ティラノサウルスの10倍重い史上最大の陸上生物「ドレッドノータス」とは?
これまで発見されたものとしては最大の恐竜「Dreadnoughtus(ドレッドノータス)」がアルゼンチンで見つかりました。
Newly discovered dinosaur, Dreadnoughtus, takes title of largest terrestrial animal - The Washington Post
http://www.washingtonpost.com/news/speaking-of-science/wp/2014/09/04/this-is-the-kind-of-dinosaur-you-find-in-hollywood
ドレッドノータスの正式名称は「ドレッドノータス・シュラニ」。20世紀初頭のイギリスの戦艦「ドレッドノート」と、発掘研究の費用の一部を拠出したアダム・シュラニ氏にちなんで名付けられました。ドレッドノータスの発掘作業や骨格の調査の様子は以下のムービーで確認できます。
これが発掘された化石から想像したドレッドノータスの姿。全長は推定26メートル。
首の長さだけでも11メートルあり、その長い首を活かして白亜紀に広く繁殖していたシダ類・コケ類や針葉樹・広葉樹を食べていました。なお、巨体と8メートルを超える強力な尻尾を持っていたドレッドノータスに天敵となる捕食者はなく、草原や密林に君臨していたと考えられています。
ゾウの体重は約5トン(5000kg)。肉食恐竜として有名なティラノサウルスも同じくらいの重さ。
これに対してドレッドノータスの体重は65トン(6万5000kg)。
旅客機ボーイング737よりも重いドレッドノータスは、これまで発見された恐竜を含めて「史上最も重い陸上動物」だと考えられています。
ドレッドノータスは2005年にアルゼンチンのパタゴニアで発掘されました。
頭部を除く骨格の約70%が発見され、ティタノサウルス類の化石としては過去に例を見ないほど完全な状態で発掘されており、研究者たちを歓喜させたとのこと。
ドレクセル大学のケン・ラコバラ准教授はドレッドノータスを「既成概念を超越した存在」と表しています。当初、想像外の大きさに発見した骨が大腿骨であると気付くのに時間がかかったとのこと。
発掘作業では2頭のドレッドノータスの化石を合計16トン発見。2頭は流砂に巻き込まれて死んだと考えられており、そのため非常に保存状態が良かったとのこと。
発掘作業では145個の骨と1本の歯が発見されましたが頭骨は発見されていません。なお、竜脚下目と呼ばれる巨大な首長の恐竜の頭部は巨体に比べると非常に小さく、ドレッドノータスの頭部は馬の頭くらいしかなかったと考えられています。
これはドレッドノータスの足の「つま先」の骨。
尻尾のイメージ画像はこんな感じ。尻尾だけでも長さは8.8メートル。
ラコバラ博士が持っているのは「シェブロン」と呼ばれる尻尾の骨の一部。
シェブロンはこの部分の骨。筋肉が付いた骨で長い尻尾を動かすのに重要な役割を持っていました。
ドレッドノータスの骨はスキャンされて3Dデータとして公開される予定なので、近い将来、3Dプリンターで化石の模型を作ることができそうです。
8300万年前から6600万年前に生息していたと推測されているドレッドノータスは、全長が約26メートル。驚くべき事に、この65トンと推測されるドレッドノータスは、骨の成長が減速したという兆候が見られず死んだときは成長途中だったとのこと。世界最大の陸上生物の記録を更新したドレッドノータスは、生物が到達できる巨体の限界を大きく拡大させたと言えそうです。
・関連記事
4枚の翼を持つ恐竜の化石を発見、「非常に驚いた。このようなものは見たことがない」 - GIGAZINE
かつての恐竜化石密猟の天国・モンゴルで貴重な化石を守った取り組みとは - GIGAZINE
数十億年前の恐竜の化石を持ち運べる本物のミニ標本「Mini Museum」 - GIGAZINE
オオカミ・恐竜など動物の頭蓋骨をミニチュア化してジュエリーに変えた「FIRE&BONE」 - GIGAZINE
大型恐竜の骨格標本など全24種28点の化石を水族館の生き物たちと比較可能な「京都水族館に『恐竜』がやって来る!」 - GIGAZINE
鳴き声は「メェ~」!?世界最大級の動く恐竜やミイラ化石などが展示されている大恐竜帝国2013を見てきました - GIGAZINE
・関連コンテンツ