サイエンス

秘密に包まれていたスパイ衛星の写真撮影に成功し機体の姿があらわに

By Kordite

地球の軌道上を回っている多数の人工衛星の中には軍事目的で使用されているものがあり、その中でも望遠レンズ付きのカメラや電波などを用いて地表の様子を観察する人工衛星は偵察衛星(スパイ衛星)と呼ばれています。スパイ衛星というだけあって、衛星本体の詳細な姿をおさめた映像や画像はほとんど残されていないのですが、Ralf Vandeberghさんはアメリカのスパイ衛星「KH-12」の高解像度撮影に成功しました。

KH-12 Kennan Keyhole Secret Military Spy Satellite Photos
http://www.spacesafetymagazine.com/space-debris/astrophotography/view-keyhole-satellite/

KH-12は、アメリカの偵察衛星「キーホール(KH)」シリーズの1つであり、航空機・宇宙船の開発製造会社であるロッキード・マーティンによって開発されたスパイ衛星です。KH-12は1機ではなく、KH-12-1、KH-12-2、KH-12-3というように複数機存在するとされていますが、詳細は不明。ただし、エドワード・スノーデン氏が2013年にリークした資料からはKH-12-6とKH-12-7は「EIS(Enhanced Imagery System)」という正式名称で運用されていることがわかっています。

1990年2月から1996年12月にかけて最低でも3基のKH-12が打ち上げられ、打ち上げに使用されたタイタンIVロケットの能力からKH-12は重量1万9600kgという巨大な人工衛星であると推定されています。機体の大きさや形状は宇宙望遠鏡の「ハッブル宇宙望遠鏡」と同じくらいとされているものの、搭載されているカメラの性能や地表分解能については一切公表されておらず、さまざまな情報が飛び交っている状態です。

この秘密だらけのスパイ衛星KH-12の撮影に天体写真家のVandeberghさんが成功したというわけです。Vandeberghさんによると、2010年に衛星軌道上にあるKH-12-13の撮影に成功し、そのときの写真を最新技術を使って処理したところ、かなり細部まで確認できるようになったそうです。

画像の左に写っているのが、Vandeberghさんが撮影したKH-12-13です。10インチ(約25cm)口径の天体望遠鏡を用いて、地表から約336km離れた軌道上を周回するKH-12-13を撮影。右側の写真は、ある関係者が作成したKH-12のモデル画像とのことですが、2つを並べるとそっくりなことがわかります。2つの画像の大きな違いは、左の機体から伸びている物体が、右の機体にはないということ。Vandeberghさんは、この飛び出している物体はソーラーパネルであると予想しています。


また、違う日に撮影された以下の画像からは、ソーラーパネルらしきものが機体の左右に1つずつ付いていることがわかります。


KH-12の画像だけでも撮影技術の進歩を感じますが、Vandeberghさんは2009年3月に、なんと国際宇宙ステーションで船外活動を行うJoseph Acaba宇宙飛行士の姿を写真に収めることに成功しました。以下の画像の右側に写っている小さな白い物体がAcaba宇宙飛行士です。


以下の画像は、1984年8月に打ち上げられたスペースシャトル「ディスカバリー」を撮影したもの。2010年に撮影に成功したというディスカバリーの写真はVandeberghさんのコレクションの中でもお気に入りの1枚になっています。


Vandeberghさんが記事を寄稿しているSpace Safety Magazineでは、上述の写真以外にも貴重な人工衛星の写真を見ることができます。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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