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ロボット「スノーボット」として帰国を果たしたエドワード・スノーデン氏の現在は?


2013年6月、アメリカ政府が国民の情報を集めて監視するシステムを運用していることが暴露されました。これを暴露したのはCIAやNSAの職員として働いた経験のあるエドワード・スノーデン氏。この暴露により、スノーデン氏は「国家反逆者」として追われる身となり、ロシアに身を潜めることとなりましたが、いま彼は「スノーボット(Snowbot)」として母国への帰還を果たしています。

Edward Snowden’s Life As a Robot -- NYMag
http://nymag.com/daily/intelligencer/2016/06/edward-snowden-life-as-a-robot.html


Snowden lawyer vows to make new push for pardon from Obama | US news | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/2016/jun/26/edward-snowden-lawyer-pardon-obama

Edward Snowden's lawyer in final clemency push to Barack Obama over treason charges
http://www.ibtimes.co.uk/edward-snowdens-lawyer-final-clemency-push-barack-obama-over-treason-charges-1567573

President Obama should pardon Edward Snowden before leaving office | The Verge
http://www.theverge.com/2016/6/27/12040196/president-obama-pardon-edward-snowden-free

CIAやNSAの職員として勤務する中で、アメリカが国家首脳のホットラインから全世界で交わされる「世間話」まで、ありとあらゆる情報を収集・監視していることを知ったスノーデン氏は、この「ユビキタスな監視」が続けられることに耐えられず、情報公開を決断しました。


情報公開は単独で行われたわけではなく、イラク戦争やグアンタナモ収容所で何が行われていたかというドキュメンタリー映画を撮ったことで国家の監視対象になっていたローラ・ポイトラス監督、そしてジャーナリストのグレン・グリーンウォルド氏を交えて行われました。

グリーンウォルド氏は、スノーデン氏による告発を最初に記事にしたジャーナリストで、以前からCIAやNSAについての記事を発信している人物であったことからスノーデン氏が注目し、最初に暗号化した情報提供メールを送った先でもありました。しかし、このとき多忙だったグリーンウォルド氏はメールをスルー。スノーデン氏は目標を変更してポイトラス監督にメールを送り、ポイトラス監督がグリーンウォルド氏に声をかけた……という経緯があります。

このあたりの告発までの流れ、そして告発時のスノーデン氏の姿などについては、ポイトラス監督が自身の手で映画「シチズンフォー スノーデンの暴露」にまとめ上げ、第87回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞しています。

『シチズンフォー スノーデンの暴露』予告編 - YouTube


告発記事に続いて、自らの身分を明かす記事が掲載されたとき、スノーデン氏らは香港にいました。しかし、この「情報漏洩」によって「連邦諜報活動取締法違反」などの容疑をかけられることとなってアメリカには戻れなくなりました。当初はアイスランドなどいくつかの国への亡命を希望していましたが、香港からモスクワ市内にあるシェレメーチエヴォ国際空港へ到着後、アメリカによるパスポート失効手続きを受けて移動を阻まれ、ロシアへ一時的に滞留することになりました。2014年に3年間の滞在期間延長が認められたため、2016年6月現在もスノーデン氏はロシアにいます。

その生活は特に隠されているわけではなく、公式Twitterアカウント(@Snowden)の更新も行われています。


そして、生身とはいかないものの、ロボットの体でアメリカでの活動も行っています。ロボットといっても、二足歩行の人型ロボットではなく、遠隔操作で相手と会話可能な自走式ロボット「Beam+」を利用したもの。スノーボットとしての姿はこんな感じ。

.@NYMag's cover story: The End of Exile. (Full article here: https://t.co/GH8SQ5ILXc) pic.twitter.com/oCnIA29CB0

— Edward Snowden (@Snowden)


すでにこのスノーボットでプリンストン大学を2度訪問。ニューヨークでのイベントにも参加して、「シチズンフォー」のポイトラス監督とも再会を果たしました。スノーデン氏は年間50件を越える講演の依頼があり、講演は「公益のために」と行われているのですが1回に2万5000ドル(約257万円)以上が集まることもあるとのこと。

「亡命生活」というイメージとはかけ離れた自由な生活を送っているスノーデン氏ですが、「ロシアの操り人形となっているのでは?」「ロシアに情報を流しているのでは?」という質問に対しては、ロシアの諜報機関・FSBの接触を受けたことは認めた上で「プーチン大統領の側近の悪事が暴かれたパナマ文書の件では快哉を叫んだし、寄稿でプーチン批判もしているのに、こんなことを言われたらどうすればいいのか?」と強く否定しています。

ただし、現状に順応しているかのようにみえるスノーデン氏ですが、「ロシアで死ぬつもりはない」とも公言しています。しかし、前述の通り、アメリカに戻れば待っているのは「スパイ」としての扱い。大統領候補の1人であるドナルド・トランプ氏はスノーデン氏を「国家の裏切り者」と切り捨てていて、同じく候補の1人であるヒラリー・クリントン氏もあまりスノーデン氏に好意的とは言えません。

そんな中で、唯一の希望だとみられているのが、現大統領のオバマ氏です。現在、スノーデン氏の弁護士はオバマ大統領に向けて、恩赦によるスノーデン氏の罪の減免措置を求めて活動しています。その可能性については難しいという見方が強いようですが、かつてスノーデン氏のことを「国家反逆者であり、ただちに逮捕すべき」と言っていた当時の司法長官エリック・ホルダー氏が、2016年5月になって「スノーデン氏の行動は、議論を巻き起こすきっかけとなるパブリック・サービス(公的な行い)だった」と発言しており、風向きが変わる可能性があります。

2013年は「裏切り者!」だったものが、2014年には「裏切りではないかもしれないが、向こう見ずだ」、2015年には「法的には違法ではないか」と変化し、さらに2016年には「公的な行い」にまで変化したとスノーデン氏は自らツイート。2017年のところを空白としています。

2013: It's treason!
2014: Maybe not, but it was reckless
2015: Still, technically it was unlawful
2016: It was a public service but
2017:

— Edward Snowden (@Snowden)


なお、映画「シチズンフォー スノーデンの暴露」は渋谷のシアター・イメージフォーラムや大阪のなんばパークスシネマ、愛知の伏見ミリオン座などで公開中(2016年6月29日現在)。さらに、同じくスノーデン氏の暴露を題材にしたオリバー・ストーン監督の映画「SNOWDEN(スノーデン)」も2016年9月公開予定(日本は公開未定)となっています。

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in メモ, Posted by logc_nt

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