センター試験廃止後に導入される「達成度テスト」の難易度が判明
本日がセンター試験最終日、受験生はラストスパートをかけているところですが、そのセンター試験も5年後をめどに試験制度全体が見直され、新たに「達成度テスト(仮称)」なる新試験の設置が予定されています。この達成度テストの試験難易度が毎日新聞の取材により明らかになりました。
大学入試改革:達成度テスト難易度判明 日本史・世界史なら、「基礎」近現代史中心「発展」古代から現代 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/shimen/news/m20140119ddm001100143000c.html
従来のセンター試験は、多くの大学が入学選抜試験の1次試験に指定しており、大学受験生の第一関門としての位置づけがありましたが、「1点刻みの一発勝負」という性格ゆえに受験生への負担などの観点から一部には批判の声がありました。これを受けて、2013年10月、政府の教育再生実行会議は、センター試験に代わり新たに複数回の受験機会が与えられる「達成度テスト」を設けるという改革案を提出していました。
改革案では、「達成度テスト」は「基礎」・「発展」の2種類が設けられる予定で、「基礎」は高校在学中の定着度を見る目的が、「発展」は従来のセンター試験同様に「大学が入学選抜の際の基礎資格にする」という目的が想定されていました。そして、「基礎」は高校2年生から複数回受験でき推薦入試・AO入試に利用され、「発展」は現行のセンター試験と同様に一般入試の要素として用いられるが、1点刻みの点数制ではなくAランクからDランクなどのように幅を持たせた段階的ランクづけに変更することが提案されていましたが、それぞれの難易度については明らかにされていませんでした。
今回明らかになった難易度案は、現行のセンター試験で採用されている単位数2のA科目を「基礎」に、単位数4のB科目を「発展」に位置づけるというもの。現行センター試験のA科目・B科目は、基本的には学習範囲の広さの違いによって区分されているため、基礎学力の定着具合を見る「基礎」と、より応用的な内容となる「発展」というように、難易度の違いは学習範囲に応用的な内容まで含まれるか否かの違いが基準となるようです。
現行制度においては、センター試験のB科目は、国公立大学や難関私立大学の入学者選抜に利用されていることが多く、多くの私立大学ではA科目での受験も認められています。しかし、「達成度テスト」では、「基礎」は推薦試験・AO試験での利用が想定され、一般入試では「発展」の利用が想定されるため、私立大学が「発展」を選抜試験の要素として取り入れる場合には、一部受験生にとっては学習範囲が広がる可能性があります。
また、早ければ高校2年生から複数回受験できる「達成度テスト」では、一発勝負のセンター試験と違って「チャンスが広がる」という側面もありますが、多くの受験生が複数回の受験を検討することが予想され、このために高校生活のより早い段階から継続的な「達成度テスト対策としての勉強」を強いることにもなり得ます。教育再生実行会議では「1点を争う競争から、人物本位の選抜への転換」を理念としていますが、「達成度テスト」によって受験生の負担が増えるならば、本末転倒なことにもなりかねません。
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