アルゼンチンの南の果てにあるペンギンだらけの島に上陸し癒されてきました
島に上陸したら浜辺を埋め尽くすペンギンたちの歓迎。ヨチヨチと歩いて、短い翼を動かして、地面に腹ばいで寝そべり、首を傾げたりと見ているだけで癒されます。短い足が引っかかったりして、体のバランスを崩すドジっ子。ペンギンって愛らしい生き物だと思いませんか?
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。アフリカの喜望峰と同様にアメリカ大陸縦断のゴールとなったウシュアイアにもたくさんのペンギンが生息していました。前回のペンギン観光で、すっかり魅せられてしまったので、今回もペンギンがいる場所まで足を伸ばします。王様と名付けられたキングペンギンもいたりと、ペンギンパラダイスを十分に堪能してきました。
ペンギンだらけの島「Isla Martillo」はこちら。
◆ペンギンツアー
南米最南端のウシュアイアに到着した記念も兼ねてペンギンツアーに参加することにしました。野生のペンギンはガラパゴス諸島を除くと南半球にしか生息しないようで、南アフリカもそうでしたがゴール地点にペンギンがいるのは嬉しいことです。到着前に訪れたコロニーはペンギンと距離があったので、ウシュアイアではペンギンになるべく近づけるツアーを探しました。
インターネットで調べると「PIRA TOUR」という旅行代理店のツアーではペンギンがいる島をトレッキングできるということでした。その情報をもとに、海沿いのインフォメーション近くのオフィスを探し出して値段を確認。「明日は1030ペソのツアーしかないよ」という店の人に「もっと安いツアーがあったはずだけど?」と確認するけれど、そちらは満員だそうで。「行きはバスで帰りはクルーズ船、1回で2つのツアーが楽しめるお得なツアー」という店の人の勧めもあって1030ペソのツアーに参加することにしました。その場で200ペソを支払い残りは830ペソは当日支払い。当日は7時45分までにツアーオフィス前に集合でした。
港近くにある「PIRA TOUR」のオフィス。
ツアー参加者には首からぶら下げるオレンジの参加証が配られます。
このバスに乗ってペンギン島を目指しました。
ちなみにウシュアイアでペンギンに会いに行くならば
・行きも帰りもバスでペンギンがいる島に上陸するツアー:880ペソ
・行きはバスで帰りはクルーズ船でペンギンがいる島に上陸するツアー:1030ペソ
・行きも帰りもクルーズ船でペンギンのいる島に上陸しないツアー:650ペソ
という3つの選択肢がありました。現在のアルゼンチンでは公定レートと闇レートが存在していて、日本円に換算するのが難しいのですが、闇レートだと1ドル=約11ペソだったので、自分の参加したツアーは約9500円という感覚です。
最初に立ち寄った場所でビーグル水道の対岸にあるチリのプエルト・ウィリアムズを確認。厳密に言うと南米最南端の人が住む町はこちらなのですが、道が繋がっていないため自転車では行けません。
ビーグル水道はフエゴ島とチリのナバリノ島、オステ島を隔てる全長約240kmの海峡で、生物学者のチャールズ・ダーウィンが乗っていたビーグル号が名前の由来。南米本土とフエゴ島を隔てるマゼラン海峡もそうですが、南米南部は氷河による浸食で多数の島と水道が存在しています。
水際に生息しているムール貝。
そして、この辺りの観光名所となっている強風によって曲がった木にも立ち寄りました。
常に西から東に風が吹いているので、木も風に逆らうことなく成長して、流れるような面白い姿に。
風がなくてもあってもこの姿で、最果てに相応しい光景でした。
それから、この近辺で集められたクジラやイルカなどの海棲哺乳類や海鳥の骨格標本が展示されている「Museo Acatushun」という博物館も見学。
骨格標本で学ぶオットセイとアザラシの違い。アザラシはドルフィンキックしかできませんが、オットセイは後ろヒレで歩くことができます。
ペンギンも飾られていたり。
◆ペンギン島へ
ミュージアムの見学を終えると、バスは最終目的地である「ハーバートン牧場 (Estancia Harberton)」に到着。
牧場で高速ゴムボートに乗り込み、ペンギンだらけの島「マルティージョ島(Isla Martillo)」へ。
上陸前の浜辺を埋め尽くすペンギンたちの姿に大興奮。
浜辺の奥もペンギンたちでいっぱいです。ほとんどがマゼランペンギンという種類。
笑うしかないくらいペンギンにあふれてしまったマルティージョ島の浜辺 - YouTube
上陸した私たちを気に留めることなく、ペンギンたちは日常生活を続けていました。
ミサイルみたいな格好をしてペンギンは眠りにつくそうです。
こうして見ると確かに暖かそう。
泳いだり浜辺を歩いたりするペンギンでいっぱいのスペシャルアイランド - YouTube
こんなにも近くでペンギンたちと触れ合うことができます。
雄叫びを上げるペンギン
海辺で遊んでいる姿もありました。
この唇と両足がオレンジ色をしているのはジェンツーペンギンという種類で、島には70羽が生息しているそうです。
白目と黒目がはっきりとしている瞳。
オレンジ色のくちばしが目立っていました。
ペンギンアイランドにいたジェンツーペンギンたち - YouTube
浜辺で立ち尽くすジェンツーペンギンたち。
地味なマゼランペンギンと違ってオレンジ色が目立っていますね。
ハの字の翼を……
大きく広げたりして。
水際でもウロチョロしていました。
