「ジョジョリオン」が文化庁メディア芸術祭で大賞を受賞し、荒木飛呂彦さんも登場

連載28年目を迎えた「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの第8部である「ジョジョリオン」は、2011年から集英社の「ウルトラジャンプ」で連載されているマンガ作品です。そのジョジョリオンが第17回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で大賞を受賞、作者の荒木飛呂彦さんが2014年2月4日に行われた内覧会に登場しました。

第17回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で大賞を受賞したジョジョリオンは展示室の右手奥に展示されています。

荒木さんの仕事机はこんな感じで、机の前にはいかにもジョジョっぽいモデルのポスターなどが貼られていました。

澄み切った青色に白いコスチュームが映える東方定助のカラーイラスト。

カラーイラストは鮮やかな色使いが印象的。

展示されているカラーイラストは合計4枚です。

その他にも貴重な原稿が展示されています。

普段は目にすることのできない原稿やイラストを、間近で見られるのもメディア芸術祭の魅力の1つ。

ジョジョリオンの個性的なヴィジュアルやトリッキーな演出、コマ割り表現の可能性の追求、そして「人間讃歌」と称されるテーマなどが大賞受賞の理由です。

荒木さんによると、ジョジョリオンは自分が何者であるかを分かっていない定助を通して家族の謎を表現している作品で、執筆中はバロック音楽・クラシック・ジャズ・ハードロック・ポップスのジャンルをローテーションしながら聴いているとのこと。

展示品を見ていると荒木さんが登場し、簡単なあいさつを済ませた後に質疑応答が始まりました。

ジョジョリオンと2011年に発生した東日本大震災との関連性について聞かれた荒木さんは「前作のスティール・ボール・ランが終わってすぐにジョジョリオンの連載が始まっているんですね。ちょうどスティール・ボール・ランが完成した時期に、東日本大震災が発生しました。本当に偶然なのですが、ジョジョリオンの舞台となっている杜王町は、実は自分の育った仙台市をモデルにしています。震災直後は出版界も停止しているような状態だったこともあったり、制作の流れで震災を作品に取り入れることになったんですね。私も漫画表現として、かなり注意しながら描かせていただきました。本当にたまたまなんです」と回答。

「女性ファッション誌などで作品の登場人物のファッションについて注目が集まるのはどういう気持ちでしょうか」という質問には「そうですね、僕の描く主人公は海の中でも帽子を脱がないということがありまして、ファッションもキャラクターの一部として捉えています。少年漫画っていうのは『主人公の熱さ』みたいなのを語る感じなんですよ。ファッション誌では、熱さではなくクールさを描いて欲しいとのことなので、難しいと感じました」と答えていました。

続いて、参考にしているファッションブランドやデザイナーについて聞かれると「私がジョジョの奇妙な冒険の執筆を始めた1980年ごろに登場した、ヴェルサーチやモスキーノ、ミッソーニなど、色の組み合わせが素晴らしかったり、古代ローマの影響を受けているようなブランドを参考にしています」とイタリアのファッションブランドを参考にしていることを明かしていました。

荒木さんによると、ジョジョの奇妙な冒険を何部まで続けるのか、ということは執筆中に全く考えていないとのこと。また、文化庁という国の機関から賞をもらったことに関して「マンガは、作品を読んでくれる読者に精神面や生活面で何らかの影響を与えているのかなと思います。そういう意味合いの中で、ジョジョリオンが間接的にでも日本という国がよくなるようにお役に立てたら嬉しいと思います」と素直な気持ちを語ってくれています。

「ジョジョリオン」のカラーイラストや原稿は、2014年2月5日から2月16日まで開催されている第17回文化庁メディア芸術祭で展示されており、ジョジョの奇妙な冒険のファンでなくとも一見の価値があります。

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