取材

くまモン電車が走る熊本電鉄に乗ったら熊本中心部に一歩届かなかった


延伸計画がある熊本市電に乗るために熊本に行ったついでに、熊本電気鉄道にも乗ってみることにしました。2015年に出された市電の延伸計画には直接関係しませんが、市電と熊本電鉄とは上熊本駅で連絡しているほか、熊本電鉄藤崎宮前駅から市電の路線までを結ぶ案が過去に出たことがあるという繋がりがあります。

まずはJRで上熊本駅へ移動。まだ地平の仮設線だったときで、3月14日(土)以降は右上側にある高架上を走っています。


上熊本の駅前にはコインパーキングがあって……


その隣がバス乗り場。


バス乗り場の向こう側にあるのが市電の上熊本駅前電停。


2線ある立派な電停です。


一方、JRの駅を出て左手側には熊本電鉄の上熊本駅があります。


JRの駅舎が真新しいだけに、落差が……。


左から市電上熊本駅前電停、JR上熊本駅、熊本電鉄上熊本駅。バスターミナルを挟んでわずか100mほどの距離なので、1つの駅舎にまとめてしまえば乗り換えもしやすいのですが、今回の上熊本駅のリニューアルでも特に移動はしませんでした。


この結節点は、今回の市長の市電延伸案には含まれていませんが、2002年に九州運輸局が提示した熊本市電延伸案の中に「上熊本駅結節機能強化ケース」として挙げられています。

熊本電鉄は熊本市内と合志市にある御代志駅を結んでいますが、熊本市内側のターミナルは熊本城の北東にある藤崎宮前駅でJRや市電とは繋がっていません。一方、上熊本駅ではJR・市電と繋がっていますが、北熊本までの折り返し運転をしているので、市電と相互乗り入れをしてもいいのではないかと思えるほどです。しかし、JRと市電は軌間が1067mm(狭軌)、熊本電鉄は1435mm(標準軌)なので、残念ながら乗り入れはできません。なればこそ、パッと降りて乗り換えられれば便利な気がするのですが……。

上熊本駅のホーム端から次の韓々坂駅方面を臨む。


2両編成ですがワンマン運転なので、運転席から遠い車両のドアは締め切りです。


車両は南海電鉄からやってきたもので、ワンマン運転用に改造済み。


揺られること9分で北熊本駅に到着。


駅舎はかなり新しめ。


藤崎宮前行きのホームにくまモン電車が入線してきました。


藤崎宮前行き、御代志行き、上熊本行きが並びました。基本的に電車は30分に1本で、こうして北熊本ですべての方向に乗り換えられるように組まれています。


駅のベンチに腰掛けるくまモン


くまモン電車を見送る形になったので次の電車を待ちます。ホームからは車両基地が見えていて、3月8日(日)に引退した5000系の5102Aや、5000系と入れ替わって運用に組み込まれる元東京メトロの01系、引退済みのモハ71形などが休んでいました。


2016年3月末には引退予定の5000系5101Aの姿も。「青ガエル」と呼ばれたその独特の風貌がよくわかります。


ちなみに4月1日からは「くまモンのIC CARD」の運用がスタートするので……


真新しい読み取り機が設置されていました。


ここから折り返して、熊本電鉄のターミナル・藤崎宮前駅へ移動します。


基本的には道路とは分離された専用の軌道を走っていくのですが、ちょっとだけ併用軌道もあります。


まったくターミナルに向かっている感がありませんが、まもなく藤崎宮前駅。


到着……。


ここにもカード読み取り機が準備されていました。


改札口


電車が止まったホームの隣は線路が剥がされていました。北熊本駅で入れ違いをするダイヤなので、藤崎宮前駅には線路は1組あればOKというわけです。


駅を出てみると、建物はずいぶん立派なものだったことがわかります。


が、そのうち3階~9階は時間貸し駐車場で、駅は1階の一角だけ。


駅を裏側から見ると、ちょっとハリボテ感がします。


向かいはこのように建物で埋まっています。


現在地はココ。熊本電鉄の右側にある太い線は国道3号で、これに沿っていけば市電の水道町電停近くに出られます。かつて延伸が計画されたのは、国道3号に線路を敷設して市電に接続するという案でしたが、事業費が100億円ほどかかって熊本電鉄のみでは負担できないため、そのままになっています。


ということで、駅を出て東側、国道3号の方へ向かいます。すると正面には藤崎八旛宮が見えてきます。


藤崎八旛宮の鳥居の前で右折して、国道3号を南下。片道3車線の広い道路ですが、交通量は多く、バスもひっきりなしに走っています。


徒歩10分で水道町電停に到着。歩けないことはない距離ですが、鉄道であれば1分2分で走ってしまう距離なので、この先市電に乗るのであれば、直接繋がっていた方がありがたいところ。この藤崎宮前駅から国道3号を経由して水道町までというのは1972年3月1日まで熊本市電の路線が走っていた区間なので、そのままに復活できればベター。


北熊本で乗り換えてぐるっと回っただけですが、市電と比べて、いかにも「車に押されている地方の鉄道」といった感じでした。特に、藤崎宮前駅は降りても目の前のバス停にはほとんどバスが来ず、国道3号沿いまで歩く必要があるため、移転&延伸が可能ならやってもらった方が便利。会社が改軌・LRT化を提案するのも当然です。市長が市内公共交通の強化を目指して市電延伸を検討するのであれば、熊本電鉄と連携して藤崎宮前と市電との接続について検討するのは十分アリなのではないかと思います。といっても、「シムシティ」や「A列車で行こう」のようにはいかないのも承知なわけですが……。

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in 取材,   乗り物, Posted by logc_nt

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