3分の1が性教育を受ける前にセックス経験、性教育に失敗しているアメリカの実態とは?
By garlandcannon
アメリカでは10代の若者に対する性教育のカリキュラムをアメリカ疾病予防管理センター(CDC)が作成していますが、CDCの報告によると、CDCの推奨する性教育を全て取り入れているのは、アメリカにある高等学校のうち半数以下とのこと。正確な知識を得る前に性行為に及ぶことは、性行為感染症や、10代の妊娠率の上昇につながるわけですが、The Vergeが性教育に失敗しているアメリカの現状について報じています。
Results | School Health Profiles | Data | Adolescent and School Health | CDC
http://www.cdc.gov/healthyyouth/data/profiles/results.htm
Too many US schools are failing sex ed | The Verge
http://www.theverge.com/2015/12/9/9873388/sex-ed-us-schools-cdc-report
アメリカでは高等学校入学前の14歳~15歳の少年少女のうち、3分の1が少なくとも1度はセックスを経験していることがわかっています。アメリカの中等学校において全ての性教育カリキュラムを実施している学校は20%にとどまるため、若者らは正確な性に対する知識なしで性行為に及んでいることになります。アメリカの高校全体でCDCの推奨する性教育の範囲をカバーできているのは50%足らずであり、アリゾナ州では5校ある高校のうち1校しか性教育の全てを教えていなかったとのこと。
アメリカにおける性行為感染症の半数、およびHIV感染と診断されたうちの3分の1は、25歳以下の人々に起こっており、性教育の不足が10代の性感染症率に影響していると考えられます。また、10代の妊娠率は徐々に低下傾向にありますが、依然として先進国の中では高い割合を保っているとのこと。この事態に対処するべく、CDCは「コンドームの正しい使用方法」「性行為感染症が感染・拡散する仕組み」「HIVや妊娠に関する健康上の影響」などを含む性教育に関する16の項目を整備しました。
ある研究では、性教育が若者の性行為を助長することはないことを示しており、しばしば10代の若者の初体験を遅らせる効果も確認されているとのこと。CDC思春期学校保健部門の責任者であるステファニー・ザザ氏によると、「若い人たちは知識・技術がないと性的に活発的になりがちです」と述べており、性教育の不足によるリスクを警告しています。
By Robyn Gallant
CDCが推奨する性教育が学校機関で充分に取り扱われないのは、予算不足で充分な教師を抱えていないほか、性の健康のために禁欲プログラムを主張する国会議員がおり、社会的圧力によって性教育自体が非難されるケースが見受けられるためだそうです。ザザ氏はCDCが持つデータを公表することで、性教育が実際に健康に良い影響を与えることを明らかにするということを目的としており、「性病や妊娠がどのような影響を周囲に与えるのか、ということを正しく伝えることで、子どもの両親の性教育への理解を高めることができます」と述べています。
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