3Dプリントのブックカバーを付け発売数日で3万6000円のプレミアが付いた本
電子書籍の台頭により、ペーパーバックの書籍の売り上げが落ちていますが、そんな中、3Dプリントのブックカバーを新作の本に採用し、注目を集めているのが韓国生まれで米国在住の作家チャンネ・リーさんです。リーさんは1月7日に自身の新作「On Such a Full Sea」をKindleの電子書籍・ハードカバー・3Dプリント製ケースが付いたスペシャルエディションのハードカバーの3種類を販売しており、サイン付のスペシャルエディションを200冊限定・1冊150ドル(約1万5000円)で販売したところ本はすぐに完売、中古本には350ドル(約3万6000円)のプレミアがつきました。
MakerBot Partners | A Novel Experience with Chang-rae Lee
http://www.makerbot.com/blog/2013/12/10/makerbot-partners-a-novel-experience/
出版社のRiverhead Books社はリーさんの最新作「On Such a Full Sea」のスペシャルエディションのブックカバーを作るために、3Dプリンターを販売するMakerBot社と手を組み、2014年の1月7日(火)に通常版とスペシャルエディションを同時販売しました。リーさんは「本は紙からデジタルに移行傾向にありますが、紙の本を好む読者にとって、3Dプリントという最新技術を用いたブックカバーを手にする経験は刺激的です」「このスペシャルエディションはデータではなく物としての本の価値を再提示する良い機会になっています。本の中身はとても重要ですが、この3Dプリントが付いた本は、通常の紙の本が持っていない最新技術を兼ね備えたものになっています」とコメントしています。
リーさんはデザインとしてのブックカバーがどのような価値をもたらしたかについて「デザイン的な価値を付随し、中身だけでなくインテリアとしての価値を付け加えており、デジタルのデータとしてでなく、インテリアとして目に見える価値として本が存在する」とコメントしており、将来的にこのような付加価値が付いた本が広く読者に受け入れられることを望んでいるそうです。
3Dブックカバーの付いたスペシャルエディションは200冊限定・150ドル(約1万5000円)で売り出されたところ、既に売り切れており、中古本には350ドル(約3万6000円)のプレミアが付けられているものもあります。このブックカバーの製作には1個につき15時間かかっているとのこと。内容さえ読めればいい人は電子書籍を購入するわけで、「特定の作家の3Dケース付き書籍」は、物理的な本を買う人にとって本は内容だけでなく存在自体やコレクションする行為が大切である、ということに着目した試みになっていたと言えます。
On Such a Full Sea: Signed Limited Edition: Chang-rae Lee: 9781594633256: Amazon.com: Books
http://www.amazon.com/dp/1594633258
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