世界各地で確固たるブランドを築き上げるSamsungの広告戦略
スマートフォン、薄型液晶テレビなどで世界的なシェアを握る韓国の「サムスン(Samsung)」。日本企業と製品が競合することから何かと日本でもニュースとなりますが、なぜ現地の人はSamsungを手にするのでしょう。海外を旅しているとSamsungのブランドネームの強さを肌に感じます。
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。海外を回っていると、いたる所でSamsungの広告を見かけます。日本のどのメーカーより、圧倒的な存在感を放っていました。
◆世界の繁華街で
東京なら新宿・池袋・渋谷、大阪なら梅田・難波、私の地元の福岡なら天神・博多と大勢の人が集まる繁華街は絶好の広告スポット。道頓堀にあるグリコの看板を思い浮かべるとイメージが掴めます。大勢の人に見てもらわないと、広告の目的は果たせません。それは海外も同様で、多くの人が集まる場所には何かしら広告が掲げられています。日本企業もちらほらと見かけるのですが、Samsungの広告量には敵う気がしません。コカ・コーラと同じくらい、Samsungのロゴは海外で目立っていました。
東欧、ブルガリアの首都ソフィア。
西アフリカ、セネガルの首都ダカール。
南アフリカ、ナミビアの首都ウイントフック。
南米、ボリビアの最大都市ラパス。
中東、エジプトの首都カイロ。
◆特にスマートフォン
こうしたSamsungの広告活動で特に力が入れられてたのは、スマートフォンやタブレット端末といった最新の電子機器でした。こうした成長著しい分野に経営資源を集中投資することで、Samsungは世界のトップ企業に上り詰めました。
ドイツの首都ベルリンでみかけたスタイリッシュなスマートフォンの広告。
セネガルの首都ダカールにあった看板はフランス語。
ガーナの首都アクラでも、GALAXYシリーズのスマートフォンを宣伝。
ケニアの首都ナイロビのタブレット端末の広告。
ザンビアの首都ルサカの幹線道路にも。アフリカでの活動にも力を入れていました。
エクアドルの首都キトのビルに。
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスにあったスマートフォンとスマートウォッチの広告。
タイの首都バンコク一番の繁華街サイアム・スクエアで目を惹く広告。伊勢丹も店舗を構える華やかな場所です。
ミャンマーの大都市ヤンゴンにあるマレーシア資本の百貨店「Parkson」の近くにも、バンコクと同じ広告が掲げられていました。
アメリカを象徴するべき場所でもあるニューヨークの「タイムズ・スクウェア」でも輝いています。
日本でも新宿駅にスマートフォンの広告を出してた時期がありました。新宿駅は乗降客数が世界一多い駅としてギネス世界記録にも認定されています。
◆スマートフォンに限らず
ジンバブエにあった冷蔵庫の広告。「No power No Problem」と停電が多発する電気事情を踏まえたキャッチコピーに驚き。
ザンビアの首都ルサカに向かう幹線道路に掲げられた液晶テレビの広告。
メキシコで見かけた広告には洗濯機、冷蔵庫、掃除機といった白物家電が揃っていました。
◆国際空港では
大勢の人が利用する国際空港もグローバル企業なら抑えておきたい広告スポット。昨年辺りから未訪問地域を周るのに飛行機を多用しているのですが、かなりの確率でSamsungのロゴが目に留まります。もし、海外に出かける機会があれば探してみてください。Samsungの勢いを実感できるでしょう。
中米のパナマの首都パナマ・シティから飛び立った時のチェックインカウンター。
南米のコロンビアの首都ボゴダに降り立った時にも、Samsung製の液晶大画面が目に飛び込んできました。
南米一の大都市ブラジルのサンパウロ「グアルーリョス国際空港」にもSamsungのロゴ。フライトスケジュールを確認するので、否応なしに目に入ります。
チュニジアの空港でターンテーブルから預入荷物をピックアップするときにも。
レバノンの首都ベイルートの空港にて。
キプロスの空港は、新商品の展示会のようでした。
イギリスの首都ロンドンのヒースロー空港。2014年にドバイ国際空港に抜かれたものの、それまでは、国際線の旅客数が世界一の空港です。
インドのムンバイに降り立った際にも、Samsungの広告が出迎えてくれました。
◆ドバイにおいても
原油や天然ガスといった豊富な天然資源を基に、著しい経済発展を続けるアラブ首長国連邦のドバイ。世界一の高層ビル「ブルジュ・ハリファ」や人工島のリゾート「パーム・アイランド」と、最近は観光地としても人気。アジア、中東、ヨーロッパ、アフリカ各地を繋ぐエミレーツ航空がドバイに人を集めます。そんなドバイのショッピングスポットといえば、世界最大級の水族館を擁する「ドバイ・モール」に、屋内スキー場や屋内スケートリンクを擁する「モール・オブ・ジ・エミレーツ」が有名。ここでもSamsungのブランド戦略が垣間見れました。
ドバイ・モールにある屋内スケートリンクでは、Samsung製の巨大なディスプレイが、強い存在感を放っています。
屋内スケートリンクの中にもSamsungのロゴ。
モール・オブ・ジ・エミレーツで、イスラム教のお祈りアザーンを時間を知らせるSamsung製の巨大ディスプレイ。
モール内にあるSamsungの直営店。
製品ディスプレイも洗練されています。
モール内を歩いていると、曲面液晶テレビのプロモーションをやっていました。一昔前なら3D液晶テレビ、最近だと4K液晶テレビでしょうか。最先端の技術をアピールすることで、ブランドイメージの向上に努めています。
◆海外で人気
そうしたことから、海外においてSamsung製品は人気を博しています。現地の人が使っている液晶テレビやスマートフォンはSamsung製であることが多く、日本メーカーの製品を見かけるのは稀。唯一ソニーがスマートフォンで頑張っていますが、その差は歴然としています。
モロッコの家電量販店の入口。
メキシコの首都メキシコシティの家電街にあったパソコンの広告。
ボリビアのラパスの家電街で、ソニーと肩を並べるSamsung。
インドのスマートフォンのパッケージは、インド人好みにアレンジされていました。
こうした世界各地におけるSamsungの活躍は、日本を代表する電機大手8社(日立製作所、東芝、三菱電機、パナソニック、ソニー、シャープ、NEC、富士通)が敵うことない株式市場における時価総額や、世界最大のブランディング企業Interbrandが、毎年行っている「Best Global Brands」のランキングといった数字からも見て分かります。
サンヨーはパナソニックに吸収され、シャープも巨額な赤字から経営再建と、かつては栄華を極めた「日の丸家電」も厳しい状況に追い込まれました。だからこそ、こうしたSamsungのブランド戦略からも、考えるべきことがあると思います。人口減によって国内市場は小さくなりますが、国外に目を向ければ巨大な市場が、拡大し続けているのですから。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak)
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