取材

ガリレオ・ニュートン・ファラデー・キュリー夫人など歴史的書物を集結させた「世界を変えた書物」展に行ってきました


1300年間も信じられてきた「天動説」は、コペルニクスの「地動説」によって克服されて、人類の科学技術が大きく進歩したように、「世界を変えた」と評価できる歴史的書物は人類の英知そのものです。そんな歴史的な科学技術書をほとんど初版で一挙に100冊以上も展示・公開する「世界を変えた書物」展が大阪で初開催されたので、歴史の一ページの数々を目に焼き付けてきました。

[世界を変えた書物]展 人類の知性を辿る旅|金沢工業大学
http://www.kanazawa-it.ac.jp/shomotu/

グランフロント大阪の北館に到着。


地下1階のナレッジキャピタルイベントラボで「世界を変えた書物」展が開催されています。世界を変えた書物展は、金沢工業大学が所蔵する科学技術書の中でも世界を変える科学上の重大発見、新技術挑戦の歴史を刻んだ書物100冊以上が無料で一般公開されています。


入り口はこんな感じ。「本の門」をくぐります。


展示されているのは科学書を中心とする「稀覯書(きこうしょ)」。稀覯書の条件は、極めて少数しか残っていない書物であること、内容が極めて貴重で最初に世に出たものなどで、展示されたほとんどの書物が初版本。版を重ねることで改変が加えられることがあるため、歴史的な学問の端緒を知るべくオリジナルにこだわって収集しているそうです。


最初に展示されているのは「知の壁」と呼ばれる、書棚がずらりと並んだスペース。


書棚に並ぶ書籍は、金沢工業大学の図書館で学生が閲覧しているものとのこと。


全部で5000冊近い書籍がならぶ知の壁はなかなか壮観です。


知の壁エリアでは、ガラスケースの中に建築学に関する書物が展示されています。これはヨーハン・ベルハルト・フィッシャー・フォン・エルラッハの「歴史的建築計画書」(1721年:初版)


ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージの「古代ローマの廃墟および建造物景観」(1748年:初版)


歴史的な建築書物の中にキュリー夫人の写真を発見。


なんとキュリー夫人の直筆サイン。


アインシュタインの自筆の研究ノートも展示されています。


これがアインシュタインのノート。


グラハム・ベルの書簡もあり。


よく書棚を見ると、ねじれた構造であることに気づきました。


こちらは上に行くほど手前に突き出た独特の造形。


一部が鏡になっており、さまざまな顔を見せています。


知の壁を構成する書棚は、すべて金沢工業大学で建築を学ぶ学生がデザインしたものだそうです。


知の壁を抜けた先にあるのは、広々とした空間の「知の森」。


書物が一つずつ、ガラスケースで展示されているようです。


知の森の入り口には、大阪展開催に際して特別出展された貴重書が12冊展示されていました。


これは「アポロ11号任務記録(月着陸交信記録)、月面への第一歩」(1969年:初版)


人類で初めて月面に降り立ったニール・アームストロングの交信記録が記されています。


ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックによる「核酸の分子的構造」(1953年:初版)


染色体を構成するDNAの分子構造が二重らせんであることを初めて提唱した論文です。


アレクサンダー・フレミングの「アオカビ培養基の抗菌作用」(1929年:初版)


史上初の抗生物質「ペニシリン」発見の記録です。


グレゴール・ヨハン・メンデルの「植物=雑種についての研究」(1866年:初版)


8年にも及ぶ研究によって、遺伝に関する「メンデルの法則」が確立されました。


チャールズ・ダーウィンの「種の起源」(1859年:初版)もあり。


種は常に環境に適合するように進化する、という「進化論」を提唱しました。


ヘルマン・フォン・ヘルムホルツの「力の保存について」(1847年:初版)。運動エネルギーの増加は位置エネルギーの減少に対応することを測定し、運動エネルギーは物体がなしえる仕事量に等しいと、「エネルギー保存則」を定式化しました。


セバスチャン・ル・プレストル・ド・ヴォーバンの「要塞都市の攻撃と防御」(1727年:初版)は、ルイ14世が最も信頼した軍事技術者がまとめた築城技術および攻城技術の集大成。


