政府からテスラに「古い原子力発電所を自動車工場に変えて欲しい」との要望が届く
By Robert S
発表したばかりの新型電気自動車「モデル3」が好評なテスラが、フランス政府から「古い原子力発電所を自動車工場に変えて欲しい」という要望を受けていたことが海外ニュースメディアArs Technicaの報道で明らかになっています。
France wants Tesla to transform its old nuclear plant into an auto factory | Ars Technica
http://arstechnica.com/cars/2016/04/france-wants-tesla-to-transform-its-old-nuclear-plant-into-an-auto-factory/
フランス政府でエコロジー・持続可能開発・エネルギー大臣を務めるセゴレーヌ・ロワイヤル氏は、フランス北東にある古い原子力発電所の再利用に関する自身最良のアイデアが、同施設をテスラの電気自動車工場に変えることであると発言しました。この「古い原子力発電所」というのは、フランスとドイツの国境近くにあるオー=ラン県フェッセンアイムにあるフェッセンアイム原子力発電所のことを指しています。
これは2016年4月5日に行われた記者会見の中で明らかになったことで、同記者会見の中でセゴレーヌ大臣は「多くの人々が原発の停止を予測していますが、それを行うには何か新しい(雇用を)提案する必要、つまりは地域に希望を与える必要があります。私のアイデアはここにテスラの工場を誘致する、というものです」「我々はフェッセンアイム原子力発電所の停止と、この土地に新しい他のものを建設できると発表できたなら、それはとても素晴らしいことです」と発言し、フランス政府が原発跡にテスラの電気自動車工場を誘致しようとしていることを明かしました。さらに、セゴレーヌ大臣はテスラのイーロン・マスクCEOと会談したことを明かしており、「私は『あなた方のための土地をフェッセンアイムに確保しています』と言い、彼はこれを聞いてもノーとは言いませんでした」と語っています。
By Sam Felder
フェッセンアイム原子力発電所が稼働を始めたのは1978年で、2016年時点でもエネルギー開発企業のEDFにより運転されています。フェッセンアイム原子力発電所は現在フランスで稼働している原子力発電所の中で最も古い原発ですが、2011年に福島で起きた原発事故のあと、フランス政府は安全性のために同原子力発電所を2017年で停止させることを決定しています。
しかし、多くの人々が同原発の停止に反対しています。これは、原発が約2000もの雇用を生み出しており、地域で働く人々にとってはなくてはならない稼ぎ口になっているからです。また、フランスは現在電力の75%を原子力発電所が生み出す電力に頼っているということもあります。しかし、フランス政府はこのシェアを2025年までに50%程度にまで下げることも目標にしており、原発をテスラの自動車工場に置き換えることは問題にならないのではとドイツの報道機関であるDeutsche Welleは報じています。
テスラは既に「モデルS」を組み立てるための自動車工場をオランダに保有しています。しかし、発表したばかりの「モデル 3」の好調さから、マスクCEOはTwitter上で「フリーモントのキャパシティが限界にきているので、長期的な需要に答えるため、ヨーロッパに新しい工場を建設する必要がある」と発言していた模様。ただし、当該ツイートは既に削除されているようです。
なお、テスラのスポークスマンは「現在のところヨーロッパに工場を開く計画はない」とArs Technicaにコメントしています。
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