レビュー

ニコン史上最高の常用感度ISO 102400でどんな被写体も逃さないフルサイズデジタル一眼レフカメラ「D5」実機レビュー


ニコンの35mmフルサイズフォーマットである「FXフォーマット」を採用し、広域・高密度の153点オートフォーカス(AF)システムやニコン史上最高の常用感度ISO 102400、4Kムービー撮影の対応などに対応したプロ仕様のデジタル一眼レフカメラ「D5」が2016年3月26日に発売されました。

D5には2つのモデルが存在し、記録用のメディアにXQDメモリーカードコンパクトフラッシュ(CF)のいずれかを選択できます。XQDメモリーカードはCFよりもデータを高速で書き込み可能な点が長所ですが、GIGAZINE編集部にはこれまでD3・D3S・D4・D4Sといったカメラで使用してきたCFが存在するため、これらを有効活用するためにも記録メディアにCFを使用する「CF-Type」を購入しています。そもそも、「RAWファイルで長時間連写」などの運用をしていないため、連写速度は必要ではないという結論に至ったというわけです。


そもそも、GIGAZINE編集部ではニコンのD一桁機を屋内のセット撮影や晴天時の屋外ポートレートなどで使用しているわけではなく、「手持ち」で移動しながらの撮影や、夜間撮影、手ぶれしやすい環境下での撮影、さらには撮り直しができないイベントなどでの撮影時に使用しています。三脚の使用を想定しているわけではなく、美しい写真を撮影するためでもなく、「情報」をきちんと撮影しきることを前提にしているわけです。そういった観点からみて、D5はどういったカメラに仕上がっているのか、じっくり触って確かめてみました。

D5 - 概要 | 一眼レフカメラ | ニコンイメージング
http://www.nikon-image.com/products/slr/lineup/d5/

◆開封の儀
GIGAZINE編集部に届いたD5の箱。


箱のフタを開くと、中にはストラップと使用説明書などの書類が入っています。


これらをどかすと、中には明らかにカメラの形をした何か。


さらにこの中に、ポリ袋に包まれたD5が入っています。


箱の中身を全て取り出すとこんな感じ。


付属品を全て並べてみました。左からD5本体、バッテリー、バッテリーチャージャー、使用説明書・保証書・ネットワークガイド(+その他書類)、USBケーブルクリップ、HDMIケーブルクリップ、アクセサリーシューカバー、バッテリーチャージャー用ケーブル、USBケーブル、ストラップ。


以下は左からUSBケーブルクリップ、HDMIケーブルクリップ、アクセサリーシューカバー。


アクセサリーシューカバーは、D5の天面中央にあるアクセサリーシュー部分に差し込むことができます。なお、アクセサリーシューカバーは写り込みを防止したり接点を保護するためのものだそうです。


