北朝鮮の民主化を求めてバルーンで情報をつめたUSBなどが密輸される
北朝鮮と韓国の間には「38度線」と呼ばれる軍事境界線があり、北朝鮮から韓国へ亡命すると、境界線の向こう側にいる家族と自由に会うことはできなくなってしまいます。そんな北朝鮮からの亡命者たちで構成されたグループが、北朝鮮の民主化を求めて、韓国や世界中の情報を詰めたUSBメモリやチラシなどをバルーンで運ぶというプロパガンダが行われました。
We Hacked North Korea With Balloons and USB Drives - Thor Halvorssen and Alexander Lloyd - The Atlantic
http://www.theatlantic.com/international/archive/2014/01/we-hacked-north-korea-with-balloons-and-usb-drives/283106/
北朝鮮では、反体制派の勢力は、圧迫・処刑されるため存在せず、国内の情報やインターネットは制限されています。外界との接点はなく、38度線付近ではたびたび両国間での銃撃戦も発生しているので、境界線の対岸と直接やり取りすることはできません。
「自由な北朝鮮のための戦士」と呼ばれる北朝鮮亡命者組織のグループのリーダーで、「北朝鮮のエネミー・ゼロ」と呼ばれるパク氏は、バルーンを使って空から物理的な情報を北朝鮮国内へ運ぶことを発案しました。
バルーンは約6メートルほどの透明のプラスチック製で、ハングルで「政権は崩壊せよ」などのメッセージが記され、USBメモリ・DVD・トランジスタラジオ・北朝鮮以外の世界の情報が書かれた何万枚ものチラシが入れられています。北朝鮮上空でアドバルーンとして十分な役割を果たしたのちにタイマーが作動し、バルーンが破れて着陸するという仕組みになっています。
バルーン発射予定日の2日前である2014年1月13日に、北朝鮮政府は「プロパガンダ入りの風船を打ち上げるようなら、我々はあなたを殺すことになります」という警告を発表。それを受けて韓国も、警官を300人動員して、計画の中止のためにグループを捜索しリーダーのパク氏を拘束。6時間の拘留ののち、解放されたパク氏は計画を再開し、警官の目を逃れて2014年1月15日に軍事境界線を形成するイムジン川と漢江の合流点付近でバルーンの発射を成功させました。
パク氏のグループは、以前から北朝鮮国内への中国国境側からのノートPC・DVD・USBメモリなどの密輸も行っており、今回のバルーンで運んだ情報や物資とあわせて、今後も北朝鮮の民主化に向けて活動を続けるとのことです。
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