日本のモノづくりを支えるキャンパスノート工場はコクヨのこだわりが満載
日本人の約90%が使用したことのある「キャンパスノート」は開発や企画者の徹底的なこだわりがこめられているわけですが、製本過程においてもコクヨのモノづくりに対するこだわりが垣間見えるとのことなので、実際にキャンパスノートがある「コクヨ工業滋賀」に行って、製造工程を見学させてもらいました。
工場見学のご案内 | コクヨ工業滋賀
https://www.kokuyo-shiga.co.jp/csr/kps_factorytour/
名神高速道路の湖東三山出口を降りると、コクヨ工業滋賀の看板を発見。
名神高速道路を出たところにあった看板に従って道なりに数分進むと、コクヨ工業滋賀に到着しました。
これが今回見学するコクヨ工業滋賀で、施設内の工場で300種類あるキャンパスノートのほとんどを製造しており、年間製造冊数が1億冊以上という国内最大級のノート工場です。
キャンパスノートの工場を見学するには、手渡される帽子とトランシーバーの装着が必須。
カラフルなキャンパスノートがデザインされたドアをくぐり抜けて、いよいよ工場見学のスタートです。
ドアを開けた瞬間に驚くのはものすごい機械音。隣の人の声がほとんど聞こえないので、トランシーバーをつけるわけです。
見たことのない機械や山積みにされたダンボール箱にあっけにとられながら工場内の探検開始。
見学ではノートの製造過程を全て見せてもらえるとのことで、最初に案内されたのは巨大なロール紙を巻き上げる機械。上下に2つセットされているロール紙のうち、上にある方が高速で巻き取られていきます。
ロール紙が巻き取られていく様子は以下のムービーから確認可能です。
キャンパスノートのロール紙が高速で巻き取られていく様子 - YouTube
キャンパスノートの製造はロール紙を巻き上げて罫線を印刷するところから始まり、材料となるロール紙が工場内にゴロゴロ転がっています。
ロール紙は重さが450kg・長さが約9km・直径1.2mもあり、1本でB5サイズのノート約4700冊分。
工場内では重たいロール紙をゴロゴロと転がして運んでいる工員の姿も見かけました。
巻き取られたロール紙は印刷工程へと進みます。
これがロール紙に罫線を印刷する機械で、紙が目にも止まらないスピードで印刷されていく様子は圧巻。
ロール紙に罫線を高速で印刷している様子は以下のムービーから確認できます。
キャンパスノートの中紙になるロール紙に罫線が高速で印刷されている様子 - YouTube
印刷された紙は指定されたサイズにカットされます。
画像では止まっているように見えますが、実際には円形のカッターと紙の両方がすさまじいスピードで回転。指が当たれば気づく間もなく切断される勢いです。
円形のカッターが高速回転で紙をカットしている様子は以下のムービーから確認できます。
円形のカッターが高速回転でキャンパスノートの紙を断裁している様子 - YouTube
次は断裁された紙を2つに折り、ノート3冊分の長さに断裁する工程。
2つに折られ断裁された紙が機械から出てきて運ばれていきます。この状態からノートの中身になる「中紙」と初めて呼ばれるとのこと。
中紙のいくつかはランダムに選ばれて、適切に印刷・断裁されているかどうかチェックされます。
実際の中紙はこんな感じ。
光に透かして表と裏の罫線がずれていないか、入念な確認作業が30分おきに行われているとのこと。
工場内には「買う身になって作りましょう」という標語を発見。
断裁された中紙はベルトコンベヤーのような機械に載せられて……
表紙と裏紙をセットする工程へと進みます。
中紙に表紙と裏紙がセットされていく工程は以下のムービーから確認可能です。
キャンパスノートの中紙に表紙と裏紙がセットされていく工程 - YouTube
大量に積み重ねられたキャンパスノートの裏紙。
吸盤のようなもので裏紙が1枚だけ吸い上げられて……
「シャッ」と前方に送られます。
機械の下を通って出てきた中紙の上にスライドするようにして裏紙をセット。
表紙は裏向きの状態で、裏紙がセットされた中紙がやってくるのを待機。
裏向きの表紙は中紙が機械を通り抜けるより早くセットされ……
その上に中紙が載せられるというわけです。
表紙と裏紙がセットされる様子は感心することしかできないくらいものすごいのですが、画像ではなかなか伝わらないので、下記のムービーを見るとセットする工程がよくわかるはず。
キャンパスノートの中紙に裏紙が次々とセットされていく様子 - YouTube
「少しでも早く限界スピードへ!!」の言葉通り、表紙と裏紙のセットはすさまじい速さで行われていました。
