最高の革靴を手作りする全工程がわずか3分半でわかる「The Art of Shoe Making」
1840年に創業し、「世界一の革靴店」ともいわれるイギリスの老舗のビスポーク革靴店が「Foster & Son」です。客の注文に合わせて1つ1つ本格的な英国革靴を手作りで仕上げるスタイルは世界中にファンがいるほど。そんなFoster & Sonのロンドン店で働く日本人の革靴職人・松田笑子さんが木型作りから革靴を仕上げるまでの芸術的な職人技を、わずか3分半の映像にした「The Art of Shoe Making」がYouTube上で公開されています。
The Art of Shoe Making - YouTube
このムービーにはナレーションや字幕はなく、音楽とともに淡々と革靴が作られる工程が映し出されていきます。まず、革靴作りは「ラスト」と呼ばれる木型を作るところから始まります。
ラストのサイズによって大きく履き心地が異なるため、採寸した注文者の足のサイズにぴったりと合うように木型をガリガリ削っていきます。
やすりで微調整したらラスト作りの工程が終了。
削り出したラストに合わせて革を切り出すためのパターンを紙で作って行きます。
紙の型に合わせて革の裁断が行われます。裁断機などを使うことはなく、職人のスキルとナイフ1本で見事に革がカットされていく様子は思わず目を見張る光景。
大量生産は行っておらず、1足ずつ職人がミシンで革を縫い合わせています。
革靴の足の甲部分のパーツである「甲革」をミシン裁縫しているところを間近で見るとこんな感じ。
また、革靴には複数のパーツがあるため、革が重なる部分はデコボコにならないように裏側を薄く削るなどの処理が行われます。
革靴ではおなじみの「穴飾り」も、なんと1カ所ずつ手作業で空けられているようです。
飾りをつけた革をミシンで縫い合わせると、ようやく革靴らしい形が見えてきました。
このとき、立体的な革靴をミシンで縫い合わせられるように、特殊な台付きのものが使用されているのが分かります。
次はラストに白い粉をふりかけます。これは後からラストを抜きやすくするためとのこと。
先ほど縫い合わせた革をラストに履かせて貼り合わせます。これは「釣り込み」と呼ばれる工程。
革の端っこはラストにクギ止め。この革の張り具合にも職人の腕前が現われるようです。
シワが入っている部分はハンマーで「叩き」が行われ、美しい曲線が出るように調整。
続いて、中敷と靴底の中間に入る底材の「中底」が手縫いで付けられていきます。
中底を縫いつつ、仮止めのクギを撤去。
靴底ももちろん手縫いで仕上げられ……
あの革靴の底が、1針1針手作業でしっかり結びつけられているのがわかります。
かかとはこの段階で取り付けられ……
クギでしっかりと固定。
最初はこのように側面がいびつですが、ナイフでていねいに切り取られていきます。
さらにかかとの側面をコテでトンテンたたいて……
やすりがけで滑らかに仕上がりました。
また、側面をコテでスリスリとこすっています。これは熱したコテにろうをつける「コテかけ」という工程で、革の繊維を引き締めて固めるほか、ろうを均一にかけることで艶や防水性を与えることができるとのこと。
これで全工程は終了。最後に靴磨きでキレイに仕立てれば……
世界最高峰の職人による、オーダーメイドの美しい英国靴が出来上がった、というわけです。
なお、Foster & Sonの革靴はオーダーメイドのため価格は上下しますが、以下の靴であれば税込445ポンド(約8万5800円)です。
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