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テスラを追う新興EVスタートアップ「Faraday Future」がコンセプトカー「FFZERO1」を発表


電気自動車(EV)専業メーカーのトップを快走するテスラモーターズを追うべく設立されたアメリカのEVメーカー「Faraday Future(ファラデー・フューチャー)」が、CES 2016の会場で同社初となるコンセプトカー「FFZERO1」を発表しました。家電見本市であるCESで「今後のモビリティを示す」という自動車が発表されるということで注目が集まりましたが、登場したのはなんとスポーツカーのお手本をそのまま形にしたような一人乗りの車両。しかし、その中には今後の展開が垣間見えるコンセプトが秘められているようです。

Glimpse Into the Future
http://faradayfuture.com/ces2016/

CES 2016の会場では、Faraday Future(以下、FF)のコンセプトカー発表に向け人が集まります。


まず登壇したのは、FF設立者の一人でシニア・バイスプレジデントのニック・サンプソン氏。サンプソン氏は過去にジャガー、ロータス、テスラといった自動車メーカーを渡り歩いてきた人物。


次に登壇したのは、中国の家電メーカーで「中国のNetflix」とも呼ばれる映像配信サービス「LeTV(乐视网)」の共同設立者であるDing Lei氏。LeTVはFFを資金的に支える企業で、FFにとっては欠かせない存在となっているとのこと。Ding氏は、隠居後に木を植え始めた年老いた木こりに自らを例え、これまでの事業で地球に与えてきた影響の「罪滅ぼし」のつもりでFFの将来に展望を抱いていることを語りました。


3人目の登壇者は、FFのチーフデザイナーを務めるリチャード・キム氏。キム氏は過去にアウディやBMWでデザイナーを歴任した経験を持ち、BMWのEV「i3」や「i8」、そして「i8スパイダー コンセプト」のリードデザイナーを務めた経歴の持ち主だとのこと。


車両の説明がひととおり行われたあと、ついにベールがあげられる時がやってきました。派手な照明やプロジェクションマッピングを取り入れた演出でステージが彩られ……


妖しく光る車両が登場。「次世代のEV」を標榜するコンセプトカーという説明からはおよそ予想しなかった、ロー&ワイドな純スポーツカーが登場しました。


明るい照明の元で見る車両はこんな感じ。車両の前が黒、後がシルバーという変則ツートーンカラーで塗り分けられています。


これがFFが発表したコンセプトカー「FFZERO1」。まさにレーシングカーそのもののフォルムをまとい、フロントバンパー下部にはダウンフォースを生みだすウイングのようなデザインも取り入れられています。さらに、ボンネットを横断して左右のフロントタイヤいっぱいまで広がるライト(のようなもの)の処理も特徴的。


車体を上から見ると、さらに過激なデザインであることがわかります。なんとこの車両はドライバーが車体中央に座る一人乗りとなっており、ドライバースペースは透明のキャノピーで覆われています。ドライバー後方には、リアウイングへとつながるカウルが長く伸びるデザインになっており、これまたレーシングカー然(しかり)と言ったところ。クルマ好きにはたまらないデザインですが、「はたしてコレが次世代EV?」と首をかしげる人がいてもおかしくないレベル。


ドライバーを包むバケット状のシートやハンドル周りの様子はまるでF1マシンと言ったところ。コレをデザインしたデザイナーは、さぞかし夢中でデザインしたのだろうと思わされる仕上げになっています。


ハンドル中央には、スマートフォンを収める「スマートフォン・ドック」を搭載。やっと家電見本市のCESらしさが出てきました。


FFZERO1の大きな特徴であるサイド部分のデザイン処理。「UFOライン」と呼ばれるモチーフを取り入れて近未来的なイメージをかもし出している模様。


フロントバンパーから車体を見ると、後方まで貫通するトンネルが設けられていることがわかります。これは空力特性の向上や、搭載されるバッテリーの冷却を目的としたデザイン。このままル・マン24時間レースに出場しても不思議じゃないレベルの作り込みですが、何度も言いますがこれは「次世代のEV」として考えられたコンセプトカー。


