レーザー照射で破裂する水滴を超高速撮影するとこんな感じ
ハイスピードカメラの進化に伴って、一瞬のうちに起こる現象の中にどのような変化が隠させているのかをつぶさに観察できるようになっています。流体について研究するPhysics of Fluidsによって、水滴にレーザーを照射して破裂させる一瞬を毎秒2万フレームで撮影してスローモーション再生させたムービーが公開されています。
Entry for the 2014 Gallery of Fluid Motion of the APS-DFD conference - YouTube
毛細管から垂らされる水滴は直径1mm。
この水滴にパルスレーザーを照射してばらばらにします。
では、水滴がばらばらにされる様子を2万FPS(フレーム/秒)という超高速で撮影してみましょう。
ゆっくりと落下する水滴
一瞬の間をおいて、プシュッとパルスレーザーが撃ち込まれました
レーザーの放射方向と垂直の方向に水滴は大きく広がっています。
そしてより小さな水滴へとばらばらに。水滴の変形はミリ秒単位で起こるのに対してレーザーパルスの変化はナノ秒単位で起こるというタイムスケールの違いによってこのような変化が生じるとのこと。
今度は光源をパルス化することで写像を得る「stroboscopic imaging」という特殊な手法での撮影。
stroboscopic imagingで再現する映像のフレームレートは驚異の1000万FPSとのこと。レーザーパルスが撃ち込まれた水滴は、霧状に飛散していることが分かります。
超々高速では霧状(雲状)になって飛び散り広がっていく様子がばっちり確認できます。
次はレーザーパルスを変化させると飛び散る水滴はどのように変化するのかの実験。
水滴の落下位置をレーザーの焦点からの距離を変えて破裂の様子を観察します。
その結果がこれ。飛び散る様子はレーザーが照射される位置によってかなり変化するようです。
焦点からの距離が遠い順に左から並べて水滴が飛び散る様子を比較するとこんな感じ。
次はレーザーのエネルギーの大きさを変化させて比較。
エネルギーが大きい(右側よりである)ほど水滴は派手に飛び散るのがよく分かります。
レーザーによって水滴に与えられた運動エネルギーを表面張力で割ったウェーバー数について調べると……
ほぼ理論通り。
境界面の変形具合をシミュレートしてみます。
レーザーのエネルギーが大きいほど変形具合は大きくなり……
こんな感じで線対称に変形するとのこと。
ところで巨大なエネルギーのレーザーを照射すればどうなるのでしょうか?
答えはこんな感じ。レーザーが撃ち込まれた部分がプラズマ状態に変化します。
美しく飛び散る様子は花火のよう。
なお、この水滴にレーザーパルスを照射して飛び散る様子を超高速で撮影する実験は、科学誌Natureで発表された論文の中で超高速撮影法「compressed ultrafast photography(CUP)」として詳しく説明されています。
Single-shot compressed ultrafast photography at one hundred billion frames per second : Nature : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/nature/journal/v516/n7529/full/nature14005.html
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