ハードウェア

LEDの父が明かす発明までの知られざるストーリー

By Robert Howie

LED(発光ダイオード)は1962年に発明された半導体素子のことで、低消費電力・長寿命・小型サイズといった特徴を持ち、さまざまなタイプの電子機器に使用されています。生活に欠かせない存在となったLEDの発明者であるニック・ホロニアック氏が、開発に至るまでの知られざる物語をインタビューで明かしています。

Nick Holonyak, Inventor of the LED - YouTube


ホロニアック氏は1957年から1963年まで世界最大の複合企業であるゼネラル・エレクトリックの研究所で科学コンサルタントとして、小さな研究チームを率いていました。


「我々が開発に成功するまで存在し得ないようなデバイスを発明してみせる」という強い思いを抱いていたというホロニアック氏。


研究チームは当時まだ発明されていなかった半導体素子の開発に着手します。同研究所の他の研究チームが赤外半導体レーザーの開発を進めており、ホロニアック氏は「我々は目に見えない赤外半導体レーザーではなく、目に見える半導体レーザーを開発する」と目標を掲げたとのこと。


そしてホロニアック氏が率いる研究チームは1962年に小さな赤色のLEDを開発。世界で初めてLEDの光の可視化に成功したこともあり、LEDに電流を初めて流したとき、研究チームのメンバーは「光が目で見える!光が目で見えるんだ!」と大興奮に包まれたとのこと。


電流を流すと光を放出する半導体素子は「THE MAGIC ONE GaAsP」と書かれた小さな箱に保存されています。GaAsPとは、LEDの素材の1つであるガリウムヒ素リンのことです。


ホロニアック氏は、LEDの発明により「全ての電球がLEDに切り替わるだろう」と予感めいたことを感じたそうです。その後、同氏の生徒が緑色と黄色のLEDを開発し、ホロニアック氏が思った通り、LEDは世界の至る所で使用されるようになりました。


LEDの父であるホロニアック氏は、炭鉱作業員が父親の家族に育てられました。教育を受けたことがなかった両親でしたが、学校教育の重要性を信じ、ホロニアック氏に家族では初めてとなる正式な教育を受けさせます。


「父は私にポケットナイフを手渡し、『何か欲しいモノがあれば、自分で作れ』と言ったんですね。私が5~6歳のときだったと思います。それがきっかけで、必要なモノを自分で作るようになりました」と父親とのエピソードを語るホロニアック氏。


ゼネラル・エレクトリックは2013年に100Wの白熱電球に取ってかわる27WのLED電球を世界で初めて公開しました。


ホロニアック氏は公開された27WのLED電球を手に持ち「27WのLED電球はきちっとした形にならないだろうな、と思っていましたが、実際は優雅なデザインに仕上がりました。しかも、低価格なのも特筆すべき点ですね」と笑顔で話しました。


ホロニアック氏のインタビューからは、LED電球にかける同氏の熱い思いがヒシヒシと伝わってきました。今では何の気兼ねもなく使用されているLEDに込められた開発者の信念を知ると、何か考えさせられるものがあります。

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in ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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