取材

海外を旅するなら知っておいて損はなし、世界のLCCと魅惑の国際長距離路線


まさかバスに乗る感覚で飛行機を使う時代がやってくるなんて、思ってもいませんでした。英語の「Low Cost Carrier」を略したLCCは、徹底したコスト削減から信じられない低価格のフライトを実現し、世界の空で存在感を増しつつあります。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。2014年は旅のラストスパートもあって飛行機移動も多く、何度かLCCのお世話になりました。世界各地のLCCを調べてみると、次から次に面白そうな路線が出てきます。非常に興味深かったので、それらを一同にまとめてみました。LCCの国際長距離路線がうまく利用できると、旅もスムーズに進みます。

◆LCCとは?
インターネット限定のフライト予約、座席のエコノミークラスでの統一、預入手荷物の有料化、機内食の廃止など、数々の合理化の結果を運賃に反映。低価格を武器にLCCは、世界中で著しい成長を遂げています。今回いろいろと値段を挙げていますが、預入手荷物が有料だったり、カード決済で手数料がかる航空会社もあるので、あくまでも参考程度でお願いします。

LCCは予約が早いほど航空券の値段が安いので、計画を立ててしまえば一気に進めてしまうことが得策です。採算を度外視した記念セールのプロモーションも見逃せません。ちなみに、この記事を作成するにあたって、ウィキペディア英語版の航空会社別の就航都市一覧は非常に便利でした。

◆ヨーロッパ
イージージェット(easyJet)


路線図


イージージェットはイギリス発のLCCとしてヨーロッパ全土を繋いでいます。ヨーロッパと北アフリカのモロッコを結ぶフライトは、世界一周バックパッカーでも利用している人が多数。2014年11月4日にロンドンからモスクワに移動したのですが、8月末の予約だと183.03USドル(1万9635円)で済みました。折り畳み自転車も運んでいます。

ライアンエアー(Ryanair)


路線図


ライアンエアーはアイルランド発のLCCで、ヨーロッパ各地を結んでいます。ヨーロッパ最大のLCCですので、覚えておいて損はないでしょう。ただし一つ注意が必要で、フライトの前には、インターネットでオンラインチェックを済ませ、ボーディングパスを印刷しないといけません。当日にボーディングパスを持参していないと、追加で費用がかかります。手間はかかるものの、ともかく安いと評判のLCCですので、いつか試しに乗ってみたいものです。

ペガサス航空(Pegasus Airlines)


(PDFファイル)路線図


ペガサス航空はトルコのイスタンブールにハブ空港を持ちヨーロッパ、中東、中央アジア各地を結んでいます。2015年1月にエジプトのシャルム・エル・シェイクからイスタンブールに飛んだフライトは167.99USドル(2万652円)、つい先日にボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボからイスタンブール経由でシャルム・エル・シェイクに戻ったフライトは166.69USドル(2万225円)でした。急遽予定を組んだので、さほど値段は変わりませんが、もっと早めの予約であれば、イスタンブール行きはもっと安くできました。これは預入手荷物も含まれた料金です。

「118ユーロ(約1万5800円)」から販売されているのは、イスタンブールと中央アジアにあるキルギスの首都ビシュケクを結ぶフライト。中央アジアの国々はテュルク系民族として、トルコと繋がりが深かったりします。


エア・バルティック(Air Baltic)


路線図


エア・バルティックはラトビアのリガにハブ空港を持ちヨーロッパ各地を結びます。モスクワ訪問の際に、ロンドンからの便を入手したのですが、預入手荷物の費用(24.99ユーロ)を払って、総額161.92ユーロ(2万3000円)という価格でした。予約後に、航空会社の都合からフライトスケジュールが変更になって、全額返金してもらっています。代わりにモスクワへはイージージェットを使いました。

ノルウェー・エアシャトル(Norwegian)


路線図


ノルウェー・エアシャトルはノルウェーのオスロにハブ空港を持ち北欧を中心にヨーロッパ各地を結びます。それに留まらずアメリカのニューヨークやタイのバンコク、UAEのドバイといった長距離路線も存在。2014年12月12日にアメリカのフロリダ半島にあるフォートローダーデールから、ノルウェーのオスロにフライトした際は、折り畳み自転車を入れた約20kgの預入手荷物も含めて、227.20USドル(2万4373円)で済みました。8月末に予約していたフライトです。

「片道154.20ユーロ(約2万700円)」で販売されているのは、オスロと東南アジアはタイの首都バンコクを結ぶフライトです。ただ、こちらの航空会社は預入手荷物は10kgまでは無料なものの、預入手荷物はオプションを追加しての支払いが必要。このケースだと20kgの預入手荷物で33ユーロ(約4400円)が必要ということでした。ヨーロッパと東南アジアを結ぶ珍しいLCC路線です。


ジェットエアフライ(Jetairfly)


