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SNS管理サービス「Buffer」が過去8年間の資金調達や株式買取の流れをブログで公開


ソーシャルネットワークサービスのアカウントをまとめて管理できるサービス「Buffer」が、2018年7月にベンチャーキャピタルの投資家たちから330万ドル(約3億7000万円)分の優先株式を買い取ったことを明かしています。この株式買取は、Bufferの意志決定においては非常に重要なもののひとつであり、「Bufferが真に持続可能で長期的な成長を描くための鍵となる」と記しています。

We Spent $3.3M Buying Out Investors: Why and How We Did It
https://open.buffer.com/buying-out-investors/

Bufferが、シリーズAラウンドで資金調達した際に発行したシリーズA優先株式の一部を330万ドルで買い戻したと明かしました。

Bufferが誕生したのは2010年10月のことで、当初は自前の収入でサービスを運営していました。その後、2011年8月にシードアクセラレーターのAngelPadから初めて12万ドル(約1300万円)の資金調達を行います。続く2011年12月、Bufferはシードファンディングで33万ドル(約3700万円)の資金調達に成功しており、これによりBufferの総資金調達額は45万ドル(約5000万円)となっていました。さらにその後、2014年12月にBufferはシリーズAラウンドで350万ドル(約3億9000万円)の資金を調達します。

そして2018年7月、BufferはシリーズAラウンドで資金調達した際の優先株式を保有する16人の投資家のうち、7人から優先株式を買い取ることに成功します。これはシリーズAラウンドで資金調達した350万ドルのうち230万ドル(約2億6000万円)分の株式買取となるそうです。


過去3回の資金調達のうち、シリーズAラウンド後の2015年中頃までは企業として高い成長率を保つことに成功していたBuffer。チーム全体を急速に成長させ、製品開発のペースを加速させようとしていたそうですが、結果を出さずに経費だけを捻出していった結果、財政的な困難に直面することとなります。Bufferは資金が減少していることに気づき、そこでようやく自分たちが適切に財務状況を管理できていなかったことを認識したそうです。

そこで最初にBufferが行ったのは、10人の従業員を解雇することでした。これは新たな資金調達を行うことなく問題を解決するためには必要な決定だったそうです。

Bufferが10人を解雇、何を失敗し、ここからどう挽回する予定かを具体的に数値を示して公開 - GIGAZINE


レイオフといくつかの内部業務を変更したことで、Bufferはすぐに収益を向上させることに成功します。それに反して苦しんだのが、企業の成長率を上げることです。起業当初は「リモートで働く優れたチーム」と「企業としての高い透明性」という2つの独自文化を創り出し、「すべてを持っている」とまで錯覚していたBufferですが、シリーズAラウンドの資金調達以降はさまざまなものの中から「本当に大切なものを選択しなければいけない」ということに気づくこととなったそうです。

つまり、企業としての成長率を高める環境を作り出すには、「Bufferが価値のあるもの」と感じていた、「企業としての透明性」や「リモートで働くという職場環境」といった要素を取り除く必要があると明らかになったそうです。通常ならばさらなる成長のために2つを諦めてしまいそうなところですが、Bufferは「高い成長率を望むことを諦める」という選択を取ります。この決定により、Bufferの共同設立者であるLeo Widrich氏とCTO職を務めたSunil Sadasivan氏が企業から離れることとなったそうですが、それでもBufferはそれまで培ってきた企業文化を守ることを選んだというわけです。


レイオフやBufferを支えるリーダーたちの退職により、「企業としてのコアバリューが崩れた」とBufferのジョエル・ガスコインCEOは語っています。コアバリューは各従業員がどのように行動するかを判断するための指針であるため、これを再び掘り下げ、いくつかの変更を加えることで「組織としての信頼を取り戻すことを目指した」とガスコインCEOは述べました。

Bufferが重視したのは「企業としての収益性を向上させること」と「企業を長期的に持続可能なものとすること」、さらには共同設立者というリーダーがいなくなっても組織がうまく回るように「効果的にリーダーシップを管理するための方法を取り入れること」でした。Bufferはこれらをすべてを網羅するようなコアバリューを設定することに成功したそうで、これらの変更についてガスコインCEOは「Bufferは複数のチームメンバーが集まり、生産性を上げるための時間を持つことで、企業全体がゆっくりと成長していくという選択をした」と説明しています。


長期的な持続性を軸に据えた結果、Bufferの純利益率は数カ月で7%増加。利益も30万ドル(約3300万円)から50万ドル(約5600万円)にまで増加し、銀行の預金残高がみるみる増えていきます。しかし、それに反して企業の成長率は低下していきます。これはもともとガスコインCEOが想定していた変化であり、「レイオフや共同設立者の脱退が投資家たちに良く見られないであろうことはわかっていた」とのこと。

スタートアップといえば継続的な資金調達を行い加速度的にチームを成長させていくものですが、新しく生まれ変わったBufferにとって、そういった方法は最良のものではないと感じられるようになり、従来のスタートアップとは対照的な企業へと変化してしまったとのこと。2017年後半にはBufferがベンチャーキャピタルの資金調達に適さない企業であることは明らかになっていました。なぜなら、毎月利益率を上げながら財務的に長期持続可能な企業としての地盤を築き、同時に従業員が長らく働け、燃え尽きないような文化および環境を作り出すことに努めていたためだとBufferは説明してます。

by Christian Dubovan

その後、BufferはシリーズA優先株式の買い取りを計画します。これはシリーズAラウンドで資金調達した際、Bufferは「シリーズAラウンド投資家の過半数から承認を得ない限り株式を売却することができない」という規定を結んでいたのですが、企業として財政面が改善したことである程度のキャッシュを抱えていたBufferにとって、この規定は株式の流動性を高めるために邪魔なものとなったためだそうです。

BufferはシリーズA優先株式の67.29%を330万ドルで買取。これはBufferの発行済株式全体にとっては以下の通りそれほど大きな比率のものではありませんが、今後のBufferにとっては大きな意味を持つものとなるとしています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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