ドライバー後方には、半透明のフィンが後方へ大きく伸びています。これも近年の耐久レーシングカーに多く取り入れられるデザイン思想の一つ。


ボディには、軽量・高剛性のカーボンファイバーが使われているようです。


◆FFが提唱するシャシーコンセプト「VPA」
FFはEVならではの特性を活かし、拡張性のあるシャシープラットフォーム「VPA(Variable Platform Atchitecture)」をうち出しています。


このシャシー(車台)がFFのベーシックとなる部分。


車体の床の下には、オレンジ色で示されたバッテリーパックを内蔵。デザインの自由度が高いバッテリーならではのデザイン手法です。


このシャシー中央部分は前後に延長することが可能で、さまざまな車格の自動車に対応したり、以下の図が示すようにバッテリーパックを追加して容量アップを行うことも容易に対応が可能。


事故時の衝撃を吸収するクラッシャブルゾーンも、以下のように前後に大きく伸ばすことで幅広い車両に対応できるとしています。


このプラットフォームはモジュラー式となっており、ニーズに応じた仕様の変更が容易にできるよう配慮されているとのこと。


例えば、動力を生みだすモーターは前輪・後輪のどちらにも搭載が可能で、さらには前後輪に搭載して四輪駆動とすることも可能。これにより、前輪を駆動するファミリーカー、後輪を駆動するスポーツカー、四輪を駆動するSUVなど、幅広い用途に対応できそう。


さらに、プラットフォームの段階からインターネットへの接続と自動運転技術への対応が組み込まれています。


車両の全方位をモニタリングするセンサー類を最初から搭載することで、将来のモビリティを実現する車両として活用が可能であるとしています。


これらの特徴を活かし、さまざまな派生車種を作ることが可能。


前述のように、幅広いニーズに対応できるプラットフォームを持つことで、セダンの乗用車からSUV、スポーツカーまで応用が可能とのこと。


これが、FFの提唱するVPAというわけです。


とはいえ、これに似た思想は従来の自動車づくりでも取り入れられてきたもので、マツダが「CX-3」を「デミオ」と共通のプラットフォームをベースに開発していることなどがよく知られている部分。必ずしもFFが先駆者的存在と言いきれるものではなさそうですが、はたしてこのVPAというコンセプトがどれほどの可能性を秘めているのか、興味の湧いてくるところです。

(PDF)マツダ技報 新型デミオ・CX-3の軽量ボデーシェル開発


◆走行イメージシーンも登場
プレゼンの最後には、実際にFFZERO1が走行しているイメージシーンも流されました。

レーシンググローブをはめたドライバーの手には、スマートフォン。


妖しく光るFFZERO1


コーナーを高速で駆け抜けるFFZERO1。いかにも空気がうまく流れていきそうなテール部分の処理と、長く伸びるフィンが空力の良さを感じさせます……とレーシングカーのようなイメージですが、これは次世代EVのコンセプトカー。


ワインディングロードを攻めるFFZERO1。


路面の状況をスキャニングするようなシーンも。果たして実際に実現される機能かどうかは不明。


このように、FFZERO1は未来感あふれるコンセプトを盛り込んだコンセプトカーとなっていました。


最後に、三者が並んでプレゼンは終了しました。


CES 2016のプレゼンが終了後、FFのサイトではFFZERO1をフィーチャーしたページが公開されており、さらに多くの画像や詳細を見ることができるようになっています。

Glimpse Into the Future
http://www.faradayfuture.com/ces2016/#theconcept


プレゼンで登場したムービーを見ることも可能です。コレはFFZERO1のコンセプトを表現したイメージムービー。

FFZERO1 Concept - YouTube


そしてこちらがVPAの応用性を解説するムービー。

FF's Variable Platform Architecture - YouTube


さらには、FFZERO1に乗ったつもりで360度の風景を体験できる360度ムービーも公開されていました。

FFZERO1 Concept - 360 Degree Experience - YouTube


実にクルマ好きの心をくすぐるFFZERO1でしたが、その内容には若干の古さを感じさせる部分があったのも否定はできない部分です。この車両では、今後のモビリティの在り方が示されていたとは必ずしも言えず、このFFZERO1に続くコンセプトの登場を期待してみたいところ。プレゼンの中でFFは自らの利点を「行動の速さ」と語っているので、今後も矢継ぎ早に新たな提案が出てくることを望みたいものです。


・つづき
テスラのModel Sより速い市販EV「FF 91」をファラデーが発表 - GIGAZINE


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in ハードウェア,   乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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