ブレーズ・パスカルの「液体の平衡および空気の質量についての論述」(1663年:初版)。「人間は考える葦である」で有名なパスカルは、物理学(大気学)でも高い業績を上げています。本書では、高い場所ほど大気圧が減少することを確認しました。


ジェヴェリウス・ヨハネスの「天文機械上巻」(1673年:初版)


古代と当代の観測機器を比較して、自らデザインした天文観測機器を図示した本書は、その後の天文観測法と観測機器製作に大きな影響を与えました。


ヴァザーリ・ジョルジョの「最も優れた画家、彫刻家、建築家の生涯」(1568年:増補改訂版)は、コジモ・ディ・メディチ1世に使えた宮廷建築家・画家による、ルネサンス最初期からルネサンス末期にわたる優れた画家、彫刻家、建築家の作品を批評しています。


ガイウス・プリニウス=セクンドウスの「博物誌三七書」(1513年:挿絵入初版)は、ローマ艦隊長官を務めた政治家・軍人のプリニウスが書いた書物の中で、唯一の未完作品とのこと。


アルプマサルの「占星術」(1488年:初版)は、占星術の理論的基礎付けを行った名著。占星術自体は科学ではないものの、実践のための天体観測が観測技術の向上とデータ収集に大いに寄与したことから選出されています。


知の森の中央には、シンボルモニュメントが展示されています。


書物で発表された科学技術の業績は、新たな業績を生み出すということに鑑みて、書物による「知の創造の連鎖」を表現しているとのこと。


学問の分野が色分けされて、時代を経てそれぞれの業績が関連付く様子を現しています。


アリストテレスに始まる知の系譜は、「ロケットの開発」に行き着くようです。


というわけで知の森の探索を開始。まずは緑色のテーマ「古代の知の継承」。


モニュメントでは、この部分のようです。


アリストテレスの「ギリシャ語による著作集」(1495年-1498年:初版)


古代ギリシャ最大の哲学者にして最大の自然科学者でもあったアリストテレスが、論理的推論を用いるという「科学的な考え方」を確立しました。


なお、「ギリシャ語による著作集」には写真の様なチェックマークがつけられています。これは、時代を大きく変えた特に重要な書物20冊につけられたマークです。


イシドールの「語源学」(1472年:初版)は、科学、技術用語を含む術語を解説した一種の百科全書。


エウクレイデスの「原論(幾何学原本)」(1482年:初版)


ギリシャ幾何学の全成果を一冊に体型としてまとめた本書は、中世・近世・現代でも教科書として用いられています。


アポロニウスの「全集」(1537年:初版)


ギリシャ最大の幾何学者の一人であるアポロニウスは、円錐を平面で切ったときにできる曲線を研究。楕円、放物線、双曲線を命名、定義しました。


アルキメデスの「四辺形、円の求積法」(1503年:初版)。これはアルキメデスの著作としては最初に印刷出版されたもので、積分法の原点というべき求積法や、円周率の確定に関する論文などが含まれています。


レギオモンタヌスの「アルマゲスト(偉大なるプトレマイオス)」(1496年:初版)


「天動説」を打ち出した、アレクサンドリアの天文学者プトレマイオスの著作を、レギオンタヌスがラテン語に抄訳したもの。


アルキメデスの「哲学及び幾何学の卓越せる全集」(1544年:初版)


アルキメデスは攻城機械や投石器などの兵器の実践結果を幾何学を用いて数学的に証明、力学・数学を著しく発展させました。


2つ目のテーマは「ニュートン宇宙」。プトレマイオスの天動説宇宙モデルは、コペルニクスの地動説、ケプラーの惑星運動の法則、ガリレオの月の観測、そして、ニュートンの万有引力の発見によって瓦解。あらゆる星や物体の運動が解析・予測可能なニュートン宇宙モデルに置き換わっていきます。


ニコラス・コペルニクスの「地球の回転について」(1543年:初版)


科学史上最大の功績の一つに数えられる「地動説」が本書で確立されました。


ヨハネス・ケプラーの「新天文学」(1609年:初版)


