取材

「20円のキットカット」もあった世界の多国籍企業によるインドへの熱い眼差し


コカ・コーラの瓶ジュースは約25円、レイズのポテトチップスは約10円、メントスのチューイングキャンディは約20円……中国に並ぶ約12億5000万人という人口を抱えたインドは、世界規模で活動を行う多国籍企業にとっても、放ってはおけない市場の一つとなっています。一人あたりの所得が少ないことから、それに準じた価格設定。何かと批判の対象となる多国籍企業ですが、金儲けという理由であっても、インドの発展に貢献しているようでした。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。中国にいたころは気付かなかったのですが、旅が長くなるに連れて、同じものが別の国でも販売されているので、世界のグローバルブランドを覚えていきます。そうして、旅をしたインドでも、他の国と同様に、世界のグローバルブランドがしのぎを削っていました。

◆食品・飲料
・ネスレのキットカット:10ルピー(約20円)
日本でもお馴染みの「キットカット(Kit Kat)」も、インドだとこのサイズからバラ売りされています。世界標準サイズである37.3gの4切れは25ルピー(約50円)、27.5gの3切れは20ルピー(約40円)、写真の12.8gの2切れで10ルピー(約20円)という値段となっていました。


・キャドバリーのチョコレート:10ルピー(約20円)
オーストラリア、南アフリカ、ケニアと、旧イギリス植民地に強い「キャドバリー (Cadbury)」のチョコレートはインドにもありました。写真のサイズだと14g。小さいながらも口に入れると溶ける本物のチョコレートです。キャドバリーはイギリスで生まれた企業ですが、2010年にアメリカの「モンデリーズ・インターナショナル(旧クラフトフーズ)」が買収しています。


・スニッカーズのチョコバー:18ルピー(約36円)
日本でも「おなかがすいたら」というキャッチコピーで、CMが流されていた「スニッカーズ(SNICKERS)」。日本にもある51gのサイズは、国によって値段が変わるので、コカ・コーラのように物価のものさしとして使えます。インドでは標準サイズが50gで34ルピー(68円)という値段。長さは同じながらも幅を狭くした、写真のような25gのパッケージは、18ルピー(約36円)で販売されていました。


・ロッテのチョコパイ:25ルピー(約50円)
韓国では国民的おやつとして人気を博するチョコパイ。北朝鮮でも熱狂的な支持を得ているようで、闇市場でも取引されるとか。こうした事情もあって、ロッテやオリオンといった韓国資本の菓子メーカーは、チョコパイの海外展開にも積極的です。チョコパイといったら、1袋に6個ほど入った大きなパッケージを思い浮かべるのですが、インドにあったのは可愛らしい小さな2つ入りの箱でした。


・オレオのビスケット:10ルピー(約20円)
「きのこの山」と「たけのこの里」のように、クッキー派とクリーム派による多くの議論を呼びながらも、世界中の人が愛してやまないクッキーが「オレオ(Oreo)」です。この青いパッケージの商品を世界中で見てきました。インドのパッケージは珍しく、左上にキャドバリーのロゴが刻まれています。このオレオも、キャドバリーもアメリカのモンデリーズ・インターナショナルが保有するブランドとなっています。


・ウォールズのアイスキャンディ:10ルピー(約20円)
「ウォールズ(Wall's)」はオランダとイギリスに本社を置くユニリーバのブランドで、海外のアイスクリームではネスレと共によく見かけます。赤の背景に白い線で描かれたハートマークは知っている方も多いでしょう。ライオンのキャラクターが描かれたお手頃な値段のPaddle Popや、チョコレートがコーティングされた高級路線のMagnum、と様々なアイスクリームを提供しています。


・メントスのチューインガム:10ルピー(約20円)
世界で一番有名なソフトキャンディである「メントス(MENTOS)」はオランダとイタリアに本社を置くペルフェティ・ファン・メレが手がけています。インドだと10ルピー(約20円)と、世界に類をみない安さとなっていますが、肝心の中身は変わりません。湿気対策なのか、ビニールのパッケージというのも珍しかったです。


・オービットのガム:5ルピー(約10円)
「オービット(Orbit)」は、スニッカーズの販売元であるマース社が保有しているブランドで、海外ではクロレッツと並んでよく見かけるガムです。先日までいた旧ソ連圏では、割りと強いみたいで、約50円くらいで販売されていました。これが、インドだと5ルピー(約10円)からで手に入ります。ただし、中身は5粒しかありません。


・コカ・コーラの炭酸飲料:5ルピー(約10円)
ペットボトルでも、瓶でもなく、インドで最も安く炭酸ジュースを飲もうとしたら、ドリンクディスペンサーで紙カップに注いでもらうことでした。たいてい、ノーブランドなのですが、街を歩いていると「コカ・コーラ(Coca-Cola)」のデザインにあわせた真っ赤な移動販売車を発見。写真の小さなカップで5ルピー(約10円)でした。瓶だと200mlで12ルピー(約24円)前後、ペットボトルだと500mlで35ルピー(約70円)だったりします。


