老人は視覚学習を若者とは違う脳の部位で行っている

By El Zoid

年を取ると共に脳は老化し、学習能力が衰えることが知られており、これは年齢と共に「脳の可塑性」が減少するからと考えられてきましたが、高齢にもかかわらず若者と同じく視覚的な学習効果が見られる人は、若者とは脳の違う部位を活用していることが明らかになっています。

White matter in the older brain is more plastic than in the younger brain : Nature Communications : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/ncomms/2014/141119/ncomms6504/full/ncomms6504.html

Many older brains have plasticity, but in a different place | News from Brown
https://news.brown.edu/articles/2014/11/age

東京大学の四本裕子准教授やブラウン大学の渡邊武郎教授らの研究グループは、65歳から80歳の高齢者18人と、19歳から32歳の若者21人を被験者に、特定の感覚で抽象的なテクスチャ画像を見せ、その一部分が変化した場合にボタンを押させるという訓練を繰り返すことで、視覚認知力が向上するかどうかを試験しました。


1週間の訓練をしたところ、高齢者グループには若者と同じくらい良い成績を上げる人がいたとのこと。訓練開始前と訓練終了後の2回、MRIで被験者の脳の変化を測定したところ、若者は視覚認知力が向上するにしたがって、脳の灰白質の表面に広がる薄い層である大脳皮質に変化が見られたのに対して、良い成績を示した高齢者は大脳皮質に変化は見られず、代わりに白質という神経細胞体がなく有髄神経線維ばかりの部分に変化が見られたとのこと。つまり、一部の高齢者は若者とは違う部位を使うことで視覚認知力を向上させている可能性があるというわけです。

これは脳の冠状断面で、濃い灰色が大脳皮質で薄い灰色が白質。


もちろん、今回の実験結果から即座に高齢者が白質を使って認知能力を高めていると結論づけることはできませんが、少なくとも年を重ねても若者とは違うメカニズムで脳は学習能力を維持することはできると言えそうです。

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