メモ

爆弾・ドラッグ・ハッキングなどについて書かれた本の著者が改心した理由

By Tim Caynes

爆発物、薬物の作成方法や様々なハッキング機器などの製作方法について書かれた本「アナーキストクックブック」の著者であるウィリアム・パウエル氏は「政治を変えるためには暴力が許可されるべきだ」という、少し過激な考えの持ち主でした。しかしながら、本の出版から40年以上経過した2014年現在、パウエル氏は本の出版を取りやめたいと思うほど、過去に持っていた理念を改めるにいたっており、その理由をパウエル氏自身が公開しています。

I wrote the Anarchist Cookbook in 1969. Now I see its premise as flawed | William Powell | Comment is free | theguardian.com
http://www.theguardian.com/commentisfree/2013/dec/19/anarchist-cookbook-author-william-powell-out-of-print

パウエル氏は1969年12月にニューヨークにあった書店の店長を辞め、アナーキストクックブックの執筆を始めました。パウエル氏がアナーキストクックブックを書くことになったのは、1960年に勃発したベトナム戦争がきっかけで、本を通してアメリカ軍に対して感じた怒りを表現したかったとのこと。ドラッグやハッキング、合法・非合法の武器、爆弾などについて書かれたアナーキストクックブックの販売は好調で、出版から40年で200万冊以上売れたそうです。

By Glenn Halog

出版から40年経過しても本の内容は変わりませんが、著者のパウエル氏の考え方が変わり、今では本の出版を取りやめるよう出版会社に依頼しています。政府に対する怒りから本を執筆するまでに至ったパウエル氏の理念を変えたのは、一体何だったのでしょうか。

パウエル氏はアナーキストクックブックが出版されてからずっと、アジアやアフリカにある貧困諸国の学校で教師として働いてきました。教師という職業を通して教育の必要性を改めて理解することで、パウエル氏は暴力ではなく教育に関する本まで出版しています。

パウエル氏は教師だけにとどまらず、2010年に失読症やADHD、自閉症に苦しむ子どものための学校をサポートする「Next Frontier」という非営利組織を設立。「私が子どもたちに教えたのではなく、子どもたちが私に素晴らしいことを教えてくれたのです」と語るパウエル氏からは、40年前の過激な思想など全く感じられません。

By United Nations Photo

パウエル氏は恵まれない子どもたちのために精根尽くしてきましたが、パウエル氏の思想を完全に変え、本の出版停止を求めるきっかけになる事件がパウエル氏の学校で発生します。ある日、他の生徒や先生に対して暴力をふるってしまった生徒の持ち物を調べた所、パウエル氏が執筆した「アナーキストクックブック」が出てきたのです。

学校は生徒だけではなく先生にとっても安全な場所でなければいけません。パウエル氏によると、アナーキストクックブックが暴力をふるった少年に悪い影響を与えたかどうかは定かでありませんが、いい影響を与えたことは絶対にあり得ないとのこと。自分の書いた本が子どもに対して悪影響を与えたかもしれないことは、パウエル氏にとってとてもショックな出来事だったようです。

By Cristee Dickson

アナーキストクックブックを執筆した時は「暴力をもって暴力を制する」という非論理的な考えに対して盲目になっていたのパウエル氏ですが、事件をきっかけに教育者としての立場から出版を完全に停止するように出版社に依頼しています。しかしながら、アナーキストクックブックの著作権はパウエル氏ではなく出版社に属しているため、出版をストップさせる方法はないとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
無表情は暴力のもと?映画を見てリアクションを我慢させられた人は攻撃的になる - GIGAZINE

「警官は暴力を振るいすぎ」と治療にあたる緊急医が証言 - GIGAZINE

12歳の少年が政府関連ウェブサイトをハッキングしたことを認める - GIGAZINE

自由や人権、貧困、暴力などについて訴える過激な広告いろいろ - GIGAZINE

ゲームがテロリストの訓練やプロパガンダに使われる可能性を諜報機関が懸念 - GIGAZINE

格差社会を是正するために社会主義化したボリビアで考えた光と影 - GIGAZINE

in メモ, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.