・ロイヤルクラウン・コーラ:15ルピー(約30円)
「ロイヤルクラウン・コーラ(RC Cola)」は、コカ・コーラ、ペプシ・コーラに次ぐ、アメリカ第3のコーラとして海外でもたまに置いてあります。コーク、ペプシに及ばないブランドバリューは、値段を安くすることで補っていました。


・レイズのポテトチップス:5ルピー(約10円)
「レイズ(Lay's)」のポテトチップスは、チーズスナックのチートス、コーンスナックのドリトスとともに、フリトレーが世界各地で販売しています。これまでも、タイの5バーツ(約20円)、ペルーの0.5ソル(約20円)、エジプトの1ポンド(約15円)と、ミニサイズの販売はあったのですが、5ルピー(約10円)は私の知る限り最安。外れないことを知っているので、ついつい手にとってしまいます。


・クノールのインスタントスープ:10ルピー(約20円)
「クノール(Knorr)」は日本だと味の素が販売していますが、こちらもユニリーバが保有するブランドの一つ。お湯を沸かして、スープの素を溶かすだけで完成。先進国でも一箱に何袋か入った商品だったら、単価は同じくらいかもしれませんが、インドではバラ売りが基本。


・日清のインスタント麺:10ルピー(約20円)
インスタント麺の産みの親である日清食品も、巨大なインド市場に参入していますが、世界最大の食品会社であるネスレが先行していたので、きびしいシェア争いとなっているようです。マサラ味というのがインドらしくていいですね。


◆ファストフード
・マクドナルドのハンバーガー:25ルピー(約50円)
マクドナルドの根本を揺るがす牛肉の否定。インドの多くの人が進行するヒンドゥー教では牛は聖なる動物となっています。加えて、イスラム教徒も多いので豚肉も駄目。それどころか、一切の肉を断つベジタリアンの人もいます。そんな事情もあってインドのマクドナルドは、世界でも独特のメニューとなっていました。先進国ではファストフードに位置するマクドナルドも、途上国ではちょっとしたレストラン。清掃も行き届き、クーラーも効いた店内は、インドだとオアシスのような場所です。


・サブウェイのサンドイッチ:99ルピー(約200円)
マクドナルドを抜いて、世界最大のファストフードチェーンとなったサブウェイは、インドにも店舗を構えています。マクドナルドと同様に、ベジタリアンとノンベジタリアンで分かれるメニュー。注文を決めたらパンを選んで、野菜を加えて、ドレッシングをかけるという一連の作業は、インドでも同じ。99ルピーはキャンペーンだったので、レギュラー商品はもうちょっと値段がします。


◆一般消費財
・ライフブイの石鹸:10ルピー(約20円)
世界中で「ラックス(Lux)」「ダヴ(Dove)」といった石鹸を販売するユニリーバは、殺菌や消毒といった効果のある「ライフブイ(lifebuoy)」というブランドも手がけています。ユニリーバによる商品プロモーションは、トイレ後や食前の手洗い普及活動によって、インドの衛生環境を変えました。海外では不衛生な場所も多いので、私も好んでこの石鹸を使っています。


・タイドの洗濯洗剤:1ルピー(約2円)
日本ではアリエールを販売している「プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)」ですが、インドだと「タイド(Tide)」というブランドの洗濯洗剤を販売しています。このような一回使い切りの少量パックが、商店の軒先にぶら下がっていました。嘘みたいに安い値段ですが、しっかりと衣類の汚れを落としてくれます。


・コルゲートの歯ブラシ:13ルピー(約26円)
コルゲート(Colgate)」の歯ブラシは、ライオン、花王、サンスターと国内メーカーが強い日本では、お目にかかることないのですが、海外では圧倒的なブランド力で、商品を展開しています。いろんなタイプがあったのですが、一番廉価な歯ブラシはこちらでした。


世界と同じものが、インドで手に入る。世界規模で販売されている商品は、それだけ知恵や工夫が詰まっている訳で、そこから学ぶことも多いでしょう。それは私たちだって同じで、日本には「アイフォーン(iPhone)」が溢れています。

インターネットですごい反響となったウルグアイの前大統領のスピーチに「ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てばこの惑星はどうなるのでしょうか。」といった一文がありました。だったら、インド人は車に乗るべきではない?いや、それはあんまりでしょう。ドイツ人もインド人も全ての人が手にしても、地球環境に負荷をかけない車を作ればいいだけのことです。


資本主義を否定するだけでは、世界は幸せになりません。理解するのも大切ではないでしょうか。このようなことを伝えたかったので、今回はインドに展開する多国籍企業のグローバルブランドを取り上げてみました。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
)

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in 取材,   , Posted by logc_nt

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