表紙と裏紙がセットされ、ようやく見たことのあるキャンパスノートに近づいてきました。次は背クロスの「背固め」という工程に進むのですが、その前に画像の機械が裏向きのノートを引っくり返します。
引っくりかえされて表向きになったノートは、キャンパスノートの神髄とも言える背固めの工程へ進みます。背固めは背クロスをのりで圧着させる工程で、1975年の発売から一貫して糸とじではなく無線とじを採用しているキャンパスノートが、無線とじでも糸とじと同様の強度を保つために、コクヨ独自の製法が使用されています。
背固めが行われている真下では、背クロスが高速で回転しながら巻き上げられていました。
背固めでは熱を使ってのり付け。
ふと工場の天井を見上げると、自動霧吹き機のようなものが設置されているのに気づきました。これは工場内の湿度を正常に保つためで、乾燥しすぎると紙が曲がってしまい、機械を通らなくなることがあるからです。一昔前までは、床に水を直接まいていたそうですが、作業員の安全性を考慮して、現在では霧吹き機が使用されています。
背固めを終えて出てきたキャンパスノート。
最終コーナーを曲がって、いよいよ佳境となる裁断の工程へ。
裁断の工程前にもランダムでピックアップして、検品が手作業で行われます。少しでもおかしなところがないか、徹底的にチェックされるわけです。
裁断を行う機械がコチラです。
外側の不要な部分を切り取り、次に3つ連なったノートを1つに裁断。
実際にキャンパスノートが裁断されている様子は以下のムービーから確認可能です。
キャンパスノートが裁断されている様子 - YouTube
裁断する際に出たゴミはパイプによって吸い上げられ、専用の廃棄場へと運ばれて、その後はリサイクルされます。なお、裁断時に出たノートの切れ端だけでなく、不要になったインクなどもきっちりリサイクルしているとのこと。
天井に設置されているパイプを見ていると、時折ゴミがサッと通過していくのが見えます。
裁断を終えたキャンパスノートが機械から出てきました。
ベルトコンベアに載って運ばれ……
画像の機械内で指定された冊数ずつ、方向を変えて積み重ねられます。
機械がキャンパスノートの方向を変えて積み重ねる様子は地味に見えますが作業効率化に欠かせない工程で、以下のムービーから確認可能です。
機械がキャンパスノートの方向を変えて積み重ねる様子 - YouTube
完成したキャンパスノートは所定の位置までベルトコンベヤーで運ばれ……
指定の場所にワシャワシャと積み重ねられてパッケージング作業が行われる場所に運ばれます。
パッケージング中も作業員の手で不備がないか入念なチェックが行われていました。
完成したキャンパスノートは無線とじの強度が基準を満たしているかのテストが行われるとのことで、実際に見せてもらいました。
テストは表紙・裏紙と中紙を上下にセットして引っ張るというもので、PCで強度の正確なデータを取り基準を満たしているかを試験します。
厳格なチェックや試験を終えてようやく完成したキャンパスノート。
なお、今回製造されていたのは2014年12月発売予定のキャンパスノート限定柄「キラキラシャワー」
キャンパスノートの製造工程を見学した後は、キャンパスノートがどれくらい丈夫なのかがわかる実験を見せてもらいました。
実験は中紙を1枚だけ固定し、その下に水が入ったペットボトルをつるしていくというシンプルなもの。
全部で12kgにもなるペットボトルがつるされましたが……
中紙が背クロスから取れてしまうことはありませんでした。
ペットボトルを使用した実験は、一般見学でも体験できるとのことです。
キャンパスノート工場見学でも人気が高いのが、工場限定販売のキャンパスノート。
こちらは不良品を小さく裁断した「不良品ミニノート」
かわいいサイズの不良品ミニノートは税込50円です。
滋賀オリジナルキャンパスノート「SHIGA」と「限定デザインギャラリー」は1冊税込250円。
工場直売の「2連キャンパスノート」はインパクト絶大で税込540円。
これにてキャンパスノートの工場見学は終了です。
キャンパスノートの製造工程は作業が機械化されている部分もありますが、最終的には人の目によるチェックが徹底的に行われており、モノづくりには人の手による作業が必須であることをヒシヒシと実感しました。工場では一般向けの見学ツアーも実施されていてコクヨのモノづくりに対するこだわりを実際に見ることが可能なので、興味がある人は一度足を運ぶと普段何気なく使用しているキャンパスノートに込められた思いを感じられること間違いなしです。
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