伝統的なフラメンコギターを作る女性ギター職人の技術をおさめたムービー

スペイン南部のアンダルシア地方に伝わる「フラメンコ」は歌と踊りによる芸能ですが、その演奏には「フラメンコギター」が欠かせません。フラメンコギターは通常のギターよりも軽く、激しい踊りに合うように、音のレスポンスが早く、余韻が短くなるように設計されています。このフラメンコギターを作るスペイン史上初の女性のギター職人に密着したムービーを、Bloombergが公開しています。
How a Flamenco Guitar Is Made - YouTube
「私はいつも魂を込めてギターを作っています」と語るのは、スペイン・マドリードでギターの職人として働くマリア・コンデさん。

ギターに使われる木材は、30年以上の時間をかけて乾燥されたもので、そのほとんどがマリアさんの祖父が仕入れたものだとのこと。

まずはネックを削り出します。

続いてギターのボディを型から切り出します。

そして丁寧にヤスリがけを行い……

ギターの音を響かせるサウンドホールの加工を行います。サウンドホールの周りに施される飾り付けはロゼット(薔薇)と呼ばれます。

デザインの通りに組んだ木材。ロゼットの制作はギターの製作工程の中でも特に難しいものだとマリアさんは語ります。

均等に切り落としたロゼットを……

サウンドホールの周りに並べて接着し、固定します。

表面を何度もヤスリがけして整えたら、成形したネックに張り付けて固定します。

パーツの固定はギターの質を大きく左右するため、特製のクリップで適度な圧力をかけるとのこと。

次に、ボディの側面に取りかかります。数時間水につけて柔らかくした杉の板を、アイロンに押しつけながらゆっくりと曲げていきます。

時間をかけて一枚の板をギターの形に整えていきます。

側面の板をギターの形に整えたら、マリアさんが働く工房「Felipe Conde」のイニシャルである「F」の焼き印を入れます。


マリアさんの働く工房は、マリアさんの祖父の叔父が1915年に立ち上げた歴史あるギター工房です。

2018年現在は、マリアさんの父親とマリアさん、そして二人の職人で工房を回しています。

続いて、歴史ある焼き印を入れた側面をボディに固定します。

この接着が音を左右するため、しっかり行わなければなりません。

ボディの接着ができたら、フィンガーボードを張り付けます。素材はアフリカ産の黒檀(こくたん)です。

そして、音程を決定するフレットを差し込んでいきます。このフレットは1mmでもずれてしまうと音程がめちゃくちゃになってしまう上に、一度差し込んでしまうと調整ができないため、慎重な作業が求められます。

続いて、ギター全体をニスで磨いて……

工房と制作者を示すラベルをボディの内側に貼ります。

弦を巻くためのペグや……

弦を支えるナットを張り付けたらギターはほぼ完成。

最後に、マリアさん自らギターの調整を行います。弦の張力を調整するために1日かかることもあるとのこと。「どれだけ調整しても完璧とはいえません。なぜならギターの完成度は演奏者に依存するからです」

Felipe Condeで作られる、マリアさん手作りの伝統的なフラメンコギターは、8100ドル(約91万円)~1万1000ドル(約120万円)という価格帯。

「フラメンコ音楽というのは人の心から奏でられるもので、私にとって故郷そのものといえます」とマリアさんは語りました。

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in Posted by log1i_yk
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