Ever wake up to a numb, dead arm? Here’s what’s happening. - Vox
http://www.vox.com/2016/6/6/11854588/numb-arm-sleep
メイヨークリニックの神経病学者のジェームズ・ダイク氏によると、寝起きに腕の感覚がなくなっているという現象は「とても一般的なもの」だそうです。また、この現象は、人間の身体が自身を保護するための機能を持っていることを示す素晴らしい例でもある、とのこと。
ダイク氏によると、「寝起きに腕の感覚がなくなっている」状態および、回復してきた際に感じる「チクチクした痛み」は、「血流不足で神経からもたらされるもの」ではないそうです。ダイク氏いわく、血流が悪くなって起きるのではなく「神経が押しつぶされることで、このようなチクチクした痛みが起きる」とのこと。
人間は腕にはいくつかの神経が通っており、それらはそれぞれ異なる機能を有しています。例えば腋窩神経(axillary nerve)は三角筋の動作を司っており、上腕の伸展運動はこの神経により行われます。また、上腕二頭筋の動作を支配し、肘を曲げる動作を司るのが筋皮神経(musculocutaneous nerve)。橈骨神経(radial nerve)は腕を真っ直ぐ伸ばし、手首や指を上げる動作を司ります。指を広げる動作を司るのは、尺骨神経(ulnar nerve)です。
マヒと神経の関連についてダイク氏は、「生理学上、『寝起きに腕の感覚がなくなっている』という現象が起きる原因は正確には明らかになっていないものの、睡眠時に腕を身体の下にしたりして腕の神経を圧迫することが原因であり、これは水の出るホースをふみつぶす行為と似ています。手先の末端から脳に流れる情報が一時的に分断され、マヒしたように感じるわけです」と語っています。
神経が圧迫されるとなぜ腕がマヒしてしまうのかについて考えられる可能性は2つあるとのことで、そのひとつは「実際に、腕が一時的にマヒしているから」というもの。レム睡眠中、脳は身体全体にマヒ状態を引き起こす信号を送るようになっているのですが、これはレム睡眠中に夢の中で見ている動きなどを身体が実行してしまわないようにするためのものだそうです。もしもこのレム睡眠時に腕の神経を圧迫したまま起きてしまった場合、腕にマヒ状態が残ったままになっていてもおかしくなく、これが腕のマヒ状態の正体かもしれない、とのこと。
By Peter & Joyce Grace
考えられるもうひとつの可能性は腕のマヒを感じたあと、腕の感覚が戻ってきた際に感じる「チクチクした痛み」について。神経を圧迫すると神経に損傷を与えることにつながるので、神経が長時間圧迫されると、身体を守ろうとして人間は自然と目を覚まします。この時、神経への圧迫を軽減するために、神経は腕にチクチクした痛みを感じさせているのかもしれない、とのこと。ロチェスター大学の医療センターはこの痛みについて、「神経構造は、それらが回復するに伴い、敏感になっていく傾向があります。通常、チクチクとした痛みは神経が生き返ってきたことを示す良い兆候です」という見方を示しています。