就航都市一覧


ジェットエアフライはベルギーのブリュッセルにハブ空港を持ち世界各地を結びます。ヨーロッパからカリブ海へ渡る際に、インターネットから航空券の購入を試したものの、デビットカードでは決済が通らず断念。ブリュッセルとアメリカ合衆国のマイアミ、メキシコのカンクン、キューバ、ドミニカ共和国、ジャマイカと大西洋を跨ぐ長距離路線はとても魅力的。タンザニアのザンジバルへも路線を持っています。

「片道124.99ユーロ(約1万6800円)」で販売されているのは、ブリュッセルと西アフリカの大西洋に浮かぶ島国カーボベルデへのフライトです。この後にセネガルに渡って西アフリカを周ることもできそうですし、アフリカに突入する際にも使えそうな興味深い路線でした。


◆中東・アフリカ
エア・アラビア(Air Arabia)


就航都市一覧


エア・アラビアはアラブ首長国連邦のシャールジャにハブ空港を持ち、中東を中心に、ヨーロッパ、南アジア、東アフリカを結んでいます。就航都市一覧を眺めてみると、シャールジャから放射状に路線が伸びていて、どこへでも飛んでいけそう。ヨーロッパ、アフリカ、アジアを繋ぐ地理的要因もあって、利用価値の高いLCCかもしれません。

フライドバイ(flydubai)


路線図


フライドバイはアラブ首長国連邦のドバイにハブ空港を持ち、中東のみならず東欧、東アフリカ、南アジアを結んでいます。就航都市一覧を眺めてみると、ブルンジのブルンジュラ、南スーダンのジュバ、タジキスタンのドゥシャンベ、モルドバのキシニョフとマイナー都市へのフライトが多数。

マンゴー航空(Mango Airlines)


マンゴー航空はフラッグキャリアである南アフリカ航空のLCCとして、南アフリカの国内各地を結んでいます。就航都市はブルームフォンテーン、ケープタウン、ダーバン、ジョージ、ヨハネスブルグ、ポートエリザベスとタンザニアのザンジバル。

「3236ランド(約3万2900円)」からで販売されているのは、タンザニアのザンジバルと南アフリカのヨハネスブルグを結ぶフライトです。透き通るほどの青い海を持つザンジバルは、多くの旅人を惹きつけてやみません。


◆北アメリカ
ジェットブルー(JetBlue)


路線図


ジェットブルーは、アメリカ発のLCCとして、国内を中心にカリブ海、中米諸国を結んでいます。何かと航空券の費用が嵩むカリブ海諸国では、アメリカ発着のLCCを選ぶと距離の割にお得に飛べます。カリブ海では、それほど距離はないにも関わらず、隣の島国へのフライトは100USドルを越えていました。

2014年12月8日ですが、カリブ海の島国でも最南端に位置するトリニダード・トバゴから、フロリダ半島へのフライトは148.16USドル(1万5895円)でした。同様にドミニカ共和国の首都サントドミンゴにインした際もジェットブルーでした。モスクワからのフライトです。提携しているロシアの航空会社トランスアエロが経由地のニューヨークまで、乗り継ぎの便がジェットブルーでサントドミンゴまで向かいます。このモスクワ発ニューヨーク経由サントドミンゴ行きの便は4万8510円でした。いずれも8月末に予約を済ませています。

「230USドル(約2万7500円)」からで販売されているのは、ニューヨークと南米はコロンビアの首都ボゴダを結ぶフライトです。パナマからボゴダに飛んだ時は400USドル近くかかったので、長距離にも関わらずお得なフライトだと思います。


スピリット航空(Spirit Airlines)


路線図


スピリット航空は、アメリカ発のLCCとして、国内を中心にカリブ海、中米諸国を結んでいます。オフィシャルサイトは、いかにもアメリカ人が好みそうなデザイン。ジェットブルーと同様に、カリブ海諸国を周る際にも使えそうです。

「201.79USドル(約2万4100円)」からで販売されているのは、フロリダ半島のフォートローダーデールと南米はペルーの首都リマを結ぶフライトです。ナスカの地上絵やマチュピチュのあるペルーとアメリカを結ぶ貴重な路線。


◆アジア、太平洋
ジェットスター航空(Jetstar Airways)


路線図


ジェットスター航空はオーストラリアのフラッグキャリアであるカンタス航空が、新規参入したヴァージン・ブルー(現ヴァージン・オーストラリア)に対抗するために設立したLCCで、オーストラリアを中心に東南アジアと日本を結んでいます。日本航空(JAL)や三菱商事と組んで日本の国内線に新規参入した際にも、随分と話題となりました。次々と新規路線が開設されているようで、バンコクから地元の福岡に一時帰国した際には、新規就航記念セールもあって3780タイバーツ(1万2221円)で飛べました。