そしてガイドさんに「この仕事を10年近くしているけど、ここで見たことなんてないわ」と言わしめたのが、王様という名前を付けられたキングペンギンです。2羽しかいなかったのですが、一回り大きな体もあって存在感は際立っていました。嘴と首と耳の辺りの黄色も目立ちます。
王様と言われるだけあって毛並みまでも滑らかに見えました。
◆トレッキング
上陸した浜辺を観察した後は、陸にあるペンギンの巣をガイドに連れられて散策します。トレッキングルートはツアー参加者が勝手に歩かないようにロープで区切られていますが、ペンギンたちはお構いなしでロープの内側でもウロウロとしていました。こちらで観察できるのはマゼランペンギンになると思います。
ツアー参加者は一列に並んで行進。
陸でもチョコマカと動き回るたくさんのペンギンたち。
ペンギンの巣で山肌は凸凹に。
あちこちに穴が空いてるので、ペンギンたちが足を滑らせたりしないか少し心配。
ものすごい数の穴が掘られています。
地面に掘られたペンギンの巣はこのような感じ。
階段のすぐ傍にいたペンギンに「こんにちは」とご挨拶。
仲睦まじいつがいのペンギン。
ずんぐりむっくりとした愛らしい体型と……
つぶらな瞳に癒やされます。
ふさふさした体毛が残るペンギンのひな。
こちらは産毛が抜けて大人になる手前といったところでしょうか。
2羽のペンギン。
眠たそうな顔。
魚のうろこのようなマゼランペンギンの背中。
今回のペンギンツアーでのベストショット。
このトレッキングですが列を乱さずに歩いていくのと、ガイドの説明もあるので写真を撮るチャンスは限られています。トレッキングを終えると別の浜辺で待機していたクルーズ船に乗船して撤収。
帰りの浜辺にもたくさんのペンギンがいました。
ウロウロと辺りを徘徊をするペンギン。
さよならペンギンパラダイス。
後ろ髪を引かれる思いで島を後にしました。
追い求めていた距離でペンギンと触れ合えたのは良かったのですが、ツアーだから一つの場所でゆっくりできないのが残念。ケープタウン近郊のペンギン繁殖地は個人で好きなだけ滞在できましたしね。
◆クルーズ船とオットセイ
こちらが帰りのクルーズ船で、別のツアー客と一緒に帰ります。
クルーズ船の室内。
別のツアーの人達は船の上からペンギンを見学していました。行きも帰りもクルーズ船といった形です。
灯台と海鳥の島。
そして、別の岩場に差し掛かると……
野生のオットセイの姿に、再びテンションが上りました。
岩場を這い上がろうとするオットセイ。
岩場を器用に登っていくオットセイ - YouTube
岩場のてっぺんを歩いていきます。
ぐっすりと眠るオットセイに私もなりたい。
みんなでお昼寝タイム。
この集団はもしかして……
一羽の雄が多数の雌を独占するハーレムでした。中央の雄は明らかに体格が違っています。
女性に囲まれるイケメンに比べて、雌をめぐる戦いに敗れて端に追いやられた雄たちのボッチ感といったら。モテなくて寂しいのは人間だけではないのですね。
クルーズ船は15時過ぎにウシュアイアの港に到着して解散。今回のツアーの定員は最大で20人とあって記憶でもそのくらいの参加者でした。ガイドは一人でスペイン語と英語の説明をしてくれますが、ポルトガル語のブラジル人を含めてほとんどがスペイン語圏の参加者らしく、英語で話を聞いていたのは自分とロシア人の二人だけ。高額なツアーでしたが見どころは全部押さえているので十分に満足できる内容でした。
◆キングペンギンのコロニー
ウシュアイアだけでなく、フエゴ島のチリ側にもキングペンギンのコロニーがあります。しかし、ツアーがあるような感じではないので、自転車・バイク・車といった自前の交通手段が必要になると思います。この場所の説明も難しく、プンタアレナス対岸の「ポルベニール(Porvenir)」から東に伸びる道と、フエゴ島北部の「セロソンブレロ(Cerro Sombrero)」の町から南に伸びる道が交わる「オナイシン(Onaisin)」という地名から南14.5kmの場所。オナイシンは地名だけで何もありません。
こちらが入口。
入場料で1万2000チリペソ(約2400円)が必要。
辺りには何もない様子。
一緒に付いてきた人がひと通りの説明を終えると後はフリータイムでいつまでもペンギンを眺めていても良さそうでした。川向こうと海沿いと2つの繁殖地がある模様。どちらとも離れて観るしかできないので、望遠のレンズや双眼鏡でも欲しいところでした。
川向うの繁殖地。
手前に1グループと……
奥に1グループが生息しています。
こんな感じで離れて観察しないといけません。
奥のグループから手前のグループに歩き出したペンギンたち。
ヨチヨチと並んで歩く4羽のキングペンギン - YouTube
空に向かって雄叫びをあげたキングペンギンの姿。
もう一つの海辺にあるキングペンギンの繁殖地。
20羽前後のキングペンギンが暮らしているようです。
浜辺でキングペンギンたちがのんびりと佇む様子 - YouTube
ここはフエゴ島を旅するチャリダーたちには有名な場所で、テントを張らせてもらうことも可能でした。
南アフリカに続いて、南米でもペンギンの姿に癒されっぱなしでした。南米では記事に取り上げた2ヶ所だけではなく、チリのプンタアレナスやアルゼンチンのバルデス半島でもペンギンを観に行くことが可能。自分はすっかりペンギンの虜となってしまったので、またどこかで会いに行けたらと夢見ています。一生に一度くらいは南極に行きたいので、次に野生のペンギンに会えるのはその時かもしれません。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak)
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