レゴだけでギリシア神話のシーンをリアルに再現する「Sisyphus LEGO Kinetic Sculpture」
ギリシア神話には、神々を二度までも欺いた罰として、巨大な石を山の頂まで運び上げるように命じられる人物、シーシュポスが登場します。やっとの思いで持ち上げた石が麓まで転がり落ち、再び持ち上げるという作業を延々と続けさせられるという果てしない徒労と不条理を描いた物語として有名なワンシーンを、なんと動くレゴで再現してしまった人がいます。
Sisyphus LEGO Kinetic Sculpture - YouTube
これが全てレゴのパーツを組み合わせて作った「Sisyphus LEGO Kinetic Sculpture」の全貌。ベージュ色のシーシュポスが、両手で大きな石を押して運んでいる様子が再現されています。しかも、ムービーを見ればわかるように、リアルな人間の動きが再現されているのだから驚き。
この作品を作ったのは、長年にわたってレゴを使った作品を作り続けているJK Brickworksのジェイソン・オールマンさん。ムービーでは内部の様子を含めて作品が細かく紹介されています。
まずは外観から。全てレゴで作られているわけですが、土台部分の4面には、それぞれギリシア神話のワンシーンが彫刻のように再現されています。これはシーシュポスが馬に引かれた戦車に乗って相手を襲うシーン。
全知全能の神、ゼウスの命を受けてシーシュポスを捉えにきたにもかかわらず、シーシュポスの巧みな話術によって逆に鎖につながれてしまったハーデース。
晩餐の席で客に刃を向けるシーシュポス
そして、シーシュポスに罰を与えるゼウスのシーンなどが再現されています。
彫刻の再現もさることながら、その動きの機構にも興味が向くところ。この作品は、土台がバカッと開くようになっており、中の様子を見ることも可能。
左手の人さし指がさす部分には、電池とレゴのモーターが内蔵されており、動力を生みだしています。
さらに、土台の反対側にはクランクレバーをさすためのシャフトが出ているので、レバーを手で回して動かすことすらも可能。
そして、内部の構造だけを取り出したスケルトンモデルがコレ。
モーターからの動力は、ベージュ色に見えているギヤに入力され、ここから各パーツへと伝達される仕組みになっているとのこと。
左足には黄色の、右足には赤色のリンクがつながっており、根元部分にある黒いクランクシャフトの回転を受けて両足を駆動します。リンクには短めのサブリンクが接続されており、これによって力強く地面を蹴り出す足の動きが再現されています。
ベージュ色のギヤには、このように黒いチェーンがつながっており、前方の赤いリンクを駆動することで体と石の動きを生みだす仕組みにもなっています。
この装置の最も重要な設計は、足を駆動するギヤの枚数が12対24、つまり1:2のギヤ比に設定されているところ。足が1サイクルする間に上半身と石を2回動かすことで、2本の足の動きと体の動きをうまくシンクロさせているということです。そのメカニカルな動きは、好きな人にはもうたまらない光景のはず。
なお、オールマンさんのサイト「JK Brickworks」では、他にもたくさんの作品を見ることができるほか、「Instructions」のページでは作品ごとの作り方を見ることも可能。
Instructions | JK Brickworks
このような組み立て説明書や必要な部品のパーツリストまでもが閲覧可能になっているので、思わず次の日にでもレゴブロックを買いそろえたくなってしまいそうな状態になっていました。
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