ハードウェア

ロシア製クアッドコアCPU「Elbrus-4C」が一般向けに販売を開始


コンピューターの頭脳であるCPUといえばIntelやAMDといったメーカーがよく知られていますが、ロシアではMSCT(Moscow Center for SPARC Technologies)という企業がクアッドコアのCPUを開発し、個人PCとサーバ用途向けに販売を開始しました。

Russia now selling home-grown CPUs with Transmeta-like x86 emulation | Ars Technica UK
http://arstechnica.co.uk/gadgets/2015/05/russia-now-selling-home-grown-cpus-with-transmeta-like-x86-emulation/


MSCTによる「Elbrus-4C」と呼ばれる独自開発のCPUは、IntelやAMDとは異なるアーキテクチャを持ち、その中身はトランスメタが開発したCrusoeと似たものとのこと。Elbrus-4Cはx86互換プロセッサで、65nmプロセスのクアッドコアを搭載。さらにクロック周波数はなんと800MHzと、あらゆるスペックがすっかり過去のレベルの製品となっている模様です。演算能力も25 GFLOPSと、他社の最新型クアッドコアプロセッサに比べるとおよそ半分の性能となっていますが、搭載トランジスタ数は約9億8600万個と、なぜかこちらはあまり遜色のないレベルになっているのが不思議なところ。このため、スペック的にはIntelやAMDの数年後を追いかけるElbrus-4Cですが、直接比較することが難しいプロセッサになっているようです。


以下のグラフは過去のCPUの性能を比較したもの。ATOM D510(2010年・黄色)やPentium M(2008年ごろ・青色)と比較してもMSCTのElbrus(2011年・赤色)やR1000(2010年・緑色)は遜色のない性能を示しているように見えますが、比較対象が古すぎるため、あくまで「どの時代のプロセッサと比類するものか」を知る程度にとどめておいたほうが良さそうです。


さらにMSCTは、同社のCPUを使った「Elbrus ARM-401」というPCも販売しているとのこと。「Elbrus」と呼ばれるLinuxディストリビューションをインストールしており、Windows XPなどx86系プロセッサをサポートするOSに互換性があるそうです。


なお、ロシアと中国では、IntelやAMDのようなアメリカのテクノロジーに依存しないCPUの開発が行われています。中国で開発された、2015年4月現時点で世界最速の称号を持つスーパーコンピューター「天河二号」はIntelのCPUを使っていますが、一方では中国科学院が開発したCPU「龍芯(Loongson)」を使ったスーパーコンピューターの開発が進められています。ロシアでもすでにスーパーコンピュータの開発を進め、2020年までに完成させる予定。ただし、Elbrusを使用するかは判明していません。

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in ソフトウェア,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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