取材

心臓の鼓動や体温、体の動きを測定して心の状態まで計測できる「myBeat」


Appleが2014年夏にも発表予定と噂されるiPhone 6(仮称)には、「Healthbook」と呼ばれるヘルスケア&フィットネス機能が搭載されるとみられるなど、スマートフォンを健康管理に役立てるという使い道が増加しそうな流れが見うけられますが、2014年5月28日から30日まで開催されているワイヤレスジャパン2014では、人間の自律神経の状態を解析し、さらに一歩進んだ「心の健康状態」を把握できる「myBeat」と呼ばれるシステムが展示されていました。

心拍センサ::ユニオンツール株式会社
http://www.uniontool.co.jp/product/sensor/index.html

この小さな装置がユーザーの体調と心の状態をセンシングする心拍センサユニット「WHS-2」です。約4センチ四方で重量は14グラムと小型軽量ですが、ユーザーの心拍周期・心拍波形・心拍数の心拍情報と、体表温、3軸加速度で検知した体の動きを記録することが可能です。裏面(画像右)には電極を兼ねた金属ホックが取り付けられているので、用途に応じて電極を交換することが可能。


小型の電極に交換するとこんな感じでした。


使用する際は、電極パッドの粘着部分で心臓の上に貼り付けるようになっています。


myBeatはスマートフォンとBluetoothでつながることで、アプリと連動して体と心の状態を詳細に計測することを可能にしています。


myBeatの特徴は、単に心拍数を計測するだけではなく「RRI(心拍周期)」をもとにした解析を行っている点にあります。自律神経によってコントロールされている人間の心臓の鼓動は、心の状態の変化によってその周期が微妙に変化することが知られており、その微妙な周期の変化を統計的に計測することで自律神経のバランスの偏りを検知するというのがmyBeatならではの機能となっています。このバランスを知ることで、心にストレスがかかっていることを察知し、「うつ」などの予防にもつながるものと考えられています。


アプリの設定画面では、画面の表示を「心拍周期」と「心拍波形」で切り替えることが可能。


「心拍波形」の場合の画面がこちら。画面には「体表温」と「心拍波形」そして「加速度」が表示されており、体の動きをモニタリングしていることがわかります。


一方の「心拍周期」の画面はこんな感じ。心拍数と体表温は共通の内容ですが、心拍波形の代わりに「心拍周期」の変化がミリ秒単位のグラフで表示され、心拍の「ゆらぎ」を確認することができるようになっています。そして下部には心拍周期の変化から割り出された「自律神経バランス」が表示され、心の状態をバーの色の変化で目の当たりにすることが可能になっています。この画面では、オレンジ色で示される「交感神経系」の働きが強くなっており、軽いストレス状態にあることがわかります。


このデータは展示会に参加していたユニオンツール社の担当者が実際にmyBeatを装着して計測されたもので、ちょうどこのときは来場者に商品説明をしていた時のもの。担当者の緊張が手に取るようにわかるという恐るべき状態となっていました。

myBeatで計測したデータは、スマートフォンが取得したGPS情報と組み合わせることで、位置情報と心拍の変化を地図上で表示することもできるようになっています。


さらに、このデータはCSVデータとして出力したりメールで送信することも可能。このようにして集められたデータをビッグデータとして分析することで、地域によるデータの偏りを知ることができるようになったそうです。実際に、北海道の人と沖縄の人のデータを比較したところ、沖縄の人は副交感神経系の働きが強い傾向にあることがわかり、よりリラックスした状態が強いという結果がわかったそうです。


なお、myBeat「WHS-2」の前モデルとなる「WHS-1」というモデルは、医療機関や医療系大学での研究にも用いられていたという背景があるとのこと。


そこでは、さらに詳細なデータの分析が行われており、そのノウハウの蓄積が新しいスマートフォン向けmyBeatの機能につながっているそうです。


同社では、myBeatをプロドライバーを中心とする車の運転に関わる人に装着してもらい、運転中の眠気を事前に検知してアラームを鳴らして注意を喚起するという技術も開発を行っており、交通の安全に寄与するためのシステム作りが進められています。

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in 取材,   モバイル,   ソフトウェア,   ネットサービス,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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