◆フォトレビュー
これがD5の本体。


iPhone 6と大きさを比較してみるとこんな感じ。高さは同じくらいなのですが……


厚みが段違い。


バッテリー・レンズ・ストラップがないD5本体のみの状態でも、なんと1244g(1.2kg)もあります。


D5を正面から見るとこんな感じ。


本体正面には「D5」の文字。


正面右下には「FX」のロゴ。


レンズマウントの左横には「Pv」「Fn1」「Fn2」という3つのボタン。


マウント右横にはレンズ取り外しボタンの他、AFモードボタンとフォーカスモードセレクターがあります。


そして、その上部にはシンクロターミナルカバーと10ピンターミナルカバー。


背面には3.2型のTFT液晶モニター。モニターはタッチ対応なのでライブビューで画面をタップしてAF位置を決定することも可能。


液晶モニターの右横にメモリーカードスロットが2つあります。購入したのは「CF-Type」なので、以下のスロットは2つともCF用のもの。


天面はこんな感じ。


右側に表示パネルやシャッターボタン、電源スイッチがあり……


左側に露出モードボタンやレリーズモードダイヤルが配置されています。


底面には三脚ネジ穴。


左側面下部には縦持ち用のコマンドダイヤル・シャッターボタン・ファンクションボタン・シャッターボタンロックレバー。


右側面には複数のカバーが付いており……


中には拡張端子、USB端子、ヘッドホン/マイク端子、HDMI/有線LAN端子が隠れています。


その下には以下のようなつまみがあり……


これを矢印方向に回すとカバーを取り外すことが可能。


このカバーの内側には2つの穴が空いているので、これとバッテリーについているツメを合わせると……


以下のようにカバーとバッテリーがピッタリくっつきます。


そして右側面下部に差し込めば電力を供給可能になるというわけ。なお、バッテリーの容量は2500mAhで、D4SなどのD一桁機のものを流用可能です。


これにさらにレンズを取り付ければカメラとして使用可能な状態になります。なお、以下の写真で取り付けているのは大口径標準ズームレンズの「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED」です。


◆前モデルのD4Sと比較
ひとつ前のモデルであるD4S(右)とD5(左)を写真で比較してみます。


まず気づいたのはシャッターボタン下にある赤いラインの違い。D4Sはシャッターボタン下部から本体中央側に長めに伸びているのですが……


D5では赤いラインが本体外側に長く伸びており、線の太さもメリハリが利いています。


また、D4Sではレンズマウントの横に「Pv」と「Fn」という2つのボタンしかなかったのですが……


D5では「Pv」「Fn1」「Fn2」という3つのボタンが配置されています。


本体背面はこんな感じ。ほとんどのボタン配置がD4S(右)から変わっていませんが……


D4Sでは本体下部にあった「ISOボタン」「QUAL(画質モード/画像サイズボタン)」「WB(ホワイトバランス/ツーボタンリセットボタン)」「マイクボタン」が……


「レリーズモード/ツーボタンリセットボタン」「QUAL(画質モード/画像サイズボタン)」「WB(ホワイトバランス/ツーボタンリセットボタン)」「インフォボタン」に変わっています。


また、D4Sではアイピースが本体にネジで固定されていたのですが……


D5では手動で簡単に取り外し可能になっています。


続いて、D5(左)とD4S(右)の天面を比較。天面のボタン配置も若干変更されており……


D4Sではシャッターボタン周りに配置されていた「MODE(露出モードボタン)」が……


D5では「ISOボタン」に変わっています。D4Sでは背面下部にあったISOボタンはより押しやすいシャッターボタンのすぐ側に移動したというわけ。


そして、以下はD4Sのレリーズモードダイヤル周り。


以下はD5のレリーズモードダイヤル周り。D4Sではシャッターボタンのそばに配置されていた露出モードボタンが、シャッターボタンとは反対側のレリーズモードダイヤル部分に配置されています。また、D4Sではレリーズモードダイヤル上にあったストロボ設定ボタンが、ブラケティングボタンに変更されています。なお、このストロボ設定ボタンは背面のモニター左横に移動しています。


対して、本体底面や……


側面には変化がありません。


◆D5の特徴
D5を使う上で長らく付き合うことになるのがそのシャッター音。メーカーによってカメラのシャッター音はかなり異なりますが、D5のシャッター音は以下のような音になっています。

D5のシャッター音 - YouTube


D5はD4S比で130%以上広い範囲を高密度にカバーした153点(うち55点が任意選択可能)のAFシステムを搭載しています。このうち99点は被写体を捉えやすいクロスセンサーとして中央部と周辺部に効率よく配置されており、これにより構図の自由度が高まります。


機能面でなんと言っても注目したいのは、D5はニコン史上最高の常用感度ISO 102400を実現している点。


さらに、Lo 1(ISO 50相当)への減感や、Hi 5(ISO 3280000相当)までの増感も可能で、これによりこれまでのニコン機では不可能なくらいの暗闇でも、被写体をカラー撮影できるようになります。


