妊娠して子どもを産むのにどれぐらいコストがかかるのか？アメリカの場合

by Felipe Skroski

子どもを産むとなると、家具や道具をそろえたりと物入りになってくるものですが、実際に病院に入院して出産するにはどのくらいの費用がかかるのか？ということで、アメリカ在住の場合の出産費用について事前に見積もりを取る、という試みがYouTubeで公開されました。物を購入する場合に事前に価格を提示する、というのは当たり前のことですが、出産についてはその「当たり前」が全く通じない、という不思議な事態が明らかになっています。

Giving birth costs a lot. Hospitals won't tell you how much. - YouTube


子どもができるとなると、チャイルドシートやベッドからおむつまで、あらゆるアイテムが必要になってきますが、そのうち「病院での出産費用」はどのくらいかかるものなのでしょうか。

アメリカは、オランダ・フランス・カナダなど、他の国に比べて医療費が高額であることで知られています。

専門家の中には、「医療費が高額になる理由の1つは、車の購入と違って人々が医療費を比較・検討することが少ないからだ」という人も。

そこで、ムービーの語り手であるオリバーさんは妻のイサベルさんの出産を前に、アメリカで出産すると、どのくらいコストがかかるのか調査することに決めました。

実はアメリカにおいて人が病院に行く最も多い理由は「出産」に関することで、2015年には380万人の女性が出産しました。これだけポピュラーなのだから、出産費用に関することも周知されているのだろうと予想し……

まずはGoogleで検索。

行き着いたのはイェール大学の研究でした。

一言で「病院で出産」と言っても、部屋の種類から設備まで多岐にわたり、費用には1189ドル(約13万円)から1万1986ドル(約130万円)まで差があると研究では記されていたとのこと。

実際の費用を知るには病院に直接尋ねる必要がありそうです。病院には医療サービスや治療に関するあらゆる価格が記された「チャージマスター」というリストが存在します。

例えば、医師と20分会話したときの費用は109.32ドル(約1万1700円)、219.71ドル(約2万3600円)です。この時、サービスは項目ごとに異なるコードが振られています。

そして、保険会社によって各項目のカバー額が異なるわけです。

つまり、イサベルさんが病院にいくと、さまざまなサービスの項目についてバーコードが読み込まれていき……

最終的には保健会社に対して「CLAIM」と呼ばれる医療費支払いの申請を行います。

保健会社はCLAIMをもとにポリシーに従ってカバーする額を決めて、病院に連絡します。

そして病院は、患者が実際の請求額を患者に対して通知するわけです。

コードを知れば費用のメドがつくはず、ということで、数々の病院に電話したオリバーさんですが……

3時間半電話し続けても、担当者をたらい回しにされ、なかなか明確な答えを得ることができませんでした。

そして最も多かった回答は「費用は出産後にわかる」というもの。何かを買うときに事前に価格がわからず、購入後に価格が初めて判明して請求されるというのは、通常では考えられない事態ですが、出産に関してはこれが普通のようです。

しかし、2週間の間に30件もの電話をかけた結果、ようやく出産の費用についてコンサルタントから意見をもらうことができたとのこと。

コンサルタントによると、出産費用の見積もりは347ドル(約3万7000円)でした。

そして、実際に出産の時がやってきました。

標準的な施術を経て赤ちゃんが生まれ……

病院での滞在時間は計2日間でした。

4週間後……

やってきた請求書によると、実際の支払額は841ドル(約9万円)と、見積もりよりも5万円ほど高額。

医療費に差がありすぎること、事前に見積もりが取れないことなど、出産を通してアメリカの医療システムの欠点が明らかになったわけですが、かわいい赤ちゃんを前に「一切不満はない」とオリバーさんは語りました。