Wi-Fi通信速度が最大3倍になる技術「MU-MIMO」への対応をクアルコムが発表

By John Watson

半導体大手のクアルコムは、複数の端末がWi-Fiに接続する状況下で最大3倍の高速通信を可能にする新技術「multi-user MIMO(MU-MIMO)」に対応するチップを開発したと発表しました。

Qualcomm News and Events
http://www.qualcomm.com/media/releases/2014/04/03/qualcomm-innovates-optimize-spectrum-usage-revolutionary-mu-mimo-wi-fi

Qualcomm News and Events
http://www.qualcomm.com/media/releases/2014/04/07/qualcomm-announces-ultimate-connected-computing-next-generation-snapdragon

AnandTech | Qualcomm's Snapdragon 808/810: 20nm High-End 64-bit SoCs with LTE Category 6/7 Support in 2015
http://www.anandtech.com/show/7925/qualcomms-snapdragon-808810-20nm-highend-64bit-socs-with-lte-category-67-support-in-2015

802.11n規格では送信側・受信側両方に複数の無線モジュールを使うことで、スループットおよび信頼性の向上を実現する技術「MIMO」が策定されましたが、ネットワークは一度に複数台の端末に対応することができず、端末1台1台との間を順次切り替えながら接続しているためネットワークに接続する端末の台数が増えると通信速度が低下するという問題がありました。

「MU-MIMO」は802.11acで採用された機能ですが、クアルコムの発表によるとネットワークから複数の端末に同時にデータ送信が可能なMU-MIMOを使うことで、端末・Wi-Fiルータの両方がMU-MIMOに対応している場合、通信速度は最大3倍にアップするとのこと。

クアルコム・アセロスのダン・ラビノイス上級副社長は「ネットワークの回線速度の上限値を上げるだけがモバイル通信の実効速度を高める方法ではありません。MU-MIMOはネットワークの時間利用を効率化して回線を有効活用する方法です」と話しています。MU-MIMOはユーザーの回線利用状況の変化を最適化するアルゴリズムが採用されており、7年かけて開発した技術であるとのこと。クアルコム・アセロスのパトリック・ローCEOは「MU-MIMOは、802.11acの次のステップになる技術で、家庭や企業内に接続されたデバイスの増加に対応して、最高の通信体験を提供します」と述べています。

クアルコムは、3台から4台の同時接続を可能にするMU-MIMOチップの「QCA998x」「QCA999x」を2014年第2四半期にサンプル出荷する予定です。なお、最新のクアルコム製SoC「Snapdragon 805/801」はMU-MIMOに対応すると発表されています。

さらにクアルコムは次世代SoCの「Snapdragon 810/808」を正式に発表。810がCortex-A57のクアッドコア＋Cortex-A53のクアッドコアの計8コアを搭載し、808もCortex-A57のデュアルコア＋Cortex-A53のクアッドコアの計6コアを搭載しており、ともに64bitに対応しています。両SoCともにカテゴリ7のLTEに対応。810はGPUにAdreno 430を採用しており4K出力にも対応するとのことです。Snapdragon 810/808は2014年後半にサンプル出荷が始まり2015年前半に搭載製品がリリースされる予定となっています。

クアルコムの発表からは、2015年に向けてモバイル端末のスペックが一段と進化することが確実であることが読み取れます。