というわけで、暗所でいろいろ撮影してきました。写真はD5の画質「FINE」、画像サイズ「L(5568×3712)」で撮影しており、ファイルサイズは約9~10MBになります。なお、掲載した画像は補正なしでリサイズのみ行っています。

JR桂川駅


京都タワー


JR京都駅に映る京都タワー


京都タワーの下にある建物


京都タワーの展望台の中。実際はかなり暗く、頭上の青色ライトしか光っていないのですが、D5ならばかなり明るくで撮影できます。


展望台の中にある望遠鏡


京都タワーからみた京都の街並み


加えて、D5の真価は高速連続撮影にこそあります。D5はすべての画質モード、Hi 5までのすべてのISO感度域で、約12コマ/秒(レリーズモードがCH(高速連続撮影)かつシャッタースピードが1/250秒以上で可能)での安定した高速連続撮影が可能。連続撮影可能コマ数は、14ビット記録のロスレス圧縮RAWでも最大200コマ(Lexar Professional 2933x XQD 2.0のメモリーカードを使用した場合)を確保しています。

実際にD5で高速連写撮影を行うには、シャッタースピードを1/250秒以上にセットして……


レリーズモードダイヤルを「CH」にセットすればOK。


さらに、背面下部のレリーズモードボタンを押しながらコマンドダイヤルを回せば、14コマ/秒(ミラーアップ)での超高速撮影も可能です。


実際にD5で動く被写体を連写してみました。走行中の電車や……


京都駅前にある芸術噴水「AQUA FANTASY」をパシャリ。


D5では3840×2160の4Kムービーを撮影可能になりました。4Kムービー撮影時に選択できるフレームレートは30fps、25fps、24fpsの3種類で、画質を1080p(1920×1080)まで落とせば60fpsでのムービー撮影も可能です。


というわけで、実際にD5で撮影した4K画質のムービーは以下から見ることができます。

ニコン「D5」で撮影した4Kムービー - YouTube


実際に使ってみた感想としては、「めちゃくちゃに重いものの、それだけのパワーは写真を撮影する中でしっかりと体感できる」というもの。レンズやバッテリーを含めると軽く2kgを超えてしまうD5ですが、それだけあって、編集部で頻繁に使用されるミラーレス一眼レフカメラのLUMIX GH4やニコンのAPS-Cサイズ・デジタル一眼レフカメラD5300とは比べものにならないくらいに暗所や動体の撮影に強く、「こんなに簡単かつ明るく、くっきり撮れてしまうのか……!」と感動を覚えるほど。また、常用感度ISO 102400を達成しているだけあって、他のカメラではかなり粗くなってしまうような感度で写真を撮影しても、比較的きれいな写真が撮れます。それでいて、ある程度ISOを上げれば十分鮮明な写真が撮影できるため、よほど真っ暗な場所にでも行かない限りISO 102400という設定を使う必要も感じられませんでした。もちろんカメラの用途は人それぞれなので全ての人にオススメできる機種ではありませんが、どうしても暗い場所での写真撮影が多いという人や、スポーツのワンシーンをくっきりきれいに写真に収めたいという人、さらには自分の思い通りに動いてくれない動物などをきれいに撮影したいという人にはかなり心強い味方になること間違いなしです。

なお、ニコンの公式オンラインショップであるニコンダイレクトでは、D5は税込75万600円での販売となっています。

D5 - デジタル一眼レフカメラ | NikonDirect - ニコンダイレクト

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
日本最大級のカメラ・写真イベント「CP+2016」全記事一覧まとめ - GIGAZINE

ニコンのフラグシップ一眼レフカメラ「D5」速攻フォトレビュー - GIGAZINE

ニコンのデジタル一眼レフカメラD5300がどう進化したか実機レビュー - GIGAZINE

ニコン「D3S」の1コマ撮影モードと静音撮影モードではどれだけシャッター音が変わってくるのか比較してみた - GIGAZINE

in レビュー,   ハードウェア,   動画, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.