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なぜスマホに取り付ける高性能レンズ「Moment」は多くの人の支持と出資を集められるのか?


スマートフォンに取り付けられる高性能レンズ「Moment」プロジェクトをクラウドファンディングサイトKickstarterで大成功させたMomentチームが、Momentレンズを取り付けられるスマートフォンケース「Moment Case」のプロジェクトを新たに立ち上げ、プロジェクト終了期限を待たずに目標金額の調達に成功しています。なぜ、Momentチームの製品がこれほどまで多くの人に支持されるのかについて、Core77がMomentチームを取材して「製品開発のプロセス」から人気の秘密をさぐっています。

Core77 / Designing The Moment Case: The Good, the Bad, and the Work Most People Don't Show
http://www.core77.com/posts/29749/Designing-The-Moment-CasennbspThe-Good-the-Bad-and-the-Work-Most-People-Dont-Show

iPhoneに取り付けられる高性能レンズ「Moment」プロジェクトは、Kickstarterで目標出資額の9倍の45万ドル(約5300万円)という大金を集めることに成功しました。

映画用カメラレンズ技術採用の高性能スマホ用交換式レンズ「Moment」を使ってみました - GIGAZINE


そのMomentチームが、新たにMomentレンズを取り付けられるケース「Moment Case」を開発してKickstarterプロジェクトを立ち上げ、すでに目標出資額を大幅に上回る53万ドル(約6300万円)の出資を集める事に成功しています。

Moment Case- World's Best iPhone Case for Mobile Photography by Moment — Kickstarter
https://www.kickstarter.com/projects/584288471/moment-case-worlds-best-iphone-case-for-mobile-pho


Core77がMomentチームを訪れたところ、出迎えてくれたデザイナーのエリックさんは、「私たちの製品の"breakthrough(発明)"は、9時-5時のオフィスタイムには生まれないんですよ」と述べたとのこと。Momentチームの製品開発で大切なことはオフィスの中よりも外での体験にあるそうで、前作のMomentレンズも新作のMoment Caseも「最高の写真を撮る場所」こそが、開発のスタート地点であるとエリックさんは話しています。


つまり、Momentの開発陣はみな「素晴らしい写真を撮りたい」と願う情熱的なフォトグラファーであり、その願いを実現するために具現化されたものがMomentレンズやMoment Caseであり、開発者は常に開発中の製品を持ち出しては写真を撮りまくっているそうです。「製品のコアの部分を真に理解してより良いものを作り出すために最も大切なことは、その製品と日常生活を共にすることである」という信念を開発陣は共有しているため、製品開発はオフィスで頭をひねるよりも、むしろ山登りなどオフィス外で実際に撮影する体験を大切にしているとのこと。


さらにMomentでは、メンバー全員にオフィスの外へメモを持ち出し、問題点をリストアップすることを強制し、そのリストから解決すべき問題点を洗い出すという作業を行っているそうです。


わずか8人しかいない開発メンバーはオフィスの外に飛び出すことで、多くの人が本当に求めていること、すなわち「Momentレンズの次に作るべきもの」について見つけることができたそうです。それは、多くの人が良い写真を撮るために最も重要視するのは「スピード」であるということ。いかに素早く写真を撮れるかというスピードは、写真の腕を問わずあらゆる人が重要視する要素であることに気づいたそうです。そして、ポケットをごそごそしてスマートフォンを取り出す動作があまりにも面倒であることや、新しく目に映る体験を撮ることで良い写真が生まれることを発見したといいます。

こうして本当に大切な3つのキーコンセプトが明らかになったとのこと。つまり、大切なのは「できる限り素早く写真を撮れること」「いつでも手に届くこと」「いつでも機能すること」であり、それを具体的な形にしたのがMoment Caseだったというわけです。


具体的に明らかになったキーコンセプトは、いつでも写真を素早く撮れる製品ということですが、現代人の多くがカメラではなくスマートフォンで写真を撮影しており、想像できないくらい大量の写真がスマートフォンで撮影されているという事実から、スマートフォンに常に取り付けるタイプのケース・レンズという製品に行き着きました。しかし、Momentチームはヴィンテージカメラが持つ品質と伝統的なカメラが持つ新規性に敬意を払っていたため、スマートフォンをカメラに変える製品として「Moment Case」を作ることに決めたとのこと。


Momentチームの製品開発は、「スケッチ」→「試作」→「実地テスト」の繰り返し。スケッチのアイデアを再現した試作機を、実際に試す過程で新しいアイデアが生まれることも多いため、ひたすら「スケッチ」→「試作」→「実地テスト」のサイクルを繰り返すそうです。何がうまくいかないのか、何にこだわるべきなのかを洗い出すためには、このサイクルはできるだけ速くすることが理想的とのことです。


しかし、大きな問題が生じるのは当たり前で、Moment Caseの場合、レンズ検出機能に関して異なるセンサーをいくつも試す必要があり、開発メンバー間でも意見が分かれるなどの激論があったそうです。しかし、「物事が計画通りに進んでいないときでも、全員のメンバーを信頼して前に進もうとすることが良い物を作るのに必要である」とエリックさんは述べています。


そして、開発メンバーが少ないことから、時には「捨てる」という決断も大切であるとのこと。Moment Caseにおいては、色は多くの人が望むものを取りそろえたいという思いを捨て、白・黒の2色に絞り込む決定をしたとのこと。


こうして6カ月以上かけて誕生したのがMoment Caseというわけです。


Moment Caseがどのような製品なのかは以下のムービーで確認できます。

Moment Case World's Best iPhone Case for Mobile Photography by Moment - YouTube


Moment Caseはスマートフォンカメラでは難しい、ピント固定機能にも対応。半押しでピントを固定したまま、タッチパネルを操作して露出設定を変化させることも可能です。


さらに、長押しすることで連写するバーストモードにも対応。いつでも手元にあるスマートフォンを高性能なカメラに変身させることで、見事に「できる限り素早く写真を撮れること」「いつでも手に届くこと」「いつでも機能すること」というコンセプトを実現しています。


スマートフォンに取り付けるレンズやスマートフォンをカメラに変身させるケースというアイデアとしてはありふれた製品にもかかわらず、Momentが他の類似製品と違い多くの人の支持を集められた理由は、実体験から真に大切なものを見極め、それを真摯に製品に反映させるという、口にするのは簡単でありながら実行するのが難しい開発スタイルにあるようです。

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in メモ,   モバイル,   ハードウェア,   動画,   デザイン, Posted by darkhorse_log

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