スマホから送られたSMSは一体どんなふうに伝わっているのか?
By DAVID HOLT
スマートフォンや携帯電話から電話番号宛にメッセージを送受信するSMSは、LINEやWhatsAppといったメッセンジャーアプリの登場によりユーザー数が減少しましたが、かつては1年間で6兆1000億通ものSMSが送られるほど世界中で使われていました。メッセンジャーアプリやEメールとは異なるSMSの仕組みはどうなっているのか、アニメーションを使って簡単に説明したムービーが「Where Do Your Texts Go?」です。
Where Do Your Texts Go? - YouTube
携帯電話など存在しない約200年前の1800年代、ニューヨークからロンドンまで手紙を送るには約12日かかっていました。1858年には大西洋を通る電信用ケーブル「大西洋横断電信ケーブル」がイギリスとアメリカの間に敷設され、イギリス・ハノーヴァー朝の第6代女王のヴィクトリア女王からアメリカの第15代大統領のジェームズ・ブキャナンに祝電が送られました。しかし、イギリスからアメリカまでメッセージを届けるまで約17時間かかったそうです。
1930年代には家庭用電話機が一般家庭にも普及し、1980年代には携帯電話が発明されました。世界で最初に実用化された携帯電話は充電に約10時間かかり、通話時間は約35分しかなかったとのこと。さらに、値段も4000ドル(当時のレートで約90万円)で、現代では考えられないほど高価なものでした。
1992年に世界で最初のSMSが送信され、2016年現在では世界にある携帯電話の数がトイレの数を上回っているそうです。現代においては毎日約230億通ものSMSが送信されているとのことですが、SMSの仕組みを理解している人はあまりいません。
SMSの送受信は目に見えない電波を介して行われます。例えば、ラジオを聞いているときは電磁波の中でも光より波長が長く、人間の目では視認できず物体を通り抜ける電波が使われています。
SMSの送受信もラジオと似ている電波が使用されています。携帯電話は特定の周波数の信号を受信し、それと同時に独自の電波をネットワークに送信。この場合のネットワークは電波塔・アンテナ・送信機の3つで構成されるシステムを指します。このネットワークは地理的地域を小区画に分けるのですが、この小区画のことを英語で「cell」といいい、携帯電話(chell phone)の名前の由来となっています。ネットワークが分けた小区画は、どの電波塔が電波の送信を受け持つかが決められているのですが、1つの電波塔が受け持つ区域は他の電波塔と重なり合っているため、携帯電話の電波が圏外になるということが起こりにくくなっています。
しかし、建物の中や電波塔から距離が離れた田舎は電波状況が悪くなることも。また、電波を送信する電波塔がコロコロと変わるような高速で動く自動車や電車といった乗り物の中では通信状況が悪化します。
携帯電話からSMSが送信されたとき、発信された電波は付近の電波塔によって受信され、電子インパルスに変換されます。変換された電子インパルスはMSC(Mobile Switching Centre)というネットワーク拠点へと伝達され、MSCがSMSを受信する携帯電話がある区域を受け持つ電波塔を特定し電子インパルスを送信。そして、電波塔が電子インパルスを無線信号へと変換し、これを携帯電話のアンテナが受信してSMSを表示。驚くべきことは、この一連の送受信が数秒で行われるということです。
SMSの送信数は2011年にピークを迎え、その後は減少傾向にあります。減少した理由はLINEやWhatsAppといったメッセンジャーアプリの台頭にあり、WhatsAppは世界中で実に300億通ものメッセージを送信しているとのこと。
メッセンジャーアプリで送信されるメッセージは、SMSとは違い世界中に張り巡らされた海底ケーブルを介して送信されています。
携帯電話やスマートフォンのネットワークは、第4世代通信方式(4G)から、通信速度が100倍くらいに高速化する第5世代通信方式(5G)への技術開発が進められており、2023年には携帯電話を体に埋込み、頭で考えるだけでメッセージを送信できる技術が実現する可能性があるとのことです。
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