低燃費35km/l、価格80万円で2016年発売予定の二人乗り三輪自動車「Elio」
軽量・コンパクトな車体で1リッターあたり35kmという低燃費を掲げる二人乗り三輪自動車が「Elio」です。Elioは2016年中にアメリカで6800ドル(約80万円)で発売することをターゲットに開発が進められています。
Elio Motors | The next big thing in transportation!
http://www.eliomotors.com/#possible
The Tiny Three-Wheel Car That Could Be The Next Big Thing - Forbes
http://www.forbes.com/sites/jimgorzelany/2014/06/24/the-tiny-three-wheel-car-that-could-be-the-next-big-thing/
アメリカの新興自動車メーカー「Elio Motors」が開発を進めている「Elio」は、前2輪・後1輪のレイアウトを持つ三輪自動車。コンパクトな設計により車体の軽量化が実現されており、車重は日本の軽自動車よりもさらに軽い570kgに抑えられています。
車体後方からのアングルでは、その特徴的なデザインがさらに際立ちます。車体は非常にスリムに作られており、2名の乗員がバイクのように前後に並んで座るようにレイアウトされています。
そんなElioですが、車体を横から見ると意外なほど従来の乗用車とよく似たボディシェイプとなっていました。コンパクトに見える車体ですが、一般的なアメリカ人の90%が問題なく座れるように設計されているとのこと。
ドライバーが車体の左右中央に座るレーシングカーのようなレイアウト。ハンドルやメーター類、そしてシートの横に配置されたシフトレバーは一般的な自動車と共通したインターフェースになっています。
近年の自動車らしく、安全性もきちんと考慮されています。強固な車体フレームに乗員を守るための3エアバッグ、ABSなどの安全装置を装備。さらに、同クラスの車両に比べて50%広い衝突安全空間を確保しているとのこと。
そんなElioが実際に走っている様子がYouTubeでも公開されています。
A new U.S. automaker with a $6800, 84 MPG, 3-wheeled "car" on the way - YouTube
近未来的なデザインのElio。タイヤフェンダーと車体後方の黒いカバーがデザイン上のよいアクセントになっているといえそう。
アメリカでは一般的なフルサイズのミニバンと並ぶと、そのコンパクトさがよく伝わってきます。車体はコンパクトながら、強固なフレーム構造で安全性もきちんと確保されているとのこと。
このElioにはモーターではなく、ガソリンエンジンがフロントに搭載されると聞いて意外に思う人も多いはず。搭載される3気筒・0.9リッターエンジンの出力は55馬力という一般的なものですが、それでもわずか570kgという車体を最高で時速160kmまで加速させるパワーがあるとメーカーは公表しています。
小型軽量の車体を持つElioの燃費は1リッターあたり35kmと公表されています。その最大の秘訣についてメーカーでは「前方投影面積が通常の自動車の半分だから、空気抵抗が半分になり、燃費は2倍になる」というシンプルな回答。アメリカの燃費測定基準は日本よりも厳しいため、この数値が実際にどの程度実現されているのかが気になるところです。
車体の左右中央に座るということで、その視界はなかなか独特なもの。2人乗りEV「MICHIMO」などに乗ったことがある人ならわかると思いますが、コンパクトな車体の真ん中に座って運転すると、まるで車体と自分の体が一体化したような感覚に包まれる時があります。
まるでF1マシンのような光景。Elioは、フロントに搭載されたエンジンが前輪を駆動するFF車となっています。
Elioの重量配分はフロント70:リヤ30。重量物が載る前輪を二輪とすることで、三輪自動車につきものである横転の危険性も軽減されているようです。さらに、FF車両のために雪道などの操作性が高くなるのもポイントが高いところ。
ただ、パワーステアリングが搭載されていないためか、ハンドルがけっこう重めな様子。市販される際にはぜひとも改善を願いたい部分です。
Elio Motorsは、2008年にアメリカで起業された新興自動車メーカー。アリゾナ州フェニックスに拠点を構え、ルイジアナ州に旧GMから買収した自動車工場を保有しています。
その工場が以前に生産していたのが「ハマー」だったとのこと。
広大な工場の敷地の様子。世界最強のSUVを作っていた工場で、世界で最もコンパクトなコミューターが生産されるというのも面白い縁を感じます。
なぜかステルス戦闘機の「F-22 ラプター」とショットに収まる2台のElio。左に映っているモデルが試作第4世代となる現在のElioで、右の車両は一つ前の第3世代のElioです。
Elioのトランクに収まるお茶目な男性が、Elio Motorsを創業したポール・エリオCEO。エリオ氏はElioを開発した理由について「運転が楽しくて、経済的に優れたパーソナル・トランスポーテーション・ビークルを作りたかったのです」とサイトで説明しています。誰にでも手が出る価格で、安全性が高く、そして環境に優しい乗り物がElioだとのこと。
また、ElioはSUVやミニバンをすでに所有している家族で、手軽な交通手段が欲しい場合にピッタリ。アメリカンドリームをかなえるもので、アメリカの雇用を守り、アメリカらしい自動車づくりを注ぎ込みたかったと語っています。
Elioは、一般の自動車に求められる高い安全基準をクリアするようにデザインされているとのこと。今後は実際の車体による衝突試験を行ってその安全性を実証したうえで2016年中の発売を目指したいと語っています。
予定されている価格は6800ドル(約80万円)となかなかのリーズナブルさ。「この車体に660ccエンジンを乗せて、日本でも軽自動車枠で販売すれば……」と想像してしまうところですが、車体の全長が日本の軽自動車規格の3.4メートルを超える約4.1メートルとなっているために実現は難しそう。それでも、必要最小限のシティコミューターとして、そして自動車好きをワクワクさせるような乗り物としてElioが実際に街を走ることになるのか注目したいところです。
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