「惑星は太陽を中心とする楕円軌道を運行する」というケプラーの第一法則、「太陽と軌道上を移動する惑星を結ぶ直線は、同一時間に同一面積を描く」というケプラーの第二法則が、本書で発表されました。


ガリレオ・ガリレイの「星界の報告」(1610年:初版)


コペルニクスの天文学的仮説を可視的に初めて実証しセンセーショナルを起こした歴史的書物です。


同じくガリレオの「世界二大体系についての対話」(1632年:初版)。天動、地動両説の支持者の討論形式でつづられた本書は、天動説が勝つように書かれていても、論拠はすべて地動説を支持するもの。


天動説支持者のシンプリチオは地動説を理解できない愚鈍な人物として描かれています。


アイザック・ニュートンの「自然哲学の数学的原理(プリンキピア)」(1687年:初版)。新しい宇宙観を作り上げた歴史上最も優れた科学論文とも評価される歴史的な名著です。


史上空前の天才ニュートンは、プリンキピアの第一部では慣性の法則、運動の法則、作用・反作用の法則を提示。第二部では流体力学について、第三部では万有引力論を発表しています。


ニュートン宇宙に続く第3のエリアは「解析幾何」。ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツの「極大と極小に関する新しい方法」(1684年:初版)。ライプニッツは連続性と離散性という数学における2つの根本的領域で業績を挙げています。


ルネ・デカルトの「方法序説」(1637年:初版)は、幾何学において空間座標の概念を提示。


レオンハルト・オイラーの「無限解析入門」(1748年:初版)。数学の巨人・オイラーは解析学が関数論に帰着することを初めて宣言しました。


4番目のエリアは「重さ・力」


タルターリアの「新科学」(1537年:初版)。射程が伸びた大砲の照準を定めるために弾道学を研究し、砲弾が自重で下方に曲げられ放物線を描くことを発見。45度の仰角で最大射程を得ることも立証しています。


ガリレオの「新科学対話」(1638年:初版)では、「真空状態ではすべての物体は同じ速度で落下する」と推測。近似的な実験で確かめました。


クリスティアン・ホイヘンスの「振子時計」(1673年:初版)


振り子は円ではなくサイクロイドの軌跡を描くことを発見。慣性モーメントと重力及び遠心力に関する成果をまとめ、ニュートンの万有引力発見につながりました。


5つめの領域は「光」。アル=ハゼンの「光学宝典」(1572年:初版)。


太陽などの光源からの光が反射して目に像を結ぶという理論を提出。正確な眼球構造も示しています。


ホイヘンスの「光についての論考」(1690年:初版)


光をエーテル中の衝撃波または脈動が一つに重なったものであると考えました。


ニュートンの「光学:反射、屈折、光の伝播と色について」(1704年:初版)。光を粒子説に基づいて説明し、光の干渉や回折を振動説に基づいて解釈するなど、光の二重性格を提示しています。


トーマス・ヤングの「色と光の理論について」(1802年:初版)で、ヤングはホイヘンスの波動説が正しいと確信し、光は音と共通の性質を持つと考え、音の干渉現象と同様の現象が光にもあると推定しました。


同じくヤングの「自然哲学及び機械技術に関する講義」(1807年:初版)。カラーで出版されているのが特徴的。


眼の網膜には3つの知覚によって色彩が感じられることを突き詰め、三原色理論の基礎を与えました。


ロバート・フックの「微細物誌」(1665年:初版)


「フックの法則」で知られるフックは、17世紀最大の実験化学者であり、復合顕微鏡を考案して植物細胞を発見。「セル」と名付けました。


6番目のエリア「物質・元素」は、ヒエロニムス・ブルンシュヴィヒの「真正蒸留法」(1500年:初版)からスタート。


薬草からの蒸留抽出法を美しい挿絵を用いて詳述。薬剤製造の最も権威あるハンドブックとして16世紀まで重用されたとのこと。


ロバート・ボイルの「懐疑的化学者」(1661年:初版)。元素は実験的分析によってのみ得られる分割不可能な極微粒子であると主張し、アリストテレスの土、水、気、火の四元素説を否定しています。


