SpaceXが宇宙飛行士を地球に無事帰還させるため開発中のカプセル減速用パラシュートの落下試験を公開
イーロン・マスク率いるSpaceXは、NASAと提携して有人宇宙船「Crew Dragon」の開発を行っています。民間ロケットとして初の有人飛行を実現しようとするSpaceXは、宇宙飛行士を地球に帰還させるための専用カプセルを開発中。パラシュートを使ってカプセルを減速して安全に落下させる実験をスタートさせており、その様子を公開しています。
SpaceX Tests Crew Dragon Parachutes | Commercial Crew Program
https://blogs.nasa.gov/commercialcrew/2016/01/27/spacex-tests-crew-dragon-parachutes/
Crew Dragonのカプセルに搭載される予定のパラシュートがどのように作動するのかは、以下のムービーを見れば分かります。
SpaceX Tests Crew Dragon Parachutes - YouTube
アメリカのアリゾナ州上空をただよう物体。これは、宇宙飛行士を地球に帰還させるために「Crew Dragon」のカプセルにつけられたパラシュート。
上空の飛行機から見ると、ゆっくりと落下していきます。
Crew Dragonカプセルに取り付けたカメラから見ると、パラシュートは4つ。これらはカプセルを安全に海上に着水させるために取り付けられたメインパラシュートです。
メインパラシュートの先についているのはCrew Dragonカプセルに見立てたバラスト(重り)。実機で実験する前に、安全に落下させられるかをテストしているというわけです。
メインパラシュートは4つとも、うまく機能している模様。
Crew Dragonカプセルをメインパラシュートで減速させる試験は、上空を飛行するC-130輸送機から、バラストを落下させることで行われました。
先に飛び出した黒い大きなパラシュートが開き……
パラシュートと一体化したバラストが飛び出てきました。
さらに赤いものが飛び出ると……
円柱状に伸びてパラシュートの形になり……
落下試験がスタート。宇宙からの落下に見立てて、飛行機で上空から落とす形で実験は行われました。
今回の落下試験は重りで行われましたが、本物のCrew Dragonカプセルはこんな形。
定員は7名で、フライトはすべて自動制御される予定。
Crew Dragonの内部がどのようになるのかは、すでに公開されています。
民間の有人宇宙船「Crew Dragon」の乗組員カプセル内部が公開、2017年の初飛行へ - GIGAZINE
Crew Dragonカプセルは、まずは安全に洋上に着水させる予定。しかし、ゆくゆくは火星のような海のない場所でも安全に着陸できるように、逆噴射ロケットによる着陸機能を搭載する計画です。
なお、すでに逆噴射ロケットによる着陸試験も行われています。とてつもない爆音で、逆噴射する様子は以下のムービーで確認できます。
Dragon 2 Propulsive Hover Test - YouTube
今回の実験は、メインパラシュートの性能を調べるもの。Crew Dragonカプセルは減速用のパラシュートで減速した後で、メインパラシュートを使って海上に安全に着水することが計画されています。
スペースシャトルが引退した今、国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙飛行士輸送はロシア頼みの状況。NASAとSpaceXは、Crew Dragonによる有人飛行システムを完成させて、アメリカを再び宇宙開発の盟主に復帰させる計画です。
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