「229.00オーストラリアドル(約2万1100円)」からで販売されているのは、オーストラリアのシドニーと太平洋の島国フィジーを結ぶフライトです。ただ、これには預入手荷物は含まれておらず、20kgを預ける予定だと28オーストラリアドル(約2600円)が予約時に必要。世界一周の最後には太平洋の島国を周りたいと考えているので、その時はジェットスター航空のお世話になるかもしれません。


エアアジア(AirAsia)


路線図


エアアジアはLCCのパイオニアとして、マレーシアのクアラルンプールにハブ空港を持ち、東南アジアを中心にインド、オーストラリア、日本まで路線を広げています。アジアを旅するバックパッカーなら知らない人はいないほどのLCC。かつては、全日本空輸(ANA)と提携しエアアジア・ジャパン(現バニラ・エア)として、日本の国内線にも参入していました。一度撤退しましたが、新たなパートーナーである楽天と手を組み、再び日本の国内線へ参入する見通しです。

ヴァージン・オーストラリア(Virgin Australia)


路線図


ヴァージン・オーストラリアはイギリスのヴァージン・グループの一員で、オーストラリアを中心に太平洋地域を結びます。グループ会社のヴァージン・サモアは、サモア、トンガ、フィジーへのフライトもあって、太平洋諸国を周る際にも使えそうです。

ニュージーランドのオークランドから、それぞれ片道ですが、サモアのアピア、トンガのヌクアロファ、クック諸島のラロトンガまでは、この位で飛べないかと期待しています。


タイガー・エアウェイズ(Tiger Airways)


路線図


タイガー・エアウェイズはシンガポールにハブ空港を持ち、東南アジア、オーストラリア、インド各地を結びます。2007年にオーストラリアでワーキングホリデーをしていた際にも、北部のダーウィンからシンガポールまで格安で飛べると噂のエアラインでした。

「片道169.79シンガポールドル(約1万6200円)」からで販売されているのは、シンガポールとインド洋に浮かぶ島国モルディブを結ぶフライトです。隣国のインドから往復すると航空券が2枚必要ですが、このシンガポールからの便は長距離移動もできて、片道の航空券代も浮かすことできるので、非常にお得だと思いました。


◆日本・韓国・中国
バニラ・エア(Vanilla Air)


路線図


全日本空輸(ANA)とエアアジアが共同で出資し、エアアジア・ジャパンとして設立されたものの、両社の経営方針の違いから提携解消。この時のエアアジア・ジャパンを引き継ぐ形で、運行再開されたのが今のバニラ・エアになります。成田国際空港をハブ空港として、日本各地と韓国、台湾、香港を結んでいます。

ピーチ・アビエーション(Peach Aviation)


路線図


ピーチ・アビエーションは関西国際空港をハブ空港として、日本各地と韓国、台湾、香港を結んでいます。こちらも、全日本空輸(ANA)の子会社です。激しい競争に突入した国内のLCCでも頭ひとつ抜きでた存在。GIGAZINEでも「成田~関空間に参入したLCC「ピーチアビエーション」を使ってみました」という記事で取り上げています。

エアプサン(Air Busan)


路線図


エアプサンは釜山にハブ空港を持ち、韓国国内、日本、中国、東南アジアを結んでいます。アシアナ航空のグループ会社です。

チェジュ航空(Jeju Air)


路線図


チェジュ航空は済州島から韓国の国内各地に、ソウルや釜山から日本、中国、東南アジア、グアム・サイパンを繋いでます。韓国のリゾート地として有名な済州島を訪れる際の選択肢になりそうなLCCです。

春秋航空(Spring Airlines)


路線図


春秋航空は、中国発のLCCとして上海にハブ空港を持ち、中国各地、日本、東南アジアを結んでいます。茨城、高松、佐賀といった地方都市への就航は、国内路線に参入したLCCでも異色の存在。立ち乗り席の導入を検討など、何かとニュースとなる航空会社です。GIGAZINEでも「機内販売が騒がしいとの噂がある中国系LCC春秋航空の「高松~成田」便に乗ってみた」という記事で取り上げています。

香港エクスプレス(HONG KONG EXPRESS)


路線図


香港エクスプレスは、香港にハブ空港を持ち、中国各地、日本、韓国、東南アジアを結んでいます。レストランではホクホクの飲茶を頬張り、ショッピングでは街を練り歩くような、香港旅行も気軽に楽しめそうです。GIGAZINEでも「LCCだが座席間隔が広い香港エクスプレスを香港~関空間で利用してみた」という記事で取り上げています。

このような感じで、自分が気になったLCCやお得に飛べそうなフライトをまとめてみました。少しでも誰かの旅の役に立てば嬉しいです。この他にも世界のLCCや、珍しい路線があるでしょうから、何かありましたら教えて下さい。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
)

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in 取材,   乗り物, Posted by logc_nt

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