アンドワヌ・ラボアジエの「化学要論」(1789年:初版)では、空気中のある種の気体が金属と結合すると考え「酸素」と命名。


化学理論を体系化した本書は、近代科学の最初の教科書となりました。


7つ目のエリアは「電気・磁気」。ジャン・テニエの「磁石の本性とその効果の価値について」(1562年:初版)。磁気の問題を中心に、液体の運動理論、砲術、潮汐理論、船舶設計など多岐にわたる問題を論じている本書は、実は重要部分は盗作によるもの。しかし、広く読まれた本書は英訳まで出て影響力を持ったとのこと。


シャルル・クーロンの「電気と磁気についての研究」(1785年-1789年:初版)。クーロンの法則で知られる電磁力に関する法則を発見。


アレッサンドロ・ボルタの「異種の導体の単なる接触により起こる電気」(1800年:初版)


塩水でしめらせた紙を銀と亜鉛の板ではさみ、電気が発生することを実験で示し、電流を取り出すことにも成功。世界初の蓄電池・ボルタ電池は、電気の理論・応用に革命をもたらしました。


ゲオルグ・ジーモン・オームの「数学的に取り扱ったガルヴァーニ電池」(1827年:初版)。電流の強さは針金の断面積に比例し、長さに反比例することを確かめ、E=RIという関係であるオームの法則を発見しました。


マイケル・ファラデーの「電気の実験的研究」(1839年:初版)


科学技術史上最大の実験化学者ファラデーは、電磁誘導を本書で発表。


後のモーターと発電機の礎を築きました。


トーマス・エジソンの「ダイナモ発電機・特許説明書(特許番号No.297,587)」(1884年4月29日)は、エジソンがダイナモの原理を用いて発明した発電機について、効率を高める発明に関する特許申請書類の説明書。


8つめのエリアは「無線・電話」


グラハム・ベルの「電話の研究」(1877年:初版)。ベルは、音声の変化を電流の変化に変換することで、光の速度で会話を伝達できるという着想から「電話」を発明しました。ちなみに最初に伝達されたメッセージは、ベルが助手を呼ぶ「ワトスン君、ちょっときてくれ」だったそうです。


ハインリヒ・ルドルフ・ヘルツの「非常に速い電気的振動について」(1887年:初版)。マクスウェルが理論的に予想した電磁波の存在と、マクスウェルが明らかにしなかったその空中伝播を実験的に実証しました。


9つめのエリアは「飛行」


ラナ・テルツィの「偉大な技術に基づく新発明」(1670年:初版)


薄い銅製の中空の球を作り、ポンプで中の空気を抜けば大気よりも軽くなり空中へ浮かぶと考えました。球にかかる大気圧を考慮していなかったものの、後に真空ポンプの考案、真空の実現、気球の発明へとつながっています。


ダニエル・ベルヌーイの「流体力学」(1738年:初版)。世界初の流体力学書で、ベルヌーイが命名したハイドロダイナミクス理論は、航空機の基礎理論となったとのこと。


ウィルバー・ライトの「航空実験」(1901年:初版)


世界初の動力飛行に成功したライト兄弟による、動力飛行用のグライダー飛行実験の記録書です。


ロバート・H・ゴダードの「液体燃料推進ロケットの開発」(1936年:初版)は、液体燃料ロケットを開発、1926年に打ち上げに成功した報告書で、液体燃料推進は現代の宇宙ロケットの主流となっています。


10番目のテーマは「電磁場」


ジェイムズ・クラーク・マクスウェルの「電磁場の力学的理論」(1865年:初版)。光は電磁波の一種であると結論づけました。


ヘンドリック・ローレンツの「マクスウェルの電磁気論とその運動体への応用」(1893年:初版)では、電磁現象の唯一の媒質は独立な非物質的なエーテルであるとしましたが、物質から独立した実体としての電磁場の概念が確立されました。


11番目の分野は「原子・核」


ヴィルヘルム・コンラート・レントゲンの「新種の輻射線について」(1895年-1896年:初版)。陰極線の実験をしていたレントゲンは、2mも離れたところに置いてあったシアノ白金酸バリウム紙が蛍光しているのを発見。


本書は発見の第一報と第二報で、蛍光を生じさせた放射線を未知なる物質という意味で「X線」と名付け、最初のレントゲン写真を公表しました。


アントワヌ・アンリ・ベクレルの「物質の新しい性質の研究」(1903年:初版)。レントゲンのX線発見に刺激を受けたベクレルは、ウランから放射線が自然放出されることを発見しています。


ピエール・キュリー、マリー・スクロドフスカ・キュリーの「ピッチブレンドの中に含まれている新種の放射性物質について」(1898年:初版)。キュリー夫妻はピッチブレンド(瀝青ウラン鉱)に含まれる物質が、大量の放射線を出していることを発見。新しい元素ポロニウムの発見であり、「放射能(radio-active)」という語を初めて
用いました。


マックス・プランクの「正規スペクトルのエネルギー分散則の理論」(1900年:初版)。黒点輻射の問題を研究していたプランクは、エネルギーの連続性の仮説を否定しエネルギーを不連続な分離量として扱う新しい式を提出。輻射エネルギーの最小量を「量子」と呼び量子論を確立しました。


マリー・スクロドフスカ・キュリーの「放射性物質の研究」(1903年:初版)。ポロニウムの分離に成功したキュリー夫妻はさらに研究を続け、ウランの100万倍の放射能を持つ新元素を発見。ラジウムと名付けました。


長岡半太郎の「線および帯スペクトルの放射能現象を示す粒子(電子)系の運動」(1904年:初版)。ジョゼフ・ジョン・トムソンが原子構造として「葡萄パンモデル」を提案したのに対して、長岡は正電荷を持つ原子核の周りを電子が円を描いて周回する「土星型モデル」を発表。後に、アーネスト・ラザフォードのα線散乱実験で正しさが確認されました。


エルヴィン・シュレディンガーの「波動力学についての四講」(1928年:初版)。ド・ブロイの物質波から出発した電子波を研究したシュレディンガーは、波が従う波動力学を確立。プランクが創始した量子論に確たる数学的裏付けを与えました。


ロバート・A・ミリカンの「電子、陽子、光子、中性子および宇宙線」(1935年:初版)


ミリカン最大の業績である電子の電荷の測定は、イオン化させた空気中で油滴を落下させ速度を計測するという驚くほどシンプルな実験で成し遂げられました。


湯川秀樹の「素粒子の相互作用について」(1935年:初版)。原子核の中の陽子と中性子を結びつけている核力をなす「中間子」の存在を予言。湯川はこの功績によって1949年に日本人初のノーベル賞を受賞しています。


合衆国戦略爆撃調査団の「広島、長崎に対する原子爆弾の効果」(1946年:初版)


広島、長崎に落とされた原爆の実験効果は、開発者、軍の作戦担当にも予測不可能なもので、アメリカは日本の占領発効直後に調査団を送り込み、被害状況、爆発の状況などを詳細に調査しています。


最後の分野は「非ユークリッド幾何学」。


ニコライ・イヴァノーヴィッチ・ロバチェフスキーの「幾何学の起源について」(1829年-1830年:初版)。平行線は交わらないという平行線の公理にユークリッド幾何学の不完全さが潜むとして、「平行線は交わる」という公理から出発する新しい幾何学「非ユークリッド幾何学」の可能性を確認し、その存在を確立しました。


なお、これらの本は極めて稀覯で、知られている限り世界で2セットしか確認されていないとのこと。


ゲオルグ・リーマンの「幾何学の基礎にある仮説について」(1867年:初版)。ロバチェフスキーの非ユークリッド幾何学は凹面上の幾何学だったのに対して、リーマンは凸面上の非ユークリッド幾何学を樹立しました。


圧巻の稀覯本の後に、金沢工業大学の学生によるインスタレーションが展示されていました。これは「降り注ぐ文字」という作品。


「蝶の飛翔」


「集積し、反復する記憶」


金沢工業大学が誇る稀覯本の展示は、金沢、名古屋に続いて大阪で3回目。科学を作り出してきた歴史的な書物の数々に圧倒されることは確実です。大阪で開催されている「世界を変えた書物」展は、明日、2015年11月23日(月)までグランフロント大阪北館で無料公開されています。

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in 取材,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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