自分に合った「心地よい目覚め方法」の見つけ方
By amanda tipton
「気持ちよい目覚め」というのは現代人にとって永遠のテーマといえそうですが、なかなか実際にはいい方法が見つからずに苦労するもの。New York Magazineのライターでもあるケビン・ルースさんは、そんな目覚め方法の確立のために模索したエピソードをまとめて公開しています。
Waking Up Is Hard to Do — Matter — Medium
https://medium.com/matter/waking-up-is-hard-to-do-c720dc9617a8
あるテーマについての解決策を自らが実験台になって実証するという「Self-Bettering」シリーズで、ルースさんは「気持ちよい目覚め」のための方法論をチョイス。以下に挙げる方法を試し、どれが最も良い結果をもたらしたのか、そしてどのように改善を続ければよいかを検証しています。
普段はiPhoneのアラーム機能を使って6時に起き、起床してすぐに歯を磨くというルースさんですが、果たして従来のこの方法がベストなのか気にしたことはなかったとのこと。約一週間にわたるリサーチと、専門家の助言を受けながら自分をモルモットにして行った人体実験の結果が以下のようにまとめられています。
◆手法1:毎日決まった自分のルーティン作業を作る
毎朝なかなか目が覚めない理由は、「睡眠慣性」と呼ばれる状態であるとルースさんは指摘。深い睡眠から目覚めてすぐの状態だと人の認知能力は通常よりも50%も低下しており、さらにこの状態は起床後30分以上も継続することがわかっています。ルースさんはこの睡眠慣性を排除することを目標にして手法を探ったところ、複数の専門家からは「毎日決まった時間に起きること」を薦められました。
アドバイスに従い、ルースさんは夜22時に寝て朝6時に起床するパターンをしばらくの間継続してみましたが、残念ながら目立った効果は感じられなかったとのこと。起床後も45分間は以前のようにボーッとした状態から抜け切れずにいたので、次の手法を試してみることにしました。
◆手法2:自分にあったアラーム時計を見つける
過去5年以上、ルースさんはiPhoneのプリセットに入っている「オープニング」のアラーム音で起床していましたが、これは決して快適とは呼べなかったとのこと。知人の中には、手首に装着して行動パターンを記録し、起きるのに最も適した時間にアラームを鳴らしてくれるUP24 by Jawbone Lのような製品を薦める人もいたそうですが、どうもルースさんには合わなかった模様。
そこでルースさんはPhilips製「ウェークアップライト」を購入してテストを実施しました。
徐々に明るくなる照明と2種類のナチュラルサウンドから選べるアラーム音で寝起きをサポートするという製品で、ルースさんはおおむね気に入った模様。照明の効果か、いつも設定していた時間よりも10分から15分早く目覚めるようになったとのことですが、それでも「これだ」と確信を持つまでには至らなかった様子でした。
次にルースさんは視覚、聴覚、嗅覚の3つで目覚めをサポートするという「トリプルセラピークロック」をテスト。
アロマの力を借りて心地よい目覚めを実現するという製品ですが、ルースさんにとってはイマイチだった様子。レモングラスのオイルをセットしてベッドに入りましたが、朝起きたら部屋がまるで「タイ料理レストランのようなにおいがした」と、あまり気に入りませんでした。これはアロマのチョイスも大きく影響すると思いますが……。
◆手法3:「RISE UP法」を使う
「アラームを選ぶだけが方法じゃない」ということで、次に試してみたのが「RISE UP法」と呼ばれる手法です。これは、以下のように「スヌーズを使わない」「シャワーか洗顔をする」などの頭文字をつなげたもの。
・Refrain from snoozing (スヌーズ機能を使わない)
・Increase activity for the first hour (最初に1時間のアクティビティを増やす)
・Shower or wash face (シャワーか洗顔をする)
・Expose yourself to sunlight (体に太陽の光を浴びる)
・Upbeat music (テンポのいい音楽を聴く)
・Phone a friend (友人に電話する)
ルースさんはこれに従い、普段は夕方に行っていたジョギングを朝起きてすぐの早朝に変えたり、朝6時30分にスタッフとの電話ミーティングを行うようにしたところ、良い結果が得られたとのこと。この方法だと何か新しいものを買ったりする必要がないので簡単に始められる一方、それなりの意思の力が求められるのは言うまでもなさそうです。
◆手法4:「目覚めの一杯」を飲む
多くのアメリカ人は目覚めに1杯のコーヒーを飲んでおり、これは実際に科学的にも効果が証明されているもの。ルースさんはいつもダブルショットのエスプレッソを飲むことを日課にしていたそうですが、今回は別の4つの候補として「モンスター・エナジー」「水出しコーヒー」、エナジードリンクの一種である「Runa」そしてエナジー成分をシュッとスプレーするだけで補給できるという「Sprayable Energy」を挙げて検証を実施しました。
結果、ルースさんが最も気に入ったのは「水出しコーヒー」だったとのこと。特に冷凍庫でキンキンに冷やしたグラスで飲むアイスコーヒーは、まるで冷たい水で顔を洗っているような刺激になって目覚めに効果があったとのこと。また、「Runa」もそれに次ぐ効果が得られました。
By Jessica C
残念ながら「モンスターエナジー」は効果なし。むしろ、糖分が多く含まれているために後味が気に入らず、ルースさんにとっては最低評価になってしまいました。スプレータイプの「Sprayable Energy」は、「スプレーした首の部分がベタベタした」こと以外にとりたてて影響はなかったとのこと。
◆手法5:何か食べる
ある研究の結果では、朝食に炭水化物と食物繊維の多い食事をとっている人は、高脂肪のものを食べている人よりも意識がハッキリするということがわかっています。とはいえ、実際にそのような食事を毎朝食べるのはなかなか難しいので、ルースさんは野菜や果実をミックスしたジュースでテストを行いました。
By bertholf
最初は青野菜のケールを入れすぎたために、青汁状態になって飲みにくくなってしまったそうですが、リンゴやショウガを入れることで飲みやすい味の配合に成功。睡眠慣性の排除にジュースが与えた影響は「よくわからない」とのことですが、少なくとも毎日朝から野菜を刻んでジュースにするという行為は良い結果をもたらしたそうです。
また、記憶力向上に効果があると言われるチョコレートとチューイングガムも試してみたとのこと。しかし、特にチューイングガムはコーヒーの味をダメにするという理由で、ルースさんは却下の判断を下していました。
◆手法6:とにかく自分に合うことを続け、微調整を行う
健康的な生活に関しては「タバコを吸わない」「バランスのよい食事をとる」などのもはや議論の余地がない手法が確立されていますが、「目覚め」がテーマになるとその手法にはかなり個人差があると言えます。そのため、最もよい目覚めの方法を見つけるためには、とにかく自分にあった方法を見つけ、それを続けながらさらに磨きをかけていくということになりそうです。
ルースさんは一連の検証の結果、「規則正しい睡眠をとり、ウェークアップライトを使って起床、大きめのコップ一杯の水出しコーヒーを飲み、野菜ジュースで食物繊維をたっぷり摂取して、ジョギングなどの早朝エクササイズを行う」という自分なりのパターンを設定して実行に移しています。さらにルースさんは、上記の毎朝のセットが完了するたびに「今日はどれだけ心地よかったか」を10点満点で採点し、セットの微調整を行っているとのこと。実際に、ジョギングの前にコーヒーを飲むように変更したところ、長い距離を走れたうえに力がみなぎって感じられたそうです。
By Spyros Papaspyropoulos
この結果、睡眠慣性そのものが消滅することはないものの、その影響はかなり減少されたとのこと。以前のルースさんにとって「起床」とは「巨大な船の向きを変えるようなもの」だったそうですが、いまでは「軽量なタグボートを操縦するようなもの」へと変化が起こっているそうです。
誰であろうと「起床」という行為は毎朝必ずやってくるものなので、その質を高めて気持ちよく起きることが大切だというのがルースさんの持論となっていました。
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