ハードウェア

VRヘッドセット「HTC Vive」をバラバラに分解


修理することはユーザーの権利」というポリシーを掲げて、あらゆるガジェットを分解して修理ガイドを公開しているiFixitが、VRヘッドセット「HTC Vive」を分解しています。Oculus Riftに続いて分解された本格的なVRヘッドセットViveは、Riftと同じ部分と違う部分があり、設計思想の違いが現れているようです。

HTC Vive Teardown - iFixit
https://www.ifixit.com/Teardown/HTC+Vive+Teardown/62213

HTC Viveを分解する様子は以下のムービーで確認できます。

HTC Vive Teardown Review! - YouTube


ようやくiFixitの元に届いたHTC Vive。Oculus Rift同様に、発売直後から入手が困難な状況にあります。


これがHTCのVRヘッドセット「Vive」。片眼で1080×1200ピクセル、両眼合わせて2160×1200のディスプレイを搭載し、リフレッシュレートは90Hzで水平視野角は110度。


前面にカメラを搭載するのがViveの大きな特長。


使用時は4本のケーブルを接続します。


外部端子は3.5mmオーディオジャック、USB3.0×2、HDMI端子。


さっそく分解開始。まずはスポンジインナーを取り外します。


なお、スポンジはマジックテープで固定されており、交換可能です。


レンズの間にあるのは近接センサー。


ピント調整用のネジを取り外します。


こんな感じ。


マスク部分のプラスチック製パーツを取り外して……


前面のカバーも左右方向に分解します。


カバーを取り外すと、フォトダイオードやIRレーザーなどのモジュールがぎっしり。センサー類の数は32個とのこと。OculusのRiftは机上のカメラでモーショントラッキングしますが、Viveはヘッドセット内のIRセンサーで光を検出してモーショントラッキングする仕組みです。


なお、カバー内にはIRフィルターが多数取り付けられており、フォトダーオードに光を正しく伝達できるようになっています。


モジュールはZIFコネクターで取り付けられています。


前面カメラの下にあるコネクタを外して、センサーアレイを持ち上げると前後に分解できます。


カメラのある前部分の裏側はこんな感じ。


カメラはSunny Optical Technology製の「TG07B C1551」で、これはOnePlus OneProject Tango端末と同じカメラモジュールです。


センサーには「18」「19」と個別にナンバリングされています。


Viveのマザーボードはこんな形。電磁シールドが取り付けられています。


赤枠がSTMicroelectronicsの「STM32F072R8」で、CPUはARMの「Cortex-M0」が使われています。オレンジ枠が東芝のHDMI-MIPIコンバーター「TC358870XBG」、緑枠がAlpha Imaging TechnologyのSoC「AIT8328」、青枠がMicronのフラッシュメモリ「M25P40(PDFファイル)」、紫枠がMicronのフラッシュメモリ「N25Q032A13ESE40E」。


裏面は、赤枠がNordic SemiconductorのSoC「nRF24LU1+(PDFファイル)」、オレンジ枠がNXP Semiconductorsの「LPC11U3x」、緑枠がInvensenseのジャイロ・加速センサー「MPU-6500」。


マザーボードを固定していたフレームを分離。


中間フレームのレンズカバーも取り外します。


レンズ周りのゴム製のガスケットを取り外すと……


レンズに到着。


画像右下のつまみを回転させるとレンズ間隔を変更できます。


次に、レンズ下に取り付けられたディスプレイ部分の取り外し。


ディスプレイは有機ELパネルです。


画素密度は447ppiで、対角のサイズは91.8mm(3.6インチ)。ちなみにRiftは456ppiで対角90mmとのこと。


レンズは接着剤で固定されています。


接着剤の量が少ないので、比較的簡単に取り外し可能です。


レンズ側面にはQRコードがあるものの、どうやってもスキャンできなかったため、詳細は不明とのこと。


つづいてコントローラーの分解作業に移ります。


まずは先端のカバーを取り外します。


手前側のカバーにはブービートラップが仕込まれているとのこと。ケーブルを切らないように、ケースを開ける角度には注意が必要です。


うまく取り外すとこんな感じ。


タッチパッド部分には、赤枠の通りCirqueの「1CA027」チップが搭載されています。


バッテリーの取り外し。


容量960mAhのリチウムポリマーバッテリーの型番は「B0PLH100」。QRコードはシリアル番号用だとのこと。


コントローラーのマザーボードはこんな形。赤枠がNXP Semiconductorsの「LPC11U3x(PDFファイル)」、黄枠がInvensenseの「MPU-6500」、緑枠がMicronの「M25P40」。


モーションキャプチャー用のベースステーションは、天面を温めて……


カバーを外します。


中にはこんな装置。


赤外用LEDを搭載したスピニングモーター付きレーザーエミッタ。


赤外線カメラで撮影するとこんな感じです。


チップは赤枠がNXP Semiconductorsの「11U37F」でオレンジ枠がNational Semiconductorの「61AFCXU L00075B」となっています。


スピニングモーターは日本電産の「B2044N01」が使われていました。


というわけでVive本体をバラバラに分解するとこんな感じ。


コントローラー


ベースステーション


iFixitによると、HTC Viveキットの分解・修理難易度は、10段階の「8」と比較的易しめ。


その理由として、特殊ネジが使われていないため分解は容易で、コントローラーのタッチパッドやベースステーションのモーターなどが汎用品を使っていて交換パーツの入手性が良いこと、一部に使われている接着剤も比較的剥がしやすいことが挙げられています。

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in ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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