすぎるというのが不評の理由といえそう。
多くの場合、女性にとって「声による説得力」と「正気でないように聞こえる」という2つを明確に区別するのは難しいとも言われているとのこと。ワシントンDC界隈でリーダー的立場にある人に対してレッスンを行っているボイスコーチのバーダン氏は、「「もしクリントン氏のために仕事をする名誉が与えられるとしたら、私なら『何かを強調したいときに、声の大きさに頼らないこと』と『音程やポージング(空白)といった手法を取り入れること』を助言します」と語っています。
このように、声によって人に与える印象が大きく変化するというのは、確かなことと言えそうです。とはいえ、ムービーでは「本当に声だけが重要ですか?」という問いかけも。シャー准教授も「社会的な実験から、人々は女性に対してより『重箱の隅をつつく』という傾向があることがわかっています」と、男女の違いによる差異を指摘しています。
特にクリントン氏の場合は、アメリカの歴史で初の女性大統領候補ということで、注目が集まっていることも「声」にまで批判の声が挙がる原因といえるのかも。ムービーでは、民主党でクリントン氏との指名争いを繰り広げたバーニー・サンダース氏や、トランプ氏もまた個性的な声や話し方をする例を挙げて「ヒラリーのスピーチには欠点はありますが、それは男性の候補者にも同じことが言えます」と締めくくっていました。
・関連記事
Googleはヒラリー・クリントンが有利になるようオートコンプリート候補を操作しているのか? - GIGAZINE
「エリア51の秘密を明らかにする」とヒラリー・クリントン氏が主張 - GIGAZINE
Googleがアサド政権転覆の手助けをするとクリントン国務長官に提案していたことが明らかに - GIGAZINE
国務長官時代にヒラリー・クリントンが使うよう強く勧められた開発費18億円のスマートフォンとは? - GIGAZINE
ヒラリー・クリントンの母校、名門ウェルズリー大学の専攻別処女率 - GIGAZINE